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しあわせの国  作者: 狼眼
1章 しあわせの国・・グリフ王国・・

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報告のリンクル

私は今、軍の管理事務所に来ている。アル君達が暫く出頭できない事を伝えるため、あとは今日までの演習の結果を聞いて、一時金を貰うためだ。


「予備軍候補生リンクルです。」

「ご苦労!楽に!」

「はい。」


どうもこういう場所は緊張しちゃうよね。さ~て、どういう報告をしようか・・・。

私は、演習最終日に異変を察知したザスタに誘導され王国へ帰還、街へ入る前の街道で待機を命じられた。

その際に魔獣と遭遇し、仲間が重傷を負ったため、戦闘が収まったのを機に街へ入りけが人の手当てをし、私が報告のためにここに来たことを伝えた。


「・・・ふ~む。あんた、よくしゃべるね。」

「あっ、ゴメン・ナサイ・・・。」

「なんとなくわかったよ。で、そのあと、ザスタとは合流できたのかい?」

「いえ、そのあと、ザスタさんは見ていませんけど・・・。どこ行ったんだろ?」

「お前たちが待機命令を無視・・・。まぁ、今回の場合仕方がないが、そのため、ザスタもお前たちを探しているのではないか?」

「!あぁ!かもしれませんね。」


受付の人は、書類にサインをして数枚の紙を私に渡してきた。

「ザスタ試験官には、こちらから信号を送っておこう。お前たちは、自宅または宿舎で待機していてくれ。今回の襲撃でこちらも混乱しているのだ。この書類は、今回の騒動で全員が無事だったことの上層部への報告書だ。お前たちのメンバーで間違いなければそこにサインをしてくれ。」


書類を確認すると、六名の名前が書かれている。

アルバート・コーギ・ギニン・サンタス・ビルット・リンクル・・・。全員いる。コーギと私の名前の前に小さなハートマークが書かれているが、これは女性を意味しているのだろうか?お茶目さんだね。

名前を確認した私は、全部の書類に代表として名前を書いて受付の人に返す。


「よし、本当に死者は居ないんだな?」

「大丈夫です。重傷者は居ましたが・・。多分死んでないと思います。・・多分。」

「おいおい、大丈夫か?この報告書の後に死亡しても、軍からは見舞金などは出ないぞ?」

「はし、そのように伝えておきます。」

「・・・よし、下がっていいぞ!」


そう言うと受付の人は書類にスタンプを押して箱の中に入れていた。

ついでに一時金の事も聞いてみた。


「今、魔獣の襲撃後で情報が来てないんだよ。今の書類も街の外に出ていた候補生が帰ってきたというだけの書類だしね。演習の結果も出てないし、街の復興が終わるまでは何もできないと思うぞ?」


一応丁寧に説明してくれたが、受付の人の顔はげんなりとしていた。よく見ると、他の受付の人もこっちを見ている。

確かに、私と同じように出頭した人が、他の受付で五回くらい入れ替わってたけど、詳しく説明しようとしただけだから、私は悪くない!

そう自分に言い聞かせて軍の管理事務所を後にした。


外に出ると、乾季独特の乾いた風が涼やかに髪をなびかせる。私はこの時期の夜の空気が好きだけど、今日はいつもと違う。魔獣の襲撃の為、いたる所でけが人の搬送や、家屋の消火、瓦礫の撤去が行われている。

魔獣襲撃対策チームとして、複数の軍関係者が襲撃の原因調査や対策を研究しているけど、実際の襲撃があればこんなもの。全くの無駄、とは言いたくないけど、税金の無駄遣いよね。


「帰って寝るか~。」


今日は夜が明ける前からずっと歩き続けた為か、体力も精神力ももう限界。

私は住み慣れた我が家に足を向けた・・・。

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