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私だけが真実を知っているのに、誰も信じてくれない 〜悪役令嬢にされた私は沈黙を選びました。けれど王都は、私を失ってから少しずつ壊れていく〜  作者: 鳳凰院暁月刃夜


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第111話 支える人を、部屋の中に入れない支え

 誰かに支えてもらう、という言葉を聞くと、セレスティアはずっと、隣に人がいる場面を思い浮かべていた。


 手を握ってくれる人。


 背を撫でてくれる人。


 泣いたときに布を差し出してくれる人。


 崩れそうになったとき、すぐ腕を伸ばしてくれる人。


 たぶん、それは支えなのだろう。


 間違いではない。


 けれど今、母の覚書の箱を前にして考えると、その支えは近すぎる気がした。


 誰かが隣に座る。


 自分が箱を開ける。


 紙を取り出す。


 読み始める。


 その横で、誰かが息をひそめて待っている。


 心配そうに見ている。


 泣くかどうか、倒れるかどうか、途中で止めるかどうか、全てを見守っている。


 それは、ありがたいかもしれない。


 だが、苦しい。


 母の言葉を読む前に、隣の誰かの気配を読むことになってしまう。


 セレスティアは、新しく整えた小卓の前に座っていた。


 まだ箱は机の上。


 蓋も閉じている。


 覚書は出していない。


 昨日、一人で座った。


 扉を閉め、鍵はかけず、ノアは隣室で待った。


 一人でいることと、一人にされることは別だと分かった。


 では、次は。


 支えてもらうことと、部屋の中に入ってもらうことは、同じなのだろうか。


 セレスティアは、その問いを朝からずっと抱えていた。


 ノアは、部屋の反対側で書類を見ている。


 近すぎず、遠すぎない。


 最近の彼は、その距離をとても正確に測る。


 セレスティアが何か言うまで、入ってこない。


 だが、いなくなるわけでもない。


「閣下」


「はい」


「少し、難しい話をしてもいいですか」


 ノアは書類を閉じた。


「もちろんです」


「同席者のことです」


「はい」


「母の覚書を読むとき、誰かにいてほしい気持ちはあります」


「はい」


「でも、部屋の中にいてほしくない気持ちもあります」


「はい」


「これは、わがままでしょうか」


「いいえ」


 返事が早かった。


 あまりに早かったので、セレスティアは少しだけ肩の力が抜けた。


「まだ説明していません」


「説明を聞いても、答えは変わらないと思います」


「どうしてですか」


「支えが必要なことと、部屋の中に人が必要なことは別だからです」


 セレスティアは、ゆっくりその言葉を受け取った。


 別。


 また別。


 けれど、今日の別は少し救いだった。


「支えることは、隣に座ることだけではありません」


 ノアは続けた。


「はい」


「扉の外にいることも、隣室で待つことも、呼ばれるまで入らないことも、支えになります」


「呼ばれるまで入らないことも?」


「はい」


「何もしないように見えます」


「何もしないのではなく、入らないという約束を守っています」


 セレスティアは、目を伏せた。


 入らないという約束を守る。


 それは、思ったより大きな支えかもしれない。


 昔、セレスティアの部屋には、いろいろなものが入ってきた。


 仕事。


 妹の泣き声。


 父の伝言。


 王宮からの依頼。


 侍女の相談。


 母の体調の知らせ。


 何かがいつも入ってきた。


 セレスティアが閉じたいと思っても、扉は仕事のために開いた。


 誰かが悪意を持って押し入ったわけではない。


 ただ、必要だと思われたものが、次々に入ってきただけだ。


 だから、入らないと約束されることが、今は支えになる。


「私は、扉の中に入ってくる支えが少し怖いのだと思います」


 セレスティアは言った。


 ノアは頷く。


「はい」


「支えるため、心配だから、そばにいたいから。そう言われると、拒みにくいです」


「はい」


「でも、母の覚書を読むときまで、誰かの心配に応えたくありません」


「応える必要はありません」


「閣下の心配にも?」


「はい」


 セレスティアは、少し驚いて顔を上げた。


「心配してくださるのに」


「心配はします」


「はい」


「しかし、私の心配を処理するために、あなたが部屋へ私を入れる必要はありません」


 その言葉は、静かだった。


 けれど、セレスティアの胸に深く落ちた。


 心配されると、応えなければならないと思っていた。


 心配してくれた相手を安心させなければ。


 大丈夫です、と言わなければ。


 泣いても、泣きすぎて相手を困らせないようにしなければ。


 崩れても、支えた相手が傷つかないようにしなければ。


 そんなことを、無意識に考えていた。


 でも、ノアは自分の心配をセレスティアの仕事にしなかった。


