目覚めの気分
微かな藁の臭いに、顔に当たる硬い何か・・・。そして喉に違和感を覚え、せき込みながら上体を起こした。
顔に当たっていた硬いものは、サンタスの靴か・・・。みんな、鎧の騎士にやられて、俺も殴られて・・・。皆は無事か?
改めて周囲を見渡すと、周りがすべて岩に囲まれていることから、洞窟の中のどこかである事は確かだろう。床に置かれた藁の上に、俺たちは寝かされていた様だ。ビルットもサンタスもギニンも、まだ目を覚ましてはいないが、殺されてはいない。鎧の騎士の目的は何だったのだろうか?
「!コーギがいない!」
ここまで来て初めてコーギがいない事に気づいた。
「おい!ビルット!サンタス!ギニン!起きろ!!」
「・・・。あぁ、いてて・・・。」
「いた!・ゲホゲホッ・・。」
「・・・む。」
それぞれが痛みの残る場所をさすりながら目を覚ます。
「おい!コーギがさらわれた!」
「な!」
「まじか!」
辺りを見渡すも、コーギの持ち物等は何も残されていない。
「アル!通路の奥の方に落ちている松明、あれは俺たちが持って来た物だろ?まだ燃えているって事は、そこまで長い時間は経っていないって事だ。すぐに探せば、まだ助かるかもしれない!」
「そうか、まずは辺りを探そう!あの松明を使って、明かりを増やして・・・。ギニンとサンタスはこの辺を探してくれ。俺とビルットでゴーレムがいた部屋を探してみる。」
「先ずは火だろ?」
全員でゴーレムと戦った場所へ戻ったが、俺たちの荷物は無くなっており、新たな松明に火をつける事が出来なかった。そのため、全員で周囲を探索することにした。
倒したゴーレムはただの石に戻り、単なる障害物と化している。しかし、他に怪しい点は見受けられない。
「コーギの荷物は無い。俺たちの荷物も無くなっていたのだから、コーギと一緒に運ばれたのだろう・・・。ここに居てもしょうがない、通路の奥へ戻ろう。」
俺の意見に反論はなく、全員で通路の奥へ進んでいく。すぐに藁の敷かれた場所に戻ってこれた。
明かりがない時は気づかなかったが、ここは少し広くなっており、俺たちがいた部分だけに藁が敷かれている。
「アル、あそこ、何かないか?」
ギニンの指し示す辺りを松明で照らしてみる。通路の左壁、背の高さよりも少し高い位置に赤黒い扉がある。
「扉、か。」
「さっきの鎧野郎、盗賊団かもしれないな。こんな所に居座るって事は、表に出られない奴らに決まっている。」
「盗賊か・・。なら、あの手練れクラスが複数いる可能性もあるな・・・。でも、そうであっても、コーギを早く助け出さなくっちゃ!」
いや、あの鎧、兜の下には何もなかった。おそらく魔法生物だろう。単なる盗賊団が魔法生物を操るとも考えられない。魔法生物でなかった場合は、デュラハン等のアンデット系の可能性もある。アンデットの場合、聖水などが有効とされているが、聖水は持ち合わせていない。勝機はあるのだろうか?
「まて、慎重に進もう。相手の戦力も分からないんだぞ?」
「ギニン、扉を調べてくれるか?」
「任せてください。」
ギニンは音を立てないように扉に近づき、罠を調べる。鍵穴を調べるが、短時間で罠がない事は分かった様だ。蝶番や地面にも細工の後は見られない。
罠は無いとみて中の音を確認する。
「誰かが話をしている様な声が聞こえる。複数いるな・・・。声の感じから、扉の奥はそこそこの広さがありそうだ・・。アニキ、どうしますか?」
あの扉の中にはあいつがいるだろう。鎧の騎士が・・・。そして複数の人間が扉の内側にいるとすると、一旦待って機会を待つべきだろうか・・・。それとも奇襲でチャンスを作るか・・・。」
「・・・待ってられるか!!コーギー!!」
ビルットは勢いよく扉をあけ放った。




