with Lionheart 32
「で?何を買ってきたんだ?」
「花を模した髪飾りです」
花の名は。
言わない。
「私はジュエル様を拝見したことはございませんが、お噂に違わぬ方ならとてもよくお似合いになるかと存じます」
空いている席に腰掛け、ニコリと微笑むマリアは美しいが、それを見たレオンハルトは顔を顰め呟いた。
「マリアはもっと素直で純粋な人間だと思ってたんだがな…」
「心外ですね、噂を信じる程には素直で、こんなにも純粋に主をお慕いしておりますのに」
「えっ、ありがとうなんか照れる」
「ふふ、主の為ならば、大抵のことはいたしましょう」
野暮ったいはずのメガネがむしろ彼女の知性と精悍さを引き立てていて、言葉と笑顔を向けられた悠理はもうメロメロだ。
さっきまで悠理と甘い雰囲気を醸し出していたのは自分なのに、その場所を取って代わられたレオンハルトが空気をかえるように口を開いた。
「……で、今日の予定は終わってしまったわけだけど、これからどうする、ユーリ?」
「うーん、とりあえず京子から連絡待ち。あんまりウロウロも出来ないし、ここでのんびり、かなぁ。マリアも甘いもの食べない?」
あまりウロウロできないのは、連れの二人が美しすぎて目立つからだ。
こうして座っているだけでも視線を感じるのに、これで歩き回るなど。
「お言葉に甘えて、いただきます」
「マリアの作るお菓子の方が美味しいけど、これはこれで、ね」
オススメの書かれているメニューを差し出しながら、内緒ね、と唇に指をあてて小さく笑う悠理。
120年生きてきてこれが無意識の行動なのだから恐ろしい。
普段から悠理はレオンハルトとマリアの顔がいいとうるさいが、二人からしてみれば悠理の方が余程愛らしく美しい存在だ。
「…戻ったら、ユーリ様のお好きなものをお作りいたします、ミヤコ様にも伺って、歓迎会をいたしましょう」
「やった、京子にも後で食べたいもの聞いておこうね!」
夕方、京子から耳飾りを通して連絡がくるまで、悠理達は楽しく過ごした。
王都で起きていることが三人の耳に入るのは、まだ少し先のこと。
めっちゃくちゃに短くてすみません、次回早く投稿できるよう頑張ります。




