狂える精霊
「ウンディーネ・・・。君たちも、あんな攻撃出来るの?」
『・・・もちろん出来るよ?』
なんてこった。俺は今まで、ウンディーネを水分の補給以外の遣い方を殆どしていなかった。
精霊って奥が深いな・・。
俺は水場に視線を戻すと、水面にウンディーネの上半身が現れていた。
『・・・ドウゾク?』
「あぁ、そうだ。こちらに敵意は無い。話を聞いてくれないか?」
『・・・・。』
こちらからの呼びかけに、水場のウンディーネは、手を水中に入れ、何やらもごもごやっている。
初めて人にあって恥ずかしいのかな?
そう思っていると、先程の水玉よりも何倍も大きな水の塊を、こちらの顔を目掛けて飛ばしてくる。
幸い、水の大きさにより、発射速度は速くはないため、よけやすいのだが・・・。
『危ない!』
俺の隣にいたウンディーネから、更に警告が発せられた。
?なに?と思っている内に、俺の頭の上から、大量の水が降ってきた。
・・・痛くはない・・・。これが攻撃?
そう思っている間も、水が降り続けている。
際限ないのか?
よく見ると、おれの腰から上が、巨大な水球にとらわれているようだ。
まずい!この状態は・・・窒息を狙っている!
俺はアルヴァリオンを抜き放ち、水を切ろうとした。
しかし、水の一部が弾けるだけで、水球を解除する事が出来ていない。
この場合、どうすれば・・・。
水には・・・ドライアード?・・・違うな。
炎は相性が悪い・・・。
風・・・。風!
俺は、ありったけの魔力を込めてシルフに願いを伝える。
息が・・出来ない・・・。風を・・空気を送ってくれ・・・。
すると、俺の足元から強風が巻き起こり、俺の体に沿って風が這い上がり、水を押し広げていく。
『なに?こんなに魔力をくれるって・・・。ピンチだった?』
茶化すようなシルフに感謝の念を送る。
それと同時に、俺を取り囲んでいた水球が辺りへはじけ飛び、辺りの木々が強風にあおられるだけの状態になった。
『ナニ・・・ソレ・・・。』
シルフが水球を破壊したのを見て、水面のウンディーネは驚きを隠せないようだ。
水面のウンディーネは、俺に向かって再び同じ攻撃を仕掛けてくる。
しかし、魔力を大量に得たシルフは、俺に水がぶつかる前に、水球を泉に叩き返した。
『ソレ・・・ナンデ?・・・ナニシタ?」
水面のウンディーネは混乱しているようだ。
今のうちに話しかけて、精霊界に戻れるようにしてあげよう。
精霊使いとしては、精霊に滅んでほしくはないからね。
「なぁ、水面のウンディーネ。お前が望むのなら、この精霊と一緒に、精霊界に還すことは出来るんだが、どうする?ここよりは過ごしやすいかもしれないぞ?」
正直、自分が生まれた場所と、行ったことも見たことも無い場所を比べてみろとは言えないが、他に表現のしようが無いのだ。
そうだ、ウンディーネからも説得してもらおう。
俺の隣にいるウンディーネにも説得をお願いする。
『あなた、私の同族に間違いはないわね。・・・精霊界には、仲間が沢山いるわ。寂しくないわよ?』
水面のウンディーネは、大人しく聞いている・・・のか、聞いていないのかは分からないが、微動だにしていない。
「なぁ、俺に任せてみないか?」
俺が、そう切り出すと、水面のウンディーネは顔を上げて、こちらを見た。
『ワタシモ・・・ワタシモ!」
水面のウンディーネは、水面から飛び上がると、一気に距離を詰め、俺に飛び掛かってきた。
シルフがそれを弾こうとしたが、水面のウンディーネはそれに抵抗したようだ。
俺は、情けない事に、ウンディーネに押し倒される形で、柔らかな地面に、したたかに頭をぶつける事になった。