「では、閣下が支えてくださるとしても、部屋の外にいてもらう形があり得ますか」


「あります」


「扉の外」


「はい」


「隣室」


「はい」


「少し離れた廊下」


「はい」


「呼び鈴が鳴ったら来る」


「はい」


「呼び鈴が鳴らなければ来ない」


「はい」


「私が泣いている気配がしても?」


 ノアは少し考えた。


「危険がなければ、来ません」


「危険があるかどうか、どう判断しますか」


「事前に決めましょう」


 セレスティアは、ゆっくり頷いた。


 取り決め。


 また、取り決めだ。


 けれど、これがあるから安心できる。


「泣き声は、危険ではありません」


 セレスティアは言った。


「はい」


「声が出る泣き方でも」


「はい」


「椅子から立った音も、危険ではありません」


「はい」


「水差しを置く音も」


「はい」


「呼吸が乱れたら?」


「扉越しに声をかけますか」


 セレスティアは少し考えた。


「呼吸が乱れても、すぐには入らないでください」


「はい」


「ただ、長く続いたら、扉の外から声を」


「何分くらい?」


「……三分」


「分かりました」


「返事がなければ?」


「もう一度声をかけます」


「それでも返事がなければ?」


「入ります」


「はい」


 セレスティアは息を吐いた。


 細かい。


 かなり細かい。


 でも、こうして決めていくと、心が少し落ち着く。


「私は、部屋の中にいない支えを選びたいです」


「はい」


「同席者なし」


「はい」


「隣室待機者あり」


「はい」


「呼び鈴あり」


「扉は閉める。鍵はかけない」


「はい」


「危険音以外では入らない。泣き声だけでは入らない」


「はい」


「呼吸の乱れが三分以上続いた場合、扉越しに声かけ」


「はい」


「返答なしが続けば入室」


「はい」


「これを条件案に加えます」


「承知しました」


 セレスティアは、白紙を小卓へ置いた。


 小卓は、覚書を置くためだけの場所ではない。


 今は、自分の条件を書く場所でもある。


 彼女は丁寧に書いた。


『同席者条件案。

 覚書閲覧時、室内同席者なしを選択可能。

 隣室待機者あり。待機者はノア・エルヴェルド辺境伯を第一候補とする。

 扉閉鎖、施錠なし。呼び鈴あり。

 呼び鈴または明確な入室要請があるまで、待機者は入室しない。

 泣き声のみでは入室しない。

 危険音、倒れる音、硝子破損音、長時間の応答不能などの場合は例外。

 支援者の心配を理由に、本人の境界を越えない。

 支えることは、部屋の中に入ることだけではない』


 最後の一文を書いたとき、セレスティアは手を止めた。


 支えることは、部屋の中に入ることだけではない。


 それは、今日の大事な言葉だった。


「閣下」


「はい」


「第一候補と書きました」


「はい」


「負担ですか」


「いいえ」


「本当に?」


「はい」


「でも、部屋の中には入れません」


「はい」


「それでも、支えとしてお願いできますか」


「もちろんです」


 あまりに自然な返事だった。


 セレスティアは、少しだけ泣きそうになった。


「呼ばれるまで入れないのは、苦しくありませんか」


「苦しいかもしれません」


「正直ですね」


「嘘をついても仕方ありません」


「苦しいのに、できますか」


「できます」


「どうして」


「あなたがそう決めたなら、それを守ることが私の支えだからです」


 セレスティアは、言葉を失った。


 守ることが支え。


 入ることではなく、守ること。


 ノアは続けた。


「私は、あなたの部屋へ入る権利がほしいのではありません」


「はい」


「あなたが呼べる場所にいたいのです」


 その言葉に、セレスティアの目から涙が一粒落ちた。


 泣くつもりはなかった。


 けれど、落ちた。


 小卓の白い布には落ちなかった。


 膝の上の手に落ちた。


 セレスティアは、それを拭った。


「困ります」


「何が?」


「閣下が、時々とても優しいことを言います」


「時々ですか」


「頻繁に言われると困ります」


「控えます」


「控えないでください」


 言ったあと、セレスティアは自分で少し笑った。


 泣きながら、笑った。


 ノアもほんの少しだけ笑った。


 重い話の中に、こういう小さな隙間があると、息ができる。


 午後、北方辺境伯家から王妃宮へ状態報告が送られた。


『エレナ様覚書に関する本人状態。

 開封なし。読了なし。返答なし。

 本日、閲覧時支援者配置について条件案作成。

 本人、室内同席者なし・隣室待機者ありを選択肢に追加。

 本人所感:支えることは、部屋の中に入ることだけではない。

 個別詳細一部非共有。回答不要』


 王妃宮では、その報告を読んだ瞬間、リリアナが小さく息を止めた。


「室内同席者なし……」


 エルンが文面を見ながら言う。


「隣室待機者あり」


