[二章-30:風斬]
戦いを終え、一馬がゆっくりと立ち上がろうとする。それを目で追いながら御剣は
「お前に足りないものはなんだと思う?」
とゆっくりと尋ねる。
「…技の鋭さ、多様性でしょうか」
と少し考えたの後、一馬は言う。
「……一馬、それは違うと思うな…」
と悠一が言おうとすると
「…悠一くん、それは一馬自身に分からせるべきだ」
と遮るようにして、御剣が言う。悠一は、御剣を見て頷く。御剣は先ほど使っていた木刀が割れているのを見ながら言葉を続ける
「…一馬、お前に足りないもの…それを自分で、戦いの中で見つけて見ろ……それができないなら死……とはいかないが出場できないようにしてやる」
と冗談とは誰もが取らないほど本気を感じる口調で言われる。一馬の答えを聞く前に御剣は自分の家の中に戻り、真剣を取って戻ってくる。
「……その刀は…?」
と尋ねる一馬。
「…風斬、元々は無名刀だが我らの流派が名付けた名刀に引けを取らない業物だ。この刀の作り主は鍛冶屋ではなく刀が作れなかった、しかし頼み込んで一本だけ作らせてもらった。だが作った刀は……誰も見てくれなかった、才能は認められなかった。その後、この家でひっそりと死んでいったそうだ」
と語るように答える御剣。太陽を反射しながら銀に輝く刃、それは完全に戦うために精錬された刀と放つオーラから直感的にわかる。そのオーラに一馬は思わず一本下がる。一馬は父、海馬の持っている無駄に龍の彫刻が刻まれた刀を思い出した。
「普通に殺り合えば、お前は確実に死ぬ。だから、5分間で俺に一撃浴びせられたらお前の勝ちだ」
と御剣は言う。一馬は、御剣の気迫に押され反応できなかったが、
「……行くぞ!」




