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しあわせの国  作者: 狼眼
1章 しあわせの国・・グリフ王国・・

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解放の儀

「これが、霊装・・・。」

「うむ、まぁ、似合っている。」


ま、似合わないわな。今の俺の装備は、皮の胸当て、セットの脛当て、剣帯(バスタードソードは鉄製なので、サンタスと一緒に置いてきている。)、甲殻虫の手甲。そして新緑のマントといった、チグハグナ装備になっている。

一式をセットで揃えるような余裕は無いしね~。


「よし、今回、其方に手伝ってもらう例として、ミスリルロッドを授けよう。」

「ミスリル!・・・あ、ありがとうございます。」

「これも、あの、槌の民の作品だ。」

「通常のロッドとは、少し形が鋭いですね。」


「それは!!」「それは!!」

「術を使えばロッドとなり~」「「ロッドとなり~」」

「突いて使えば刺突武器~」「「刺突武器~」」

「それは!!」「それは!!」

「「「それは素敵な、し~ご~と~!!」」」


「・・・毎回これなんすか?」

「構うな。構うとつけあがる。」


こっちへ来い、とガーラさんと長老たちと一緒に、階段を上がる。

巨大な木のうろを出て、森へ入ってきた方角とは反対方向に進む。奥へ、奥へ。


「ガーラさん、今、どこへ向かっているのですか?」

「いまは、解放の儀の祭壇へ向かっている。先に向かったメイルーンが準備をしているはずだ。」


暫く歩くと、大きな切り株の様な場所で、メイルーンが手を振っている。


「準備!できてるよ~!」


切り株の上に上がり、メイルーンの近くに行くと、そこには漆黒の塊が置いてあった。


「これは、何ですか?黒い・・・。樹液の様な・・・。」

「これは、瘴気を吸い込んだスライムだ。」

「これが?依然見たやつと全然違う。真っ黒だ。」

「今から、このスライムを解放してやるのだ。」

「解放、とは?」


「精霊の力を使って、瘴気を払うのだ・・。」

「なるほど?」

「お主に新緑のマント、霊装を与えた意味が分かっとらんのか?」

「私が、やる。と?」

「そうだ。お主は、精神の精霊にかなり好かれておる。我ら、森の民との比べてもその親和性はなかなかのもんだ。普段なら、儂が精霊を使うのだが、お主の方が適任じゃろ。」


そう言うと、俺の背中を押した。「ほれ、やってみぃ。」と、しつこいので精神の精霊に語り掛ける。

「闇と精神の精霊よ。・・これ、どうしたらいいのか・・無理じゃね?」


語り掛けながらも、すこし愚痴っぽうなってしまった。


『だいじょうぶだよ』


効いたことのある様な声が聞こえ、黒い霧の様な塊が、黒いスライムを包んでいく。


『これ、どうする?』

「瘴気を、グリフ王国周辺に向けて飛ばし、森の動物に入り込ませるのだ。」

「え、でも、そんな事をしたら、魔獣が、魔獣が発生してしまうんじゃ?」

「そうじゃ、魔獣に宝珠を探させるんじゃ!」

「気をつけろ?お前の心に攻撃性があれば、辺りの人も、まとめて破壊してしまうぞ?」

「・・・今になって言うなよな。」


『ねぇ、これ、どうする?』

「お願いだ。グリフ王国ってわかるかな?あっちの方にある大きめの国なんだけど。あそこの近くの森の動物に、こいつの瘴気をあげてほしいんだ。

『きみがかんがえているばしょだね!わかったよ!』


闇と精神の精霊は、スライムから瘴気を取り出し、狙いを定めている様だ。


「人は、襲わないようにしてね。精霊の宝珠を探したいんだ。」

『わかってるよ。きみがおもうままに!・・・えぃ!」


スライムが吸収していた瘴気は、黒い粒になって、空に舞い上がった。

ある程度舞い上がった所で、空が歪んだように見えた。


「?どうなってんだ?」


俺は、目をこすりながら空を見上げる。


「小僧、おまえ、あれだけ滑り落ちておいて、ここが普通の屋外だとでも思っていたのか?」

「・・・そうでした。・・・あれ、どうなっているんですか?」

「死の森に生えている木の、樹齢が100年を超えている木の根元に精霊石を埋め込んで、外界との境界にしている。地上側は木の精霊と土の精霊に、地下側は風の精霊と光の精霊に、それぞれ守られているのだ。」


「・・・無駄に、すごい技術が使われていますね。」

「そして、瘴気はそれらをすり抜け、外界へと向かうのだ。」

「・・・リンクル・・・無事だと良いが・・・。」

「小僧!惚けておるな!我らも向かうぞ!」

「え、あ、はい!」


俺たちは、瘴気を追いかけて外に向かう。

途中でサンタス、ビルット、ギニンを拾い、空間の端へ向かう。

ガーラさんから手渡された、太めの蔦を握ると、体に巻き付いてきて、上へと運んでくれた。

サンタスが異様に喚き散らしていたが、俺は景色を見る事に心を奪われていた。


「あっ、もうすぐ天井?に着く。」

「目をつぶっておけよ?」


ガーラさんの忠告通り目をつぶると、瞼の向こう側がまばゆい光に包まれた。おそらく、光の精霊の影響だろう。


「目が~!目が~!!」


サンタスは、またも馬鹿みたいに叫んでいる。・・・恥ずかしいので、おいて行っていいですか?

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