 マルタは、静かに頷いた。


「よい整理です」


 リリアナは報告書を握りしめそうになり、慌てて指の力を抜いた。


 紙を傷めてはいけない。


 姉の選んだ条件だ。


 丁寧に扱わなければ。


「私は」


 リリアナは、ゆっくり言った。


「お姉様の部屋に入りたいと思いました」


 マルタは何も驚かなかった。


「はい」


「心配だから。そばにいたいから。何かあったらと思うから」


「はい」


「でも、それは私の心配です」


「はい」


「お姉様は、室内同席者なしを選ぶかもしれない」


「はい」


「それを、拒絶されたと思ってはいけない」


「その通りです」


 リリアナは唇を噛んだ。


 拒絶。


 その言葉は、胸に痛い。


 姉が自分を部屋に入れない。


 それを想像すると、まだ少し寂しい。


 だが、姉はリリアナを拒むためにそうするのではない。


 母の覚書と向き合う自分の境界を守るためにそうする。


 そこを混同してはいけない。


「支えることは、部屋の中に入ることだけではない」


 リリアナは繰り返した。


「はい」


「では、妹ができる支えは何でしょう」


 マルタは少し考えた。


「扉を叩かないこと」


 リリアナは、はっとした。


「それも支えですか」


「はい」


「何もしないように見えます」


「何もしないのではなく、叩かないという約束を守るのです」


 リリアナは、胸に手を当てた。


 ノアと同じことを言われたわけではない。


 だが、きっと同じ構造だ。


 入らない。


 叩かない。


 覗かない。


 進展を聞かない。


 それが支えになることがある。


「私は、扉を叩かない支えをします」


 リリアナは言った。


「はい」


「聞きたいことがあっても、聞かない」


「はい」


「姉が部屋へ入れてくれなくても、それを愛情不足や拒絶と解釈しない」


「はい」


「私の寂しさは、私の支えへ持っていく」


「はい」


 エルンが小さく手を上げた。


「紙なら持てます」


 リリアナは涙ぐんだまま笑った。


「今日もお願いします」


「承知しました」


 王妃宮の補足は、その日のうちに作成された。


『非入室支援と待機支援――暫定版一』


 一、支援者が室内に同席しないことは、支援放棄を意味しない。

 二、本人が望む場合、支援者は扉外、隣室、廊下、別室で待機できる。

 三、待機者は、呼び鈴、呼び声、事前に定めた危険条件がない限り、入室しない。

 四、支援者の心配、不安、安心したい気持ちは、本人の境界を越える理由にならない。

 五、支援とは、入ることではなく、本人が選んだ距離を守ることでもある。

 六、扉を叩かないことも、支援になる場合がある。


 エルンが六番を見て言った。


「これは、かなり王宮向きですね」


 リリアナは頷く。


「皆、すぐ扉を叩きますからね」


 マルタが淡々と補足する。


「特に“心配です”という顔で」


「その顔が一番断りにくいです」


「ですから基準にします」


 リリアナは、ふと苦笑した。


「王妃宮は、断りにくい顔まで基準化するのですね」


「必要なら」


「恐ろしい場所です」


「安全な場所でもあります」


 その言葉に、リリアナは静かに頷いた。


 王太子府にも、この補足は届いた。


 アデルは読み終えると、椅子に深く座り直した。


「支援者の心配、不安、安心したい気持ちは、本人の境界を越える理由にならない」


 彼はその一文を繰り返した。


 エドは筆を構える。


「記録しますか」


「する」


 アデルは、少し苦く笑った。


「私は、謝罪したい。安心したい。許されるかどうか知りたい。彼女がどう受け取るのか見届けたい」


「はい」


「だが、その気持ちは、彼女の部屋へ入る理由にならない」


「はい」


「謝罪文を送る側が、読む場に同席したがるなど論外だな」


 ラウルが少し困った顔をした。


「通常、王太子府の公式謝罪は、使者が返答を待つ場合があります」


「今後は変える」


「すべて?」


「少なくとも、個人的謝罪、負担をかけた相手への謝罪、心的負担のある文書では禁止だ」


 エドが書く。


『王太子府補足:謝罪文送付時、送付者側の使者が開封・読了・返答を待つことを原則避ける。返答待機は受領者の境界を圧迫する場合あり』


 アデルは続けた。


「謝罪とは、こちらが楽になるために相手の扉を叩くことではない」


 エドの筆が止まりかけた。


 アデルは、先に言った。


「記録はしていい。壁には貼るな」


「承知しました」


 ラウルが小さく呟く。


「もはや壁に貼る前提なのですね」


 アデルは聞こえないふりをした。


 レイノルド公爵邸でも、同じ補足が読まれていた。


 グレゴールは、六番で長く止まった。


『扉を叩かないことも、支援になる場合がある』


 その一文は、父親である彼にとってとても痛かった。


 叩きたい扉がある。


 娘の部屋。


 北方辺境伯家の部屋。


 母の覚書が置かれた部屋。


