[三章-19:龍の塔攻略・三階]
———3階
追いかけてくる警備員がいないので焦ることなくゆっくり登っていく2人。階段を上った先にまた先ほど同様扉がある。先程は見る余裕がなかったが、扉の上に「大会議室」と書かれていた。
(さっきのところもそうだとしたら、相当でかいなここの会議室は)
と思いながら扉を開けるとそこにはまたまた2人待ち構えていた。今度は両方男だ。
「おっ、まさかのあの2人を突破してきた系か」
と1人が言う。
「自己紹介といこうか、私はNo.3断剣だ。そっちはNo.2死槍だ」
「どもども〜。君たちはなんて言う名前?」
と爽やかよりチャラいが似合う格好の金髪の死槍。背中には名前の通り命を奪う黒い槍を背負っていた。
「俺は一馬だ」
と短く答える。龍人はなんて答えるのだろうと思っていると
「私に名はない。龍人と呼べばいい」
とまさかの答え。
(やっぱり、龍神って名しかないのかな?)
「龍神ね〜。あれか閃剣の言っていた、“自称”龍神か」
「“自称”は余計だ。後、なんとなく龍人と龍神を間違えているような気がするぞ?」
「龍神と龍神?変わってないじゃないか。馬鹿かな?」
「死槍、仕事をするぞ」
と冷静な断剣。
「分かっているよ、頭が固いよな断剣は」
と言って、背中の槍を構える。
「今回はどっちをやる?」
と龍人。一馬は相手の武器を見ながら考えて
「あのゴツい方をやらせてくれ。槍とはどうやればいいかわからんからな。でかい剣ならなんとなりそうだ」
と言って断剣の方へと歩く一馬。断剣は龍人も同じように死槍の方へと歩いていくのを見て、
「残念ながら、貴様らの相手はNo.1死術だ」
と言いながら指をパチンと鳴らす。それと同時に死術と思わしき男が現れる。それに気をとられてしまい、2人とも足下の術に気付かなかった。次の瞬間に2人の意識は無くなっていた。
———どこだかわからない場所
「……ん、ここは?」
と一馬は体を起こす。龍人も近くにおり、
「気が付いたか、捕まってしまったみたいだ」
周りを見るとザ・牢屋というようなコンクリートの壁に囲まれて鉄格子で出れないようにされた小さな窓と鉄格子の扉。適当なつくりの固そうなベットが2つと丸見えトイレ。
「龍神の力があれば脱獄簡単なんじゃないの?」
と思ったことを口に出す一馬。龍人は首をふり
「無理だ、ここには龍脈を使った術が組み込まれている。……だが人がこれを使えるわけが…人が使えるように改良したのか?」
と答える。一馬が口を開こうとすると同時に
「やあ、ごめんね。君たちの相手ができなくて」
と話しかけてくる死槍。牢の中の2人はそれを睨みつける。だが気づいていないのか、無視しているのかわからないが全く気にせず話を続ける。
「僕的には殺したかったけどなぁ、龍巫女の両親みたいにさ。あの二人はいい悲鳴をあげてくれたよ」
と狂気を帯びた声。
「龍巫女の両親!?事故で死んだって言ってたぞ!?」
と一馬は脊髄反射並みの速さで聞く。死槍は狂気に満ちた笑顔で
「ああ、それは俺たちが植え付けた嘘の記憶だよ。いや〜存在消去はちょー便利だよ、殺しても設定した人以外の記憶が消されるんだぜ、俺たちですら認識は不可能だしな。上の命令で擬似能力発動装置の温存のために生かしているがそれさえ無ければ君たちの悲鳴を今すぐにでも聞かせてもらうのに」
とに言って去っていく。龍人は
「そう言うことか」
と呟く。一馬にもその声は聞こえていたので
「どう言うこと?」
と尋ねる。
「ここに来てからチラチラ人の姿が見えていたんだ。おそらくあんたがそうだろ龍巫女のお父さん?」
と言う。一馬はこの人多分狂ったなと思った。
「龍神、何言っているんだよ、人には見えないって…………もしかして、龍神が依り代としている人間だから認識ができたってことか?」
と気づいた一馬。龍人も頷く。
「間違いない、こちらの声も届いているらしいし、言葉も聞こえてくる」
《まさか、僕を認識してくれる人が現れるなんて。なんとか今日まで生きて来た甲斐があるってもんだよ》
龍人は通訳を行う。
「龍巫女のお父さんなんだよな」
《ああ、その通りだ。僕の名前は龍ヶ崎竜也だ。見えないものをよく信じられるね》
龍人の通訳。
「まあ、龍神が言うんだったらそうなんだろうよ」
《彼を信頼しているんだね》
龍人の通訳。
一馬は頷く。
《さて、知っていることを話そう。僕は最近ここを嗅ぎまわっていたからね》
龍人は通訳を忘れて
「本当か、是非教えてくれ」
と言う。
「なになに?どう言う話?」
龍人の通訳。
《彼らがやろうとしていることは邪龍の復活だ。そのために僕の娘を無理矢理利用しているんだ》
と龍人にだけわかる怒り。竜也は話を続ける。
《彼らは僕の代から研究していた、龍脈を使った術を人間も利用できるようにすることを利用し、邪龍の力を人の器に移す術を作り上げた、そして計画の実行に邪魔な僕と妻を殺そうとした…僕だけ生き残ってしまったけどね。そして娘の純粋な心を利用して龍脈の力を奴らにも使えるようにしたんだ》
龍人は通訳をした後、
「なぜそんなことをやろうとしているかわかるか?」
と尋ねる。竜也は頷き
《彼らは巨大な向上心を持ち、ただでさえ人の身に余る強さの龍神様の龍脈ではなく、伝説上、龍神様すら抑えられなかった邪龍の力を使い、さらなる高みに登って行こうとしているのです。そんなことできるはずもないのに…》
「なんだと!邪龍を復活させるだと!?そんなことすれば二度目の災厄が」
と龍人。龍人は、ハッとして通訳を行う。
「ここから出なくては!竜也殿なにか方法はないですか?」
《私は人には影響できないのです、今も龍神様が間接的を間に挟まないといけない状態です。なのでせめてこの能力の影響が無ければ》
龍人の通訳。
「母の言葉ですけど、能力は全て術式を超高速で組める力と言っていました。そして、どんな能力であっても解けないものはないと」
《本当ですか、今すぐお願いします》
龍人の通訳。
「すみません、母ならともかく俺では」
と申し訳なさそうに答える一馬。龍人の方をチラッと見るも首を振られる。
三人とも下を向き、なんとか出れないかと策を練る。




