[三章-16:龍の塔攻略・一階]
〜龍の塔一階〜
一階は一般開放されているので堂々と中央突破する、と言うよりは一般人に紛れて立ち入り禁止になっている階段へと向かう。そろり、そろりと二階へ上がって行く。この塔の階段はめんどくさく、階段を上がって二階に来たなら、逆側まで移動して三階へと上がる階段を上がら無いといけない。2人は最大限の警戒をしながらゆっくりバレないように歩いて行く。警備は幸い厳しく無いので監視カメラさえ注意すれば良かった。ただ、非常に大きな問題がひとつあった。…2人とも龍の塔の構造がわからないのだ。
「なぁ、龍神さん?階段はまだ?」
と小声で尋ねる一馬。龍人は
「もうそろそろ着くぞ……多分」
と先程の自信はどこに行ったのか、と思うほど小声で弱々しく答える。
「それ、もう聞くの5回目だよ。今回は本当だろうね?」
「そりゃあもう、本当に決まっているだろ」
とこの回答も5回目であるのに一馬は苦笑する。
(これだけうろちょろしてよく警備員にバレないな)
と思うと同時に
「誰だ!ここは立ち入り禁止だぞ!」
と警備員の声が響く。
(なんて早さのフラグ回収。言うんじゃなかった…)
と思いながら戦うために身構える一馬。龍人は警備員に右の掌を向けて、
「少し、痛いぞ」
とつぶやき、波動を放つ。それを避けられず、直撃した警備員はそれ以上音を出すことはなく倒れた。その様子を見て一馬は
「…殺して……無い…よね?」
と尋ねる。
「ああ、当たり前だ」
と答える。一馬は内心ホッとした。ただ、龍人は続けて、
「だが、他の警備員にバレたみたいだ、足音が騒がしくなっている。急ぐぞ」
と言って走り出す。一馬もそれについて走る。警備員は見つけ次第、制圧のために襲ってくるようになった。しかし、龍人がそれを寄せ付けずひとり、またひとりと警備員の意識を奪う。逃げ惑いながらだが、ついに階段を見つけた。奇跡的に逃げ込んだ扉の奥に階段があったのだ。
「よし、ラッキーだな。急いで上がるぞ」
と龍人。一馬も頷き、階段を駆け上がる。
(エレベーターの大切さがよくわかるな)
と一馬は思った。
「侵入者?さっきの男2人……逃げ切ったんだね。……そういえば、名前を聞いていなかったな〜。さっきの続きをしようじゃ無いか」
と不敵な笑みを浮かべて言う。その後ろにいるもう1人が
「せんぱい、本当に戦いに関することになると生き生きとしますね。来る人の情報教えてくださいな」
と言う。
「くる人達ね。1人は“自称”龍神だよ、実力はわからない。若い方は結構できるよ、僕に龍脈の力を使わせようと思わせたぐらいにね。ただ、あの子は二刀流が向いていると思うんだよね〜」
「はぁ、あまりよくわからなかったけど……ひとつ質問してもいい?龍脈を使った、せんぱいとその侵入者がやりあったらどっちが勝ちますか?」
「僕に決まっている。彼は、まだまだ弱い……もう少し技術を磨いてきたら、僕の部下にしたいぐらいだけどね。命令だし、決着つけたいし、せめて本気を出して殺すよ」
と先程まで陽気に話していたのが嘘のように冷徹に答えを述べる。
「ここにくるみたいですよ、せんぱい」
「そうか、ここには君と僕以外入らないように伝えてくれ」
「はいはい、自分ですればいいのに……せんぱいは人使いが荒いんですよ。女子には優しくしないと嫌われますよ?」
と言った後、大きな部屋の外に出て行く。