 謝罪文を持って行きたい。


 声をかけたい。


 大丈夫かと聞きたい。


 何か必要なものはないかと尋ねたい。


 父として、何かしたい。


 だが、何かしたい気持ちは、自分の中で膨らむばかりで、娘の境界とは別のものだった。


「家令」


「はい」


「私は、扉を叩きたい」


「はい」


「だが、叩かない方が支援になる場合がある」


「はい」


「これも記録か」


「必要かと」


「書け」


 家令は書いた。


『グレゴール公爵、セレスティア様の扉を叩きたい欲求あり。現方針:叩かない支援を継続』


 グレゴールは、苦笑した。


「欲求あり、不可。欲求あり、不可。私は本当にそればかりだ」


「今回は不可ではなく、支援です」


 グレゴールは顔を上げた。


「支援」


「はい。叩かない支援」


「……そうか」


「何もしないのではなく、叩かないという支援です」


 グレゴールは、その言葉をしばらく噛みしめた。


 何もしないのではない。


 叩かない。


 送らない。


 聞かない。


 待つ。


 これまでの自分なら、それを無力と呼んだかもしれない。


 だが今は、それが支援になることを学ばなければならない。


「では、今日も叩かない」


「はい」


「送らない」


「はい」


「ただ、内部の整理は続ける」


「はい」


「娘へ見せるためではなく、こちらが逃げないために」


「よい方針かと」


「お前に褒められると、やはり不安だ」


「記録しますか」


「しなくていい」


 その夜、北方辺境伯家に各所の反応が届いた。


 セレスティアは新しい椅子に座り、小卓で読んだ。


 王妃宮の「非入室支援と待機支援」。


 リリアナの「扉を叩かない支えをします」。


 アデルの「謝罪とは、こちらが楽になるために相手の扉を叩くことではない」。


 グレゴールの「叩かない支援を継続」。


 どれも、静かな言葉だった。


 派手な謝罪も、涙の再会も、劇的な和解もない。


 ただ、入らない。


 叩かない。


 待つ。


 それが支えになる。


「閣下」


「はい」


「皆、扉の前で止まろうとしています」


「はい」


「以前なら、扉は開けられるものだと思っていました」


「はい」


「家族なら。婚約者なら。主君なら。心配しているなら。善意なら」


「はい」


「でも、閉じた扉を閉じたまま守ることも、支えなのですね」


「はい」


 セレスティアは帳面を開いた。


『同席者条件案を作った。

 室内同席者なし。隣室待機者あり。

 待機者第一候補、ノア・エルヴェルド辺境伯。

 支えることは、部屋の中に入ることだけではない。

 支援者の心配は、本人の境界を越える理由にならない。

 リリアナは、扉を叩かない支えをすると書いた。

 アデル殿下は、謝罪とはこちらが楽になるために相手の扉を叩くことではないと書いた。

 父は、叩かない支援を継続すると書いた。

 誰かが入ってこないと約束してくれることが、こんなに助けになるとは思わなかった』


 書き終えたあと、セレスティアは静かに息を吐いた。


「誰かにいてほしい。でも、入ってきてほしくない。これは、矛盾ではありませんか」


 ノアは首を横に振った。


「矛盾ではなく、距離の指定です」


「距離の指定」


「はい」


「支えの距離」


「そうです」


 セレスティアは、その言葉を気に入った。


 支えの距離。


 近ければよいわけではない。


 遠ければ冷たいわけでもない。


 今の自分に必要な距離がある。


「閣下」


「はい」


「もし、私が覚書を読む日が来たとして」


「はい」


「隣室にいてください」


「はい」


「扉は閉めます」


「はい」


「呼んだら、来てください」


「すぐに」


「呼ばなかったら、来ないでください」


「約束します」


 約束。


 その言葉に、セレスティアの胸が少し震えた。


 彼女は、箱の横に新しい紙を置いた。


『支えることは、部屋の中に入ることだけではない』


 もう一枚。


『支えの距離を、本人が決める』


 さらに、少し考えてから三枚目。


『入らない約束も、支えになる』


 紙を置き終えると、箱の周りはまた賑やかになった。


 けれど、今日はその紙たちが、扉のように見えた。


 外と内を分けるもの。


 閉じることも、開くこともできるもの。


 そして、誰かが勝手に押し開けないと約束してくれるもの。


 夜、灯りを落とす前に、セレスティアは箱へ静かに言った。


「お母様」


 声は穏やかだった。


「読む日が来ても、私はひとりにされません。でも、部屋の中には誰も入れないかもしれません」


 箱は答えない。


「それを、私は支えと呼ぶことにします」


 その夜、セレスティアは久しぶりに少し早く眠った。


 扉の外に、入ってこない支えがある。


 その安心は、思ったより深かった。

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