[三章-8:二つの危機]
悠一はふと自分の護衛に出した霊体の存在の消滅したかもしれないことに気づく。
(………おい!イヤ、大丈夫か?返事しろ!)
イヤからの返事は無い。
(イヤ、視覚共有をしろ!)
やはりイヤの返事はおろか気配すら感知できない。
「くそっ!」
と悠一は一馬が歩いているかもしれない森を見る。木が不規則に生えており、遠くを見渡せない。当然、一馬を見つけることはでき無い。悠一は道を外れ自然の坂を下る。
「大丈夫ですか?今日はよく落ちますな」
と先導さんが心配そうに呼びかける。
「大丈夫です。後で合流します」
悠一はそう行った後、走り出す。
(イヤがもし殺られたなら、一馬が危ない。急がないと)
と悠一は木をかわしながら獣道を目指す。すると、目の前にローブの男が2人現れる。
「すまない、ここは通行止めだ」
と1人が言う。悠一は嫌悪感を隠さずローブを見る。胸には龍の紋章が付いている。
「その紋章、龍の谷の関係者か?」
「………回答を拒否する」
「なぜ、通行止めなんだ?」
「………回答を拒否する」
「向こうに、友人がいるんだ。行かせてください」
「………それはできない」
「なぜ?」
「……少し騒ぎが起きていて危険だ」
といったような会話をした後、悠一はこのままでは説得することはできない、と感じ
「なら、無理やり行かせてもらうよ」
と言って、ローブの後ろを見る。
「…ならば、処理する」
と言った対象はすでに目の前にはいなかった。ローブ男は後ろを振り向くと、そこに悠一がいた。ローブ男は一瞬驚いた顔をしたが、すぐ右手を上げ、悠一を指すようにしてその手を振りおろす。すると後ろで気配を消していたらしい5〜6人で構成されたローブ軍団が追いかける。そして手を振りおろした男も追いかけ出す。
「……痛ってぇ……くそっ」
と一馬は傷のある右肩を押さえながら言う。
【……すまない、我が守るべきところを…霊体がいなければ危険だったな】
「……あぁ、霊体がいなかったらやばかった」
そう、先ほどの一撃、飛んできたダガーをイヤがシールドを張って、防いでくれていた。しかし、守れずイヤが犠牲になることによってギリギリ弾くことができたのだ。弾いたダガーが一馬の肩をかすめて傷をおっていたのだ。一馬が動こうとした。その時、追撃するダガーが飛んでくる。一馬はそれに気づくのが精一杯だった。刺さる!そう思った
刹那
レイがシールドを張って防ごうとする。先ほど同様止めることが出来ずダガーが弾ける。軌道が外れたダガーは一馬の顔、眼の下ギリギリを引き裂き数メートル後ろの木に突き立てられる。
「あっぶねぇー、もう少し上なら目がやられてた」
一馬は、思わず声を出す。するとダガーが放たれた先から放った張本人らしき人が歩いてくる。
「あれ〜、2発で仕留められなかったのは初めてだなぁ。…………これは殺しがいがありそうだなぁ」
と陽気に、ただ残酷な笑みを浮かべて言う。




