掘削作業?
サンタスが一撃離脱を行いつつ、ゴーレムの注意をひいている。ギニンはサンタスのサポートとして、鋲を打ち出しては回収の地味な作業を行っている。
俺は、俺は何をしているんだ・・・。
「師匠!助けて・・くれ・・・。」
目を閉じて、師匠に助けを求めた。瞼の裏側で、師匠が俺に語り掛ける。
『いいかアル、上下のブレは意識しなくていい、まずは左右のブレをなくすんだ。』
『師匠、どうして上下は良いんですか?』
『お前の体格、筋力では、武器の重さが枷にならない。だから真っすぐ突く為には、左右を意識するんだ。もし、上下にブレるのが気になるなら・・・。』
「ボーっとしてんな!アル!!」
サンタスの言葉に目を開くと、目の前にはゴーレムの拳が迫っている。
「ちっ!」
サンタスが俺に向かって体当たりした。そのお陰で拳の直撃を免れる事が出来た。
「すまん、サンタス。」
「次、来るぞ!かまえろ!!」
サンタスに言われるでもなく立ち上がると、俺は再び剣を構えた。
先程と同じように、バスタードソードを目線の高さに構え・・・。そして、左腕を台座の様にして、腕の上に剣を乗せる。
ゴス!ゴーレムの攻撃を避けつつも右膝に狙いを定める。
「ここだ!」
俺は、左腕の上を滑らせるようにバスタードソードを繰り出す。左腕を前に出したことで、上体がいつも以上にねじれる。剣を突き出す際に左手を引き戻すことで、さらなる突進力と正確性を生み出すことになった。
ガキン!と強烈な衝撃音を立てて、ゴーレムの膝をバスタードソードが貫いた。
自重のせいで膝から崩れ落ちるゴーレム。
「やった!」
確かな手ごたえに、自分の闘い方が見えた気がした。
「まだだ!」
ビルットが叫ぶ。
右膝を破壊されてなお、ゴーレムの左腕が振り下ろされる。
渾身の突きを繰り出したことで、体制が悪い!次の動作に移れない!
「前に!」
コーギの叫びが聞こえた。前?ゴーレムがいるけど?・・・足の隙間!!
かなり長い一瞬で、突きの体制のまま倒れこんだ。しかし、左足が焼けるように熱い。
どうやらゴーレムの一撃を足に貰ってしまった様だ。
「こっちだデカブツ!!」
左の打ち下ろし後にバランスを崩したゴーレム目掛け、サンタスが棍棒を振るう。
頭を狙ったのか、肩を狙ったのかは不明だが、ゴーレムの首付近に一撃が入った。結果としてダメージを与えられたかは不明だが、ゴーレムはバランスを崩したまま、少しの間動きを止めた。
「アル!今のうちに!!」
「世話の焼ける・・・。」
俺は、コーギとギニンに両足を持たれて、ゴーレムの隙間から引っ張り出された。
「ギニン!そこ、ケガしてる!!」
「死ぬよりましだろ?」
お前、サンタス以外には厳しいのな・・・。
「アル!さっきの、もう一回できる?」
「そうだな・・・。次撃ったら、踏ん張りがきかないから、さっきより酷く前にぶっ飛ぶだけだな・・・。」
「なら、これだな。」
ギニンは腰から眺めのロープを取り出した。
「これ?で?どうするんだ?」
「お前の腰に結び付けて、ぶっ倒れたら引っ張る。それで完璧だ!」
「酷くない?」
「死ぬよりましだろ?」
結局、ギニンの案を採用することになった。
ギニンは素早く俺の腰にロープを結びつけると、余裕をもってロープを弛ませた。「いつでもいいぞ」だそうです。
俺は、少し腰を落とし、体重を右足にかける。左手で剣を支え、弓を引き絞るように体をねじる。
次の狙いは、右肩!右肩を打ち抜けば、バランスが取れないはず!!
俺は、狙いを定め、渾身の力を込めて剣を突き出した!




