[三章-15:攻略開始]
龍人は一馬の思考を遮るように
「さて、そろそろ龍の塔へ行くか」
と言って、小屋から出る。一馬も慌てて、それについて出る。すると龍人は一馬の手をとり
「少し……いやかなり飛ばすからしっかり掴まれ」
と言う。一馬が龍人をもう片方の手で掴もうとするよりも早く、2人は加速した。普通ならば衝撃で気を失っているスピードだ。しかし龍人の力のおかげか一馬は高速で流れる景色を見れた。最も一馬的には見なければよかったと後悔したのだが……。高速で横を通る木々、時々左右に動く龍人とそれにしがみつく自分、その2つが龍人がそんなミスを犯すなんてことはないだろうがもしもだ、もしも当たったら木っ端微塵に木も自分もなる直感的にそれが理解できてしまった一馬は“恐怖”を覚えた。もう少しスピードを抑えるように伝えようと口を開こうとした瞬間、一馬の声が出るよりも早く
「ついたぞ、大丈夫か?」
と龍人が上から下へ流れるように一馬を見ながら訪ねてきた。一馬は、ははは と笑った後、
「余裕だよ、行こうか」
と強がって答える。しかし目には涙、顔は冷や汗まみれ、下は……言わずともわかるだろう、想像通りだ。一馬はそれを見られまいと顔を腕で拭き取りながら、
「…そ、それより、それより龍の塔に入ることってできるんですか?……そっか、本当かどうかは別として、龍神ですもんね」
と言う。龍人は
「入る方法はひとつ、一番簡単なやつだ。突撃って言ったらやることすべて理解できるか?」
と突撃なんて無茶苦茶な作戦を言っているとは思えないほど知的な様子で作戦を告げる。
「……なるほど………と言うと思いますか?そんな方法で行けるわけ無いでしょ!捕まって終わりですよ」
と一馬の正論。龍人はそれに対して
「それ以外の方法があるのか?それに人の姿とはいえ龍神とともに戦うんだから安心しろ。ここには私の愛刀もあるしな、負ける可能性など皆無……いや、絶無だ」
と根拠のないはずなのに絶対的な安心感を与える言葉。それに一馬は包まれるように安心感を得て
「わかりましたよ、やってやりましょう」
とさっき下の蛇口さえ締まっていれば、かなりかっこ良い、否、かっこ良かった台詞を言う。
(さて、レイを返してもらうぞ)
龍の塔攻略が始まる。




