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あなたの『真実の愛』、利用させていただきます  作者: Debby


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あの日、わたくしが二人の話を立ち聞きし、ヴァルハイト様が内心でリリアを愛しながらも、貴族であり続けるためにわたくしと婚約しようとしていたのだと思い込んだあの会話は、ヴァルハイト様がリリアの間違いを正すためにした、例え話の一部分だったそうです。


それでもヴァルハイト様と相思相愛であると信じて疑わなかったリリアは、わたくしと同じ勘違いをし、ふさぎ込んでいたこの数日で、わたくしから次期当主の座を譲り受ければ彼と結ばれいつまでも貴族として生きてゆけるという結論に至ったようです。


そして、わたくしとの茶会のために訪れる予定だったヴァルハイト様に吉報を届けるために、彼が来る前に、わたくしの部屋を訪れたのです。


しかし、わたくしは頷きませんでした。


その時偶然目にしたコサージュを見て、一目でヴァルハイト様からの贈り物であることが分かったのでしょう。


しかも、リリアが受け取ったようなありきたりの物ではなく、特別な色の──


恋人だと思っていた男性から、『悪役令嬢』であるわたくしに贈られた瞳の色のコサージュ。リリアは咄嗟に我を忘れ、感情をぶつけるように、コサージュを窓の外に投げ捨てました。


そして、それを追うわたくしの姿に、押さえきれない怒りと憎しみが急激に高まり、あのような凶行に及んでしまったと……




あの日、もう、リリアと話す必要を感じなかったヴァルハイト様は、リリアを避けるように早めに邸を訪れ、先んじて中庭を散策していたそうです。


そのため偶然にもあの場に居合わせることになり、結果、わたくしを救うことになりました。






「申し訳ない。私が彼女への伝え方をもう少し考えていれば……」


「いえ、こちらこそご迷惑をおかけしました……それに、わたくしを助けていただいたことも、本当にありがとうございました」


ヴァルハイト様は、事件の後も、両親が帰宅するまで屋敷に留まってくださり、事態の説明も買って出てくれました。

実の妹に窓から突き落とされた話など何度もしたいとは思えません。気持ちが落ち着いたとはいえ、詳細に思い出そうとすると、やはり恐ろしいのです。




そして、眠れぬ夜を過ごした翌日、わたくしはお父様の元を訪れました。




「何度目かの顔合わせの後、ヴァルハイト君から秘密裏に面会の申し出があってね、リリアを野放しにしている意図と、今後どうするつもりなのかを聞かれたんだよ。伯爵家の未来を考えるのであれば、早い決断をした方が良いと」


お父様は大きなため息を付くと、まるでご自分をあざ笑うかのように、苦笑いを浮かべました。


「彼はリリアの行動とそれを静観する伯爵家の対応に疑問を持ち、リリアの誘いに敢えて乗り、こちらの真意を探っていたらしい。


彼の言うことはもっともだ。

リリアを修道院に入れることは、前々から選択肢の一つとして妻と話していた。

私はリリアの夢見がちな部分を軽く考えていた。

お前がリリアの言う『真実の愛』を婚約者の選定に利用しているのを知り、止めなかった。


その結果がこれだ。なにかが起こってからでは遅いというのに。


まさかお前を殺そうとするとは思わなかったんだ。

私の考えが甘く、お前を危険な目に遭わせた。本当にすまなかった」


お父様はそう言って頭を下げましたが、わたくしも、まさかリリアに突き落とされるとは思っていませんでした。


今回のことが起こる前にリリアを修道院に入れると父から言われていたら、わたくしはきっと止めていたでしょう。






後日、リリアはセヴェルス修道院へと旅立ちました。

出発までの間、わたくしがリリアに会うことはありませんでしたが、リリアの部屋からは毎日のように、すすり泣く声や聞くに耐えない罵声が聞こえていました。



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