洞窟を出るとそこは
洞窟をある程度進むと、松明が消えてしまった。しかし、天部に空いた隙間から光が差し込んでくるため、替えを用意するまでもない明るさとなっていた。
光が差し込む角度から考えると、今は朝なのだろうか?鎧の騎士に眠らされた為にはっきりとは言えないが、かなり長い間ぶっ倒れていたのかもしれない。
「出口は近いぞ!」
ビルットが今にも走り出しそうな雰囲気で、興奮気味に俺たちに伝える。まぁ、見ていればわかるのだが・・。
ここまでくると、道が多少整備されており、出口に向かっての緩い上り坂も階段状になっている。
洞窟を抜けると、爽やかな風が気持ちよく、淀んで臭い洞窟内の空気を洗い流してくれるようだ。ただ、爽やかな空気に交じって、異様な匂いも感じる事が出来る・・。一体何の匂いだろうか?
「潮の香りがするな・・・。」
「潮?なんだそれ?」
「あぁ?海の香りがするって事だ。そんな事も知らねぇのか?」
サンタスに馬鹿っぽく言われるのはちょっと悔しい。
「海か~。見たことないな~。見に行きたいな!」
「馬鹿かお前!コーギが先だろ!!状況を考えろよ!」
ビルットにまで馬鹿にされてしまうとは・・・。確かに空気が読めてなかったな。
だが、海を見てみたいのは本当だ。今まで外の世界を殆ど見たことがない。新しい事ってわくわくするじゃないか。それに、コーギは多分、大切にされていると思うんだ。
「あれは、煙か。町が近いな・・・。」
焦って進もうとするビルットをなだめようとするが、空気読めだとか、分かってないだとかで逆効果だった。ならば先にコーギを探すまでだ。
洞窟を出てからは順調な行程だった。道は整備されており、獣の侵入を防ぐような柵も設けられている。大きな林道ではないが、王城周辺よりも手入れが行き届いていると言えるだろう。
「で、ビルット。急ぐのは良いが、どこを目指すんだ?」
「決まっている!・・・門兵に、聴く?とか。」
「・・・まぁ、順当だな。」
小走り状態で少し進むと、林を抜けて視界が一気に広がった。
朝の食事の支度でもしているのだろうか、家々からは煙が立ち上り、ここからでも町がにぎわう声が聞こえてきそうだ。
「ビルット!大変だ!!」
「なんだ?」
「門兵が・・・。居ない。」
「も・・・門すら無い・・な。
よほど平和な地域なのか、街を守る塀も無い。遠見の塔が数か所見えるが、他に大きな建物も存在しない。
「ものすごく、平和な町っぽいな・・・。ほんとにコーギはここに居るのか?実は騙されて、まだ洞窟の中で苦しんでいるとか・・・。あの大男に辱められているとか・・・。」
「お前も納得しただろ?あの男はそんな事はしないさ。あれだけ強い男はそうは居ないだろう。町の人に聞けばすぐ分かるんじゃないか?」
「そう、だよな!そうだよ!多分、あの大男は良い奴なんだ、と、思えるような、気が、しないでもないかもしれない・・・。」
「おまえ、一人で考え事をすると、ダメな方ばかりに考えてしまうタイプだな?コーギみたいなさばさばした奴と一緒でないと、心を病んでしまうぞ?」
そんな事を放しながらも進んでいると、町に足を踏み入れる距離まで進んでいた。
町の中は朝から賑わいを見せていた。さほど大きな町ではないが、多くの人が行きかい、露店が並び、楽し気な音楽や、客を呼び込む声が響き渡っている。
「よし、聞き込みを開始だ!」
「まて!昼時にここで合流しよう。それまでは散会して多くの情報を集めた方が良いと思う。」
「そうだな!俺様の情報収集能力を見て驚け!」
「さすがアニキ!!」
「・・・情報収集能力は見えないと思うが・・。ま、日が真上に来た時だ、忘れるなよ?ギニン、頼んだぞ!」
「俺が頼りないってか!」
「違うって、ギニンはそういうの得意だろ?だからさ。」
「ふん!」
「アニキ、行きましょう。」
「待ってろ!コーギ!!」
それぞれが、思い思いの方法で情報収集をすることになった。まぁ、そんなに時間はかからないだろうがな・・・。




