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しあわせの国  作者: 狼眼
1章 しあわせの国・・グリフ王国・・

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賢者ルーナ

木ノ葉亭の扉を開けて颯爽と歩いてきたルーナは、カウンターでエールを注文し、俺たちのテーブルに着くと同時にエールを飲み干した。


「くぅ~。ぬるい。」


美味い、じゃないんだ、と思いながら話題を促す。


「で、ルーナさんは俺たちに何か話があるのか?」

「そそ、色んな話があるけど、どれから話そうかね~。」

「個人的には、呪いについて聞いてみたいな。」

「やっぱそれだねぇ。」


キラッと目を光らせてこちらを睨む。


「あんたたち、全員が呪われてる自覚はある?」

「全く。」

「ないよ?」

「ないですね。」

「ねぇな。」


ルーナは俺たちを眺めながら、目に力を集めているようだ。


「う~ん。身体的に問題がないとすると・・・精神・・か・・。」


その言葉に、俺は一つの出来事を思い出した。


「そういえば、この国では、犯罪を犯したり軍規違反を犯した者でも、記憶を消して元の生活に戻されるんだ。戦争で人口が激減した事に対する国の政策なんだよ。」

「そうそう、俺たちも、アルの師匠も経験済みだぜ!」

「そして、記憶を消した後に魔法が定着するまで収監されるんだ。」

「私も経験があるな。軍規違反を犯した様で、短期間だが収監されたことがあった。」


それぞれが、国の政策に関する出来事や関係すると思われる事柄を口々に述べていった。


「私は監獄に入ったことはないよ?」


皆の様子を見ると、リンだけ収監された事は無いようだ。

ルーナはリンにあれこれと質問し、可能性を探しているようだ。


「ふぅん。じゃぁ、リンちゃんは王城で長期滞在したことは無い?」

「うーんと・・・・。あっ、魔術の適性検査の時は三日間くらい王城にいたよ?」


「なるほど・・。」と言ったままルーナは暫く固まったままだ。

魔術の検査や、記憶の固定が呪いと判断されているのだろうか?しかし、しあわせの国と呼ばれる、罪人であっても殺されない場所で、悪い魔法や呪いがかけられるとは判断し難い。おそらく別に要因はあるだろう。


「うん、それだね。通常、魔術適性検査は一瞬で終わる。

そして、おそらく、君たち全員が記憶の改変を行われているようだ。」

「な!」

「!そんな事はないだろう。記憶は消せても改変はできないはずだ!」

「うん、それは誰から聞いたのかな?」

「みんな知ってるさ!魔術の基本だろ?」

「そうだね~。君たちの記憶、偏ってるね~。」

「じゃぁ、俺たちが呪いで記憶を変えられてるって事か?ありえねぇ!」

「たぶんね。記憶にくさびが撃ち込まれているみたいだ。」

「もし、もしだ。そのくさびが取れたら、解呪出来たらどうなるんだ?」


みんなが混乱し、興奮している。俺の頭の中でも、何が正しくて、何が間違っているのかがわからない。しかし、王国の政策は完璧だという事は理解している。でも、この勇者パーティーのルーナが適当なことを言っている様にも見えない。

何も・・・。考えられない・・・。


「えっと、一番呪いが薄そうなのは・・・・。君、コーギちゃんだっけ?」

「私か?」

「ちょっと失礼・・・。闇の魔力の理を・・今・・解放せん・・・ディスペルマジック・・・。」


コーギの後頭部辺りに黒い霧が出たと思ったら、掻き消えるように霧散した。


「どぉ?」

「かなり・・・頭が痛い・・・。」

「長い間呪われてたからね~。ちょっと待って・・・。光の命の根源よ・・かの者を癒せ・・マインドヒール・・。」

「あぁっ・・・。」


コーギの頬に一筋の涙が流れた。


「なんて・・・。何て大切なことを忘れていたんだ!!ありえない!!」

「だいじょうぶ?」


リンが心配そうにコーギの顔をのぞき込む。


「何故!私はこの国で、騎士を目指している!!違うだろ!」

「どういうことだ?お前の夢だったんじゃないのか?」

「違う!私は、私は母の為に、高価な薬を買いに来ただけなんだ!

・・・。何年・・・。何年無駄にした・・・。」


コーギの突然の発言に、俺たちは暫く動くことが出来なかった。

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