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しあわせの国  作者: 狼眼


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爽やかな朝に集う仲間

木ノ葉亭の中は静まり返っていたが、むせ返るようなアルコール臭が俺を出迎えた。


「くっさ!」


思わず吐き捨てるように叫んでしまう。

辺りには酔いつぶれた大人たちが転がっている。年齢、性別問わず、ジョッキを持ったままの者、折り重なって寝ている者、飲みながら力尽きて酒を胸元にこぼした状態の者・・。ここは毎日こうなのだろうか?


辺りを見回していると、カウンターの奥から若い女性が声を掛けてきた。


「酷い有様だろ?いつもはこんなんじゃないんだけどね。」


そう言うと、気だるそうに煙草に火をつける。


「あんた、朝飯かい?だったらもう少し待っておくれよ。今厨房に火を入れたところなんだ。」

「いや、俺は、二階の部屋に用がある。あの一番奥の部屋だ。」

「あ、そ。勝手に入んな。しっかし、この店で部屋を取るなんて珍しい客だね~。」


そう言うと厨房の奥に引っ込んでいった。恰好は飲み屋のお姉さんだが、ここの厨房を担当しているのだろうか?

そう考えながらも二階への階段を上る。酔っぱらいを押しのけながら・・・。


二階の一番奥の部屋の前へ到着したが、このままドアを開けていいものだろうか?もしコーギとビルットが変な感じになっていたら、変な感じになるじゃないか。でも、二人も疲れていたし・・。いや、疲れているからこそ・・。いやいや・・。


と扉の前で思案していると、すっとドアが開いた。


「なんだ・・・。アニキ、アルが帰ってきました。」

「そんな所で何してんだ!早く入れ!目立つだろ!!」


サンタスの大声が木ノ葉亭内に響き渡る・・。

中を見ると、数切れのパンを中心に座り、朝食をとっていた。


「おはよ。」

「早く座れ、情報交換をするぞ。」


サンタスは干し肉を頬張りながら話し始めた。


「まず、現状だ。今は魔獣の襲撃で、あちこちがマヒしている。決断をするなら今日の夕方までだろう。壁の補修は始まっていないから、その様子を見るふりをしながら、そのまま森の中に姿を隠すのが最善だろう。正門から右奥、一番離れたところから外に出よう。」


サンタスは街を出る気満々だな。まぁ、こいつは街に居ても悪さばかりして良いことは無い。ほかの街に行くことの方がメリットは多いだろう。

コーギも街を出て、実家に戻る気満々だ。サンタスの話に大きく頷いている。おそらく二人きりになった時にビルットも一緒に行くことになったのだろう。仲がいいな。


「俺は、師匠の情報くすねてきた。」


良いのか?という目で見られたが、師匠の情報は貰っておくことに越したことは無い。

ここで初めて羊皮紙を広げる。


カチャ・・・。


俺の背後で静かにドアが開いた。全身から汗がにじみ出るが、みんなの表情は穏やかだ。


「リン・・・。おいで。」


コーギがリンを部屋の中に招き入れた。


「早かったんだな。」

「うん。」

「ちょうど良かった。今から師匠が持っていた情報を共有するところだ。」


再び羊皮紙に目を通すと、書いてある文面を読み上げる。


「雨季二の月、森の奥の洞窟より森の中を観察。森の民を確認。」

「雨季三の月、複数の森の民が儀式を行う。その後、大量の黒い霧が空へ上る」

「同月、チィリン国で魔獣の襲撃が発生。辛うじて撃退。」

「乾季三の月、洞窟を超えた男爵領で森の民を視認。」

「繁期一の月、男爵領のメイジと接触。」

「繁期二の月、男爵と面会、王国の情報を収集。記憶操作の反作用の情報。悪影響について。」


「ここまでが書かれている。」

「どういう意味だ?森の民ってのが何かをしてるのか?」

「いや、そうではなくて、俺の記憶と合わせると、おそらくだが・・・。」


王国が行っている記憶操作が、何らかの影響を森の民に与えている。魔獣の襲撃はその報復か?

森の民と男爵とのつながりはまだ見えていない。

魔獣の謎を解くにも、王国の記憶操作を避けるにも、一端はコーギの出身地である辺境にある男爵領へ赴く必要があるだろう。

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