[三章-20:龍の塔攻略・龍巫女の間]
まず口を開いたのは、一馬。
「龍脈の力が無理でも俺の能力なら……無理ですよね〜」
と話を聞く龍人の顔を見て途中で言うのを諦める一馬。沈黙がまた流れる。永遠にこれが続くと思うほどの時が過ぎたのちまた一馬が口を開く。
「ここのロックって電子錠か?」
龍人が竜也が頷いたことを教える。
「だったら解除できるんじゃ?」
「無理だ、彼は人に影響できない。解除すれば私はともかく一馬や奴らに影響してしまう」
と龍人が言葉を遮り言う。
《うん、試して見たけど無理だね。触ることができないよ》
と言ったのを龍人は教える。一馬は座っていた体を勢いよく持ち上げ
「コードはわかるんだよな?」
と気迫のある声で言う。
《う、うん…6179だけど…押せないよ?》
龍人の通訳。一馬は牢屋に入って以来しなかった明るい顔で
「押すのが無理なのは竜也さんだけで俺たちは押せますよね?」
龍人も
「そうか!なんで俺たちまで押せないって思っていたんだ、コードまで分かっているなら出れる」
と忘れていた自分に驚きを隠せずハッとした顔をする。龍人は鉄格子から手を出し、ここか?と尋ねる。竜也の補助もありなんとかロックを解除することに成功する。
「一馬!急いで、邪龍の復活を止めに行くぞ」
《僕が先に行って索敵します》
「待っていろ、レイ」
とそれぞれがそれぞれの思いを声に出し唯一この中の道がわかる竜也の道案内に頼りながら進む。
———龍巫女の間
警備は一切いなかったので、簡単に龍巫女の間まで到着することができた。
「いい加減、教えてくれない?何をしようとしているの」
と扉を挟んでも聞こえてくる遥の声。三人はしゃがんで、息と気配を殺して会話を聞く。
「落ち着いてください、巫女様。ここが成長するためです」
「どうやって?その答え次第では……わかりますよね?」
威圧する声。
「おー、怖い、怖い。簡単に言えば、邪龍の力を借ります。あの龍神を越えた力を持つ邪龍の力をコントロールして、世界の覇権を握る!」
と音がなりそうなほど強く握りこぶしを作りながら言う。龍巫女は、目を見開きながら
「邪龍の力?何をふざけたことを言っているのですか?そんなことをすれば二回目の災厄が起こることぐらいわかるでしょう?」
と大声で言う。男は冷静な顔を崩さずにそんなことは問題ではないと言わんばかりに
「そのために準備してきたのです。コントロールするために龍脈を使った術式とかをね……計画は後実行のみです。御許可を」
と言う。龍巫女は怒りで顔を歪めながら、感情を抑えることも忘れて、
「そんなこと、許可できるはずがないでしょう!!」
と叫びに近い大声をあげる。
「ならば、事が済むまで眠っていろ!」
と言って拳を入れる。龍巫女はきゃっと声をあげて後ろに下がる。二発目が当たる前に一馬は扉を蹴り開け、走り、刀を使って防ぐ。
「遥に手を出すな!」
と言う一馬。その目は気迫に満ちていた。その目に男は冷静な顔を崩し、
「くそ、まぁいい計画を実行するぞ」
と言って奥の部屋へと走って行く。倒れている龍巫女に手を差し伸べて立たせる。
「あ、ありがと。一馬」
と状況からわかる作った笑顔なのに一馬の心は癒された。龍人、竜也も中に入ってくる。
《一馬くん、娘を助けてくれてありがとう》
と言っていたのを龍人から教えてもらう。
「見えないから、感動の再会とはいかないのか」
遥の頭には?が見えそうなほど首を傾げている。
「遥、ここにお父さんがいる」
とど真面目な顔で一馬が言う。遥は
「慰めにもならないよ?言ったよねお父さんは事故で亡くなったって」
と当然の反応を取る。龍人も説明をしようとするのを竜也はとめて
《仕方ないですよ、見えない人を信じれる人はそういないですよ》
と言う。龍人は一馬にこれを伝えた。一馬はうつむきながら少し考え
「母を連れてここに必ず戻ってくる。そしたら感動の再会を見せてくれよ」
と龍人との位置関係から竜也がいるであろう方に向けて言う。竜也は涙を数滴垂らしながら
《初めてあった人に娘を助けてもらい、両方が認識できるようにしてくれる約束までしてくれてありがとうございます》
と言う。龍人はそれを一馬に伝えた後
「とりあえず邪龍復活を止めるぞ!」
と言う。
「私も連れて言ってください」
と遥。一馬は焦って
「それは危険だよ、ここで待ってて」
と言う。遥は決意した目で
「それはあなただって一緒でしょ?」
と言う。竜也はひたいに手を当てため息をつく。
「俺は、レイを……龍人!レイは?」
と尋ねると、龍人は
「連れていかれた、追いかけるぞ」
と言う。竜也は龍人に向かって
《決意した娘は、なかなか主張を曲げません。急ぐなら連れて言ってください、私が守ります》
と言う。それを一馬に伝える。龍人も急ぐように伝えてきたので、一馬は折れて、
「しゃーない行くか」
と言ってさっき男が降りて言ったと思われる非常階段を駆け下り、龍人が体を全員、掴むように言って、走り出すいや、若干浮いていたので飛び出すが正しいのかもしれない。その頃には日は少しずつ傾き、空がオレンジに染まっていた。




