あけ放たれた扉
「コーギ!!」
ビルットが扉を勢いよくあけ放つ。
「ちっ、考えもなしに!!」
俺は剣を構えるが、素早く動けそうにない。中の様子を見てから判断するしかない。
ギニンはナイフを片手にビルットの脇から滑り込む。サンタスは松明を持ったまま様子を伺っている。
「コーギ!無事か!?」
「コーギ?あのレイディはコーギと言うのか・・・。若いの、焦りは分かるが、礼を失してはいかんぞ。」
「てめぇ!コーギをどこにやった!」
扉の中には、大柄な男が椅子に座り、鎧の騎士がその傍に立っていた。男の目の前には大きめの水晶玉が置かれており、魔術を用いた通信を行っていた様だ。
男は水晶玉を丁寧に戸棚に片付けると、ゆっくりとこちらを向いた。
「で、若いの。せっかく拾った命をここで散らしたいのか?」
男はおどけた様に話をしているが、目は笑っていない。
「コーギに何をした!どこへやった!!」
ビルットはいつになく興奮している。そこへ、松明を持ったサンタスが扉の中に入ってきた。
「なんだこのおっさん。汚ねえ恰好しやがって。盗賊の頭か?子分は一人だけってか?」
サンタスは男を挑発するように声をかけた。
「ふっ、俺のサーバントに勝てない輩が何を言っている。何なら俺自ら遊んでやろうか?」
「何がサーバントだ!用心棒なんだろ?こんなぼろぼろのマントを羽織ったおっさんが、遊んでやろうってか?笑わせる・・・な!!」
サンタスは松明を男に投げつけ、ナイフで襲い掛かる。と、ギニンが松明とは別角度で鋲を飛ばし、男をかく乱する動きをとった。
だが、男がとった行動は、マントを翻すのみ。鋲も松明も男の後方へ受け流されてしまった。
しかし、サンタスはマントを翻した内側を狙い、体重を乗せた突きを放った。
カチッ!と、小さな音を立ててサンタスの動きは止まった。サンタスの体重をかけた突きが、男の体に触れた所で勢いを殺されたのだ。
「小僧。お前の武器はそのナイフではないだろ・・。扱いが成っていない。そんな突きでは俺をよろめかせる事も出来んぞ?うん?」
男はそう言うと、サンタスの首根っこを掴んで壁方向に投げ飛ばした。
その瞬間に男の手が動いたと思ったら、ギニンの鋲を受け止めていた様だ。
「お前は、鋲を飛ばすのは上手いが、狙いが悪い。狙うなら、ここ、額だ。まっすぐ狙うことで、点でしか捉えられなくなるため、見えにくくなる。ほら!」
男が鋲をギニンに打ち返すと、ギニンの額から血しぶきが上がる。
「調子に乗るな!」
ビルットが袈裟切りで男に切りかかる。が、男は手甲で剣を受け止めながらマントで剣を絡め取った。
「坊主、お前は経験が足りないな。こんな事で剣を放していては戦いにならん。未熟者が!」
男は、剣の柄頭でビルットの額を強打する。たまらずビルットはその場に崩れ落ちた。
「・・・なんて、強さだ・・・。敵わない・・・。」
俺は、男の強さを目の当たりにして、動くことが出来なかった。




