表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
しあわせの国  作者: 狼眼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/504

焦るおっさん

魔獣の襲撃が収まった今、俺は瓦礫の上に腰を下ろしてひと時の休憩で体の疲れを癒している。

俺はザスタ。35歳独身、嫁さん募集中~。普段はのんびりと街道沿いの森を探索し、日々の収入の足しにしている。一応王国軍所属のレンジャーなんだが、

今回は予備軍の演習に引率兼試験管として呼ばれていたのだが、厄介ごと続きでもうへとへとだ。


「ザスさん、お疲れっす!どうでしたか?」

「お疲れぇ。やっぱり俺は、魔獣との相性が悪いねぇ~。決定打にかけてしまうからねぇ。」

「魔術の矢は使わなかったんですか?」

「あれはねぇ、ダメなんだ。調子がいい時でないと撃てないしさぁ、あんまり活躍すると、忙しくなるじゃない?ほどほどでいいんだよぉ。」

「そんなもんすかね~。俺なんか、少しでも活躍して手当を増やしたいですがね~。」

「あぁ~。ダメダメ、そんな考えじゃぁ、君ぃ、早死にするよぉ?」

「そぉっすね!肝に銘じておきます!」


では!と元気に彼は軍本部の方へ駆けていった。「あの子は危険だねぇ~」と独り言ちると煙草に火をつけた。

演習中や森の中で活動している時には、無駄な匂いを出さないためにも煙草は控えているが、今日はもう勘弁してほしい。

候補生は勝手に持ち場を離れるし、魔獣はおっかないし、小隊長は怒るし、候補生は勝手に帰ってるし・・・。

俺は煙草をくわえたまま、その場で仰向けに寝転んだ。


「なんだかねぇ~。」


実際、さっきの鐘の音を聞くまでは気が気ではなかったが、俺のチームは全員帰っていた様で、膝の力が抜け、その場で座り込んだものだ。心配の後の安心、怒っていいのか、喜べばいいのか・・・。


この一本を吸い終えたら、軍に報告を入れて宿舎に戻ろう。もしかしたらあいつ等とも会えるかもしれない。無事だったことを喜んでやるかね。

そう考えながら紫煙を空に吹きかけてやった。




「ローエム小隊ザスタ、出頭しましたぁ。」

「ご苦労!直れ!」


正直気が進まないが、軍に属している以上、報告はしなければならない。

偉そうな、ひげ面のおっさんに、演習からの期間の報告と、襲撃後の対応についてを報告した。


「了解した!今回はご苦労であった。戻ってよいぞ。」

「はっ!」


意外とあっさりと解放されて胸をなでおろす。できればこのまま飲みにでも行きたいが、この三日、ほとんど寝ていない上に魔獣騒動だ、「もう寝る」と誰に向けてでもなく宣言し、部屋に向かう。


久しぶりに宿舎に戻ってきたが、体を休めることしか考えられない。

ドアを開け、部屋に入ると同時に装備を外し棚に置く、服を脱ぎ散らかし、桶とタオルを用意。

水は汲んでないので、水袋の水を桶に入れ、タオルを浸し、固く絞って顔と体を拭いた。


「あ~・・・。」


おっさん臭いうめき声をあげながら、心地の良い冷たさに癒されていく。

体をあらかた拭き終えると、マントを広げその上に横たわる。普段は森で生活することが多いので、この部屋にはベッドすらないのだ。


窓からは乾いた風が入ってくる。疲れた体に染みわたるような感覚を覚え、意識が薄れていく。


明日はこの付近のがれきの撤去と、けが人の介助、被害者の搬出と火葬・・・小隊長に小言を言われ、軍の事務所に書類を提出し・・・。しばらくは重労働が続くねぇ~。

そう考えると気分が滅入ってくるが、軍に属している以上は仕方のない事だ。


「明日の俺・・・よろしくぅ・・・。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