[二章-5:解決策《Solution》]
話しかけてきたタバコを吸っている、がたいのいい色黒の強面の男性、外見だけ見ると明らかにやばそうである。しかし一馬は知っている、彼 石宮武蔵先生は優しいことを。武蔵先生は能力実技の先生で中学から補習でお世話になっている先生だ。
「そんな変な顔でしたか?」
と尋ねる一馬。武蔵先生はふふっ、と笑いながら
「ああ、つまらないことを考えていそうなつまらない奴の顔だったぞ」
と白煙を吐きながら答える。声のトーンから機嫌が良さそうと一馬は判断する。
「そうですか……、そうだ闘技会って棄権できます?」
と尋ねる一馬。武蔵先生は何をバカなことを聞いていると言いたげに
「そらぁできるけども、それなりの理由はいるだろうけどな。…でもなんでだ?棄権したら得点が0点になるぞ」
と答える。優能力者学園の体育祭はポイント制でランダムにクラス単位で組み分けされたチームで優勝を目指す。闘技会は出るだけで10点そこから一回勝つごとに20点ずつもらえる。確実に取れるポイントを失うのは勝利から遠のくので避けたいところではある。
「………理由、ちょっと話してもいいですか?」
と一馬が尋ねると頷く武蔵先生。彼は、一馬の真面目な様子を勘付いたのかタバコを灰皿に押し付けながら最後の煙を吐く。
「俺はせめて雫の前だけでは頼れる兄でいたいんです。体育祭は雫も見にくるので……負けたくないんです。雫に弱い兄として見られるぐらいなら、俺はクラスでの立場はどうなってもいいんです」
と一馬。武蔵先生はつまらないな話を聞いた後、馬鹿な奴を軽蔑するような顔をして
「だったらなんで強くなろうとしない?勝とうと思わない?」
とだるそうに尋ねる。
「わかっているとは思いますが…俺は劣能力者ですし…」
「お前は扱い方しか分からない初心者の剣士と短いナイフを持った剣豪だったらどっちが勝つと思う?」
「うーん………剣豪…でしょうか?」
と少しの考え込み答える一馬。
「俺もそう思う、ならば何で剣豪になろうとしない?本気で勝ちたいならお前は剣豪になれ、本気でその気があるなら手伝うぞ」
といつもより強い口調で話す武蔵先生。




