良夫、湯船で気絶する
為子、急にそわそわした様子になる。
為子「あら?それにしてもお父さん、ちょっと長湯だわね。まさか茹蛸になってんじゃないでしょうね。いくら頭ハゲてるからってさあ……」
和子「ねえ。さっきからシャンシャンとかチョイナチョイナとか、なんか変だったし」
為子「それは私たちも云ってたじゃないのさ(和子ずっこける)。うーん、とにかくちょっと覗いて来ようかね」
天使「ほら、悪魔。為子さんこっち来るだ。早うお暇せにゃ」
悪魔「お、おう。じゃ行こ。(玄関に行こうとする天使に)ばかやろ、こっちだ。こっから飛び降りりゃいいんだ」
天使「あ、そうだったちゃ。ほな……」
天使と悪魔、自宅セットから手を繋いでツラに、舞台端に飛び降りる。和子宅をふり返る。
為子「ちょっと、あんた。いつまで入ってんの?だいじょうぶ?開けるわよ」
為子、風呂の戸を開ける。良夫、湯船の縁に両手を乗せ頭を乗せてぐったりとしている。
為子「あんた!どうしたの?大丈夫?」
良夫「(首だけ回転して為子を見て)あ、母さん……て、天使さんは?……悪魔さんは?」
為子「なにが天使で悪魔さんよ。まったくもう。のぼせてんじゃないの?もう上がりなさいよ。ほら。ビールでも飲んで涼みなさい」
良夫「あ、そうだ……ビ、ビールぅ……」
良夫、気を失って湯の中に沈んで行く。
為子「あんた!……ちょっと、和子!来て!お、お父さんが……」
和子「え?!どうしたの?……」
和子、すっ飛んで来る。風呂場の中で良夫を引き上げようとしている為子に手を貸す。




