[二章-29:手合わせ《bout》]
御剣が話を元に戻す。
「一馬、一度手合わせしようか。神谷くんは近くで見ていてくれ」
『わかりました』
と一馬と悠一は同時に答える。御剣はゆっくりと家の中に戻って行き木刀を一本持って来る。
「前の特訓で、竹光、木刀をやられたからな……これが最後の一本だ」
と木刀を振りながら御剣が言った。一馬も黒い刀を作り出して構える。
「行くぞ」
そう短く言った後、高速で間合いを詰め首元を狙って一撃。一馬は間一髪しゃがみ、髪の毛が擦れるだけで済んだ。木刀を振り切った御剣の隙を狙い拳を突き出す一馬。しかしそれを御剣はいとも容易くかわして、逆に一馬の腹に拳を入れる。一馬は数歩後退するも、すぐに構え直す。そして、一馬は半円を描くように御剣の背後を取って首元目掛けて刀を振るう。しかし、御剣は振るわれた刀を持つ手を掴み投げ技を仕掛ける。一馬はそれを堪えようと全身に力を入れる。しかしそんな事は御剣には通用せず投げ、叩きつけられる。一馬は痛みを堪え立ち上がる。御剣は細かく剣を振るい出す。それを一馬は片守片撃の構えを取り御剣の攻撃をはじく。一つ一つ的確にはじく。しかし、御剣の攻撃の軽さ、少なさから御剣の本気どころか半分も出していないことを悟る。一馬は御剣の隙を見つけ片撃を放つ……いや放とうとしたの方が正しいだろう。御剣は片撃が放たれるのに必要な指を弾く動作が行われる寸前に手を掴む。そしてまた投げられる。一馬はすぐに立ち上がり、御剣の突きを避斬の構えでそらし、拳を打ち込む。………結果は先ほどと変わらない。投げられ、地面に叩きつけられる。
「もう、いいわかった」
と御剣が言った。




