[二章-4:熾天使の翼《Seraph》]
煜の背中に橙黄色に輝く六枚の翼のようなものが現れる。その姿は名の通り熾天使のようである。明らかに高エネルギーを持った翼の攻撃を封じるために、一馬は至近戦で攻撃がくる前に仕留めようと動く。煜は、右手を前に突き出し、握りこぶしを作りながら
「消え去れ、翼の中で!」
と叫ぶと翼は一馬を包み込むように閉じる。
包み込むと言ってもかなりスピードがある。
一馬はかわしきれずもろに受ける。一馬の目の前が真っ白に染まる。体に連続で細かくダメージを受けている事を感じる一馬。しかし光の中で徐々に感覚は薄れ、今空中にいるのか地面を這っているのかすらわからなくなる。すると目の前が急に暗くなる、それは真っ白な世界に適応して外の世界が暗く見えただった。闘技会のフィールドを遥かに超え、グラウンドのフェンスに叩きつけられる一馬。がっ、と声を出し今度は地面に叩きつけられる。
「くそ…なんて強さだ」
と消えゆく意識の中で本当に小さく呟く。
そして今度は目の前が真っ暗になる。
目覚たところは暗い部屋。
「ここは?……保健室か…?」
と状況を飲み込もうとする一馬。すると部屋の奥から
「やっと起きたのね、体は大丈夫そう?」
と声が聞こえてくる、声の主はこの保健室の主、小野寺先生だ。一馬は体を少し動かすその時時計をちらりと見ると時針が8を指していた。
「げっ…かなり寝てたのか。そうだ雫は?」
と一馬。すると小野寺先生はため息をつきながら
「つい1時間程前に太樹君たちと協力して無理矢理帰らせた、あの子なかなか言うこと聞かないのよ」
とだるそうに愚痴をこぼす小野寺先生。
「なんか、すみません」
と謝ると
「本当にそう思っているなら早く帰ってくれない?」
と言われ慌てて帰りの準備をする一馬。
———帰り道
一馬は先ほどの戦闘について考える。かなりの惨敗であった。一発もまともなダメージが入っていないかった。このままでは闘技会で雫に弱い兄を見られてしまう、と考えながら歩いていると
「どうした一馬、そんな面白い顔して」
と話しかけられる。




