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オレとカノジョのヒーロー活動  作者: 赤城青
第二章 地下世界の怪物
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第三幕 妖呪 ③


「「……きゅうせいしゅー?」」


 オレとナギは胡散臭そうにハモらせる。

 世界を救うってなんだ、たった一個体の能力で世界をどうこう出来るわけないだろ、とかツッコみどころが満載でどっから切りこむべきか考えていると、孔袁は固い口を開く。


「救世主は必要だ。我々には特に」

「信じられないのはね、当然だよ、ね?」


 まさか、冗談じゃなくて本気で言ってる?


「(……ハルヒロさん。わたしは彼等の話に興味があります。特に予言の内容は)」


 どうやらセイラさんは本当の事だと判断したようだ。

 オレからしたら信じられる要素はまだないが、秘密主義のセイラさんにとってはそうでもないという事か?

 ならばオレも出来るだけ、頭をリセットする。


「……一説って言ってたけど、全部の予言は教えてくれるか?」

「無理だね。教えるには江戸まで来てくれたら、ね」

「エド?」

「日ノ本の民が住んでいる都」

「そうそれアンタら日ノ本の民ってなんだ?」

「我らは聖來都市の外で隠れて暮らしている民族だ、ね」

「……そうだろうな」

 

 雅鳴の話で大々そんなところかもと思っていた。

 日ノ本とは多分、千年以上前に滅びた日本という名に酷似しているのだ。

 そう都市監視領域外、オレ達はその場所をヴィランの巣窟と呼んでいる。

 だがそこは人の住める場所ではないとオレ達はそう認識していたのだがどうやらそうでもないらしい。

 オレはヴィランであろう孔袁を見据えて聞く。


「……どうやらそこはヴィラン研究が進んでいるようだな?」

「そうだ、ね。けどここまで自由に動けるようになったのは最近だけど、ね」

「……最近、そうか、そういう事か鬼木時雨先生が関わっているんだな」


 オレの鎌をかけた発言にルーシィは驚愕した。

 何故、それを知っているのかと、オレの先生という言葉に少しは動揺しているようだ。

 その反応で先生の協力者達が判明した。

 いつどこで知り合ったのかは知らないが、その事をどうして雅鳴が知っているのかが未だにわからない。


「……もしかしたら……」


 いや憶測で決めつけるのはやめておこう。

 今は囚われている状態なのだ。下手したら気が変わって殺される危険がないとは言えないのだから……だがそれでもオレは少しだけ踏み込んで聞いた。


「なに?」

「……それより、アンタらはナギをどうするつもりだ?」

「パパン?」

「救世主って予言されているなら、それ相応の危険な事をさせられるって事だろ」


 不確かな予言にナギが縛られるのは、今の話を聞いて予想は出来る。

 世界なんてそんな壮大な事をこの少女一人に押し付けるのはオレは違うと感じでしまう。


「否定はしない。来たるべき時までその子を保護する事は約束できる」

「……来たるべき時?」

「我も同じ。こんな少女一人に全てを託すべきじゃない」


 孔袁は重たい口から出る言葉は真剣そのもので嘘はない。


「保護は万全。聖來都市よりは危険はない」

「……確かに……」


 狐耳が露見した時点で確実に聖來都市は牙を向く。


「(ハルヒロさん。日ノ本の民の拠点である江戸まで向かいましょう)」

「(……は? ……けど)」


 セイラの提案はいいかもしれない。

 今オレにあるのは日ノ本の民の疑念だ。知らない事を否定は出来ない。

 知る事でオレも日ノ本の民と交流が出来るかもしれない。まあそれもナギを預けても大丈夫かと判断してだが(お父さん視点)。ダメなら別の手を考えなければならない。

 まあ聖來都市に敵対している相手に歩み寄る行為はどうなんだ?とツッコミたいが、今のオレは前から聖來都市の実態が信じられない。

 日ノ本の民がどうして敵対しているのか知れば、もしかしたらその部分も視えてくるかもしれない。

 先生が都市を恨んでいた理由ももしかしたら。

 考えないといけない事は山程ある。ナギのママンの件。ナギの今度の事。日ノ本の民。聖來都市の事。アインベルンの活動。そして秋葉の件。

 秋葉はいま大丈夫なのだろうか?

 未だに避難所生活を送っている。なにか手を打たなければならない。


「本来の作戦を切り上げて、我々はナギを江戸まで護衛する」

「……優先順位だ、ね」


 そんな中、ナギの口数が少ない事が気になった。この場に連れられて浮かない顔をするのは当然の事だが……。


「ナギはそれでいいのか?」

「…………ナギは……それでいい」


 なにかを押し殺しているのは顔を見ればわかる。

 本当はナギがどうしたいのか、オレはわかっていたが、オレは気付かないフリをする。

 孔袁が言った通り、聖來都市は危険だ。

 もしかしたら日ノ本の民も危険なのだろう。聖來都市とも敵対しているところで安心して暮らせるとは思えない。

 だからオレは決めた。


「……オレも連れいってくれないか?」

「は?」

「友達が安心して預けられるか、確認したい」

「……無理だよ、ね」


 ルーシィは間抜けな顔を晒して、当然のように断った。

 それはそうだろう。敵である者を招きいれる馬鹿はどこの世界にも存在しないのだから。


「……許可する」

「孔袁さんッ⁉︎」


 まさかのおっけにオレは愕然とする。

 どういう事だ? それ以前にここまで内情を聞かせられている時点でおかしい話だ。


「ただし条件がある」

「……条件?」

「落ち着いたら話す」


 そう告げる孔袁は立ち上がると、静かに部屋から出て行った。

 どういう事だと言わんばかりに孔袁の後を追うルーシィ。

 そしてこの部屋にはオレとナギが残されていた。


「……一体、なんなんだ?」

「あの人達……変」


 とても同感だが、普通囚われているヤツを監視も付けずに放置するか?

 今まさにナギに頼んで鎖をどうこうする事も出来る。

 それをやると孔袁の見逃しの三度を使わされる事になるのは目に見えているからやらないが……。


「あのーナギさん」

「どうしたの?」


 ぐーーーとお腹が鳴るオレは思い出す。

 一日なにも食べていないのでは?


「お腹が空きました。なにか食べさせて」

「……ナギも空いた」


  

 

 

 


 


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