ゴーレムと鎧の騎士と命の危機と
俺の放った一撃は、ゴーレムの右肩を少し外れ、右胸を貫通した。
その影響で、右腕全体が分離し、上半身が半壊状態までになっている。
そして、俺はと言うと、ゴーレムの右腕の破片に頭をぶつけながらも、ギニンとコーギにロープで引っ張られている。
「・・tomanimonara・・・kit・・・」
ゴーレムはうめき声の様な音を出して、地面に倒れ伏した。
俺は、足の激痛に加え、頭部の打撲、全身の擦り傷で満身創痍だ。が、視線を向けた先に、ゴーレムを捉え、勝利を確信した。
「サンタス。ゴーレムの胸元に、光る石が見えるだろ。・・・それを外せないか?」
「ちょ、ちょっと待てよ。・・・どれだ?・・・。ん?宝石か?」
「アニキ、これは魔晶石です。」
「売ればちょっとした金になるって言われているあれか!」
サンタスとギニンはゴーレムに近づき、魔晶石をまじまじと眺める。「私がとりましょう」とギニンがナイフを片手にゴーレムによじ登り、魔晶石を手早く外した。
すると、辺りを照らしていた魔法の光が、力を失ったように掻き消えてしまった。
「あのゴーレムが明かりの魔術を使っていたのか?」
「そもそも、ゴーレムって魔術が使えるの?」
「魔法生物だからね。どうだろう?」
ビルットとコーギが話をしている。どうやらビルットは軽傷の様だ。
「大きくてきれいな魔晶石ですね、アニキ。」
「街に付いたら売り払おうぜ!」
「・・・勝手に、決めるな・・。」
ゴーレムが倒れたことで安堵の雰囲気がその場を包んだ。
「洞窟、繋がっていたんだな。ゴーレムが邪魔していただけか・・・。」
痛む足をさすりながら、ゴーレムが塞いでいた通路を見る。
足の痛みがなかなか消えないと思ったら、血が滲んできている。掠っただけでこのダメージだ、直撃していたら一撃であの世行きだろう。
「ギニン、血止めの薬草を持ってこい。」
「へいアニキ!」
ギニンがすぐさま薬草を持ってくる。サンタスは薬草を軽く潰して俺の足の傷口にあてがう。
激痛が走るが、弱音を吐いたらねちねち言われかねないので、叫び声をぐっと飲みこむ。
「お前の持ってきた布を借りるぞ。」
「ああ、すまない。」
「今回は、お前が一番役に立ったからな。特別だ。」
宿舎からくすねてきた布で傷口を縛る。まだまだ痛いが、効いている感じの痛みなので、何とか我慢が出来そうだ。
「しかし、今回は厳しかったな・・。俺の棍棒もヒビが入っちまった。」
「アニキ・・・。これを持っておいてください。」
ギニンが二本のナイフの片方をサンタスに渡す。サンタスはナイフを受け取ると「懐かしいな」と一言漏らしてベルトに差し入れた。
「さて、ビルットは平気なのか?」
「あぁ、肩を打ち付けたくらいだ。問題はない。」
「コーギは・・・。?コーギ、どうした?」
コーギは一人立ち上がり、洞窟の奥を睨んでいる。
その視線の先には・・・。全身鎧を身にまとった騎士が立っている。
「誰だ!」
コーギは警戒しながら声をかける。しかし、騎士から返答はない。
「連続でお客様か?」
サンタスがナイフを構えて立ち上がる。横にはギニンが追従している。
「待てよ、なんでゴーレムの奥から騎士が出てくるんだ?」
「さぁな!騎士のおっさんに聞いてみな!」
サンタスは左手に隠し持っていた棍棒を、騎士目掛けて投げつけた。直撃する、と思ったが、一瞬の内に棍棒が切り捨てられた。
騎士はゆっくりと歩みを進め、こちらに近づいてくる。
「行くよ!」
コーギの合図でビルットとサンタスが走り出す。ギニンはゴーレムに使っていた鋲をけん制で打ち出した。
鎧の騎士はロングソードを横なぎで一閃、鋲を気にすることなく、近づく三人の武器を打ち払った。




