[二章-31:vs.御剣]
一馬に斬りかかる御剣、それを見て身構える一馬。両者の刀がもう数㎝で触れるその時、二つの刀を隔てる壁が現れる。
「……悠一くん、どういうつもりだ?」
と御剣。
「御剣さん、あなたが普通に一馬くんとやり合えば一馬くんは確実に死にます」
「………悠一くん、いつ俺が一馬を殺すと言った?」
「………じゃあ」
と悠一が言いかけると、それを遮るように御剣が
「そのままでは、試合に出られないようにするだけだ」
と言った。
「……はっ?それでは…」
と焦る悠一。
「…いいんだ、ゆうちゃん。それだけしなきゃ身につかないことなんだろ…多分」
と一馬が言うと悠一は渋々頷く。
「……いいか?…行くぞ」
と御剣が動き出す、それを見て一馬は身構え、悠一は距離を取る。御剣の放った剣撃を一馬は受ける。一馬はそのまま、片守片撃の構えを取り、御剣の攻撃を防ぐ。片手に力を溜めきり片撃を放つ。しかし、それを読んでいたかのように体をそらし躱し、その一撃の間にできたほんの少しの隙を逃さず斬る。
「……ぐっ…痛ってぇ」
と背中の痛みをこらえきれず呟く一馬、しかし御剣の追撃に対応しきれず右手に斬撃が入る。赤々とした血が吹き出る。一馬は右手を押さえなながら
「…修復活性化」
と呟く。
———修復活性化
受けた傷を能力エネルギーを流し、細胞を活性化することによって高速で治すこと。基本的には、止血、痛みを抑える作用、傷の修復が行われるが傷の大きさによって治せる程度、必要な時間、必要な能力エネルギーは異なる。修復活性化は、能力エネルギー消耗が激しく、体力も多く消耗されてしまうのに加え、治せる程度、必要な時間なども保健室の小野寺先生などが持つ治癒系能力には数段劣る。
体力が多く消耗されることが分かっていても一馬は痛みを和らげるために修復活性化を行なった。それが終わるとほぼ同時に御剣の次の一撃。間一髪でそれを躱し突きによる反撃、御剣に当たるほんの数㎝手前で躱され、またできた隙を逃さず、一馬は背中を斬られる。痛みに耐えきれず地面に全身がついてしまう一馬。うつ伏せの状態から、後ろを見ると次の御剣の一撃の準備がされている。いそいで一馬は仰向けになり、新しい刀を作り、振りかざされる刀を顔に当たるギリギリのところでとめる。一馬は押し返そうと試みるも、御剣に逆に押されて一馬自身の刀が顔に当たる。一馬は必死に抵抗するも力の差は覆らずどんどん刀が顔にめり込んでいく。
「…あっ…ぐっ……がはっ」
一馬は痛いと口にできず唸ることしかできなかった。痛みにこらえきれず体をそらしてしまえば確実に斬られる、それを分かっていたからこそ、一馬はこの状況に耐えるしかなかった。しばらくこの状況が続きついに一馬は意志を伴わずに体をそらしてしまう。
「……しまった!」
と反射的にその声が漏れた時には体は動いてしまっていた。一馬が斬られることを覚悟したその時、
「……時間だ」
と御剣が言った。




