[三章-14:龍の塔]
「ここは?……どこだ?」
見覚えのない場所に聞こえるかどうかの僅かな声量で呟く一馬。それが龍人に聞こえていたのかわからないが
「目が覚めたか、うなされていたぞ、大丈夫か?…ここは私の人間体の時に過ごしている家だ」
と“自称”龍神が言う。一馬が周りを見ると、家と言うより小屋がぴったりくるボロボロの木造の建物が見えた。一馬は先ほどの記憶がどんどんと戻ってくるのを感じる。
「………そうだ!レイ、レイを助けに行かないと」
と立ち上がりながら言う。今にも外に飛び出そうな一馬を“自称”龍神は静止する。
「やめろ、レイを助けに行かないと行けないんだ!」
“自称”龍神は落ち着いた口調で
「助けにって、どこに行くつもりだ?」
と尋ねる。一馬は一瞬考えたがもちろん答えが見つかるわけはなく
「わかんねぇ、けどどっかにいるんだからとりあえず行動しないと」
と言って“自称”龍神の手を振り払おうとする。
「まぁ、聞け。おそらく龍の魂は龍の塔に集められている」
「龍の塔……龍の魂…ってことは龍巫女、遥の命令でレイを捕まえたのか?」
と驚き大声で尋ねる一馬。確かに遥にはレイを見られている、犯人でもおかしくないと思っていると、“自称”龍神は
「その可能性も否定できないが、おそらく違うはずだ。あの子が龍の魂を捕らえることはしないはずだ」
と言う。一馬はその答えにホッとした。
「ひとつ聞いていいか? …龍の魂をどこで見つけた?見つけたのはいつ?」
と尋ねる“自称”龍神。
「…2つな気が。まあいいか、見つけたのはは数ヶ月だったな、場所は学校の近くだけど」
と答える一馬。龍神は驚いた顔をして
「そんなことが……この付近で、龍脈はここが一番でかいからここに集まるはずが、外で見つけたのか。お前、何者だ?」
と言う。
「俺は、ただの学生の斎藤一馬だ。俺、レイを助けに行かないといけないからそろそろ行くな、助けてくれてありがと“自称”龍神」
「“自称”は余計だ、私も気になることがあるから私も行くぞ」
と言いながら家?小屋?の奥から刀を取ってくる龍人。鞘と柄には黒と白の二頭の龍が描かれていて、龍の鎖がついている。一馬は父が似たような、と言うかそのものを持っていたような気がして
「あれ、それ父が持っていた気がするんだけど……」
と問う一馬。龍人は、
「そんなことがあるわけ無いだろ、これは刃龍の逆鱗近くの刃を鍛え、術式を加えて作った、超一級品だぞ同じのを持っているなんて…………そういえば影打を数十年前にここを出て行くやつにあげたが……まさかな」
と答えた。一馬にはその言葉が指す意味を未だ理解できなかった。




