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白夜に愛をうたう星  作者: おジョー
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once upon a time 7

短いかもですがキリのいいとこなので…!



中庭は書斎の窓から見えていた場所だった。


花は多くないが草木の高さが綺麗に揃えられ、きちんと人の手が入っているのを感じる。

小さなテーブルセットが置かれ、二人はそのすぐ側で向かい合って立った。


「それじゃ、はじめようか」


「よろしくおねがいします」


レオナードは午前のうちに悠理が読み終えた本を持ってペラペラとめくり、簡単に内容を確認する。


「とりあえず今日は、ユーリが自分の魔力を感じることを目標にするね」


本に書かれていた通り瞑想でもするのかと悠理が頷くと、レオナードは持っていた本を白い小さなテーブルに置いた。


「一人でなら書かれているやり方が一番確実って言われるんだけどね、今日は僕がいるんだし、もっと手っ取り早い方法にするよ。」


一歩、距離が詰まる。

ちょっとドキッとする。


「ユーリ、手を出してくれる?」


握手するように右手を差し出すと、手首を握られた。

動悸がすごい。


「こう…、うん、左手も同じようにして」


肘を曲げられ、胸の高さで手のひらを前に向けられる。


更に一歩、距離が詰まった。

顔が見れない。


(いやホント顔がいいんだがこの近さは待って無理)


視線をテーブルの上の本へ向けていると、手のひらを合わされ、そのうえ指を絡められた。


「!?!!???!?」


「緊張してる?大丈夫、落ち着いて」


声がすぐ近くで聞こえる。

緊張は確かにしているが、魔力の云々ではなくて吐息を感じられるのではと思うほどの近い距離と両手とも恋人繋ぎをしているという事実のせいだ。


(いやまってむりこれはむりしぬ)


不老不死なので死なないが、人の鼓動の回数が一生で決まっているならすごい速度で寿命が縮んだことになる。


「ユーリ、わかる?」


今の悠理にわかるのはレオナードの顔の良さと彼からいい匂いがすることだけだ。


「右手に意識を向けてみて」


目を閉じて全力で右手に集中した。


「…なんか…あったかい…?」


右の手のひらに、体温とは別の熱を感じる。


「すごい、すぐわかったね、これが今、僕の魔力を伝えている状態。そのまま熱の流れを追うように意識してみて?」


言われた通りに意識を向けると、初めレオナードと触れ合っている右手だけにあった温かさは悠理の身体中を巡っていることに気づいた。

特に心臓の辺りと目の奥、それから喉は、熱いくらいだ。


「胸の辺り、あつい?」


素直に頷く。


「どうやら感覚は掴めてるみたいだね、それがユーリの魔力だ。そのまま、僕がさっきしたように、左手から僕に魔力を伝えてみて、そうしようと思うだけでいい」


(レオナード様に、左手から、魔力を、伝える…)


「…うん、上手にできてる、これがユーリの魔力…すごく心地いい、ユーリはいい子だね…」


繋いでいた右手が離れたかと思ったら、頭を撫でられた。

驚いて目を開くと、目の前に優しく微笑むレオナード。


(ハイこれは死んだ)


不老不死なので死なない。


「ユーリ、僕の立場上、きみのことは国王陛下に報告しなくてはならない」


悠理はその言葉にギクリとするが、レオナードは変わらず笑顔のままだ。


「きみに魔力があって、これだけセンスがいいとどうしてもね、あとほら、僕一応公爵だから。でもそのまま王宮に監禁とかは絶対ないから安心して?むしろ、報告することできみの属性なんかもわかるようになると思う」


安心させるように、また頭を撫でられる。


「近いうち、挨拶に行くことになると思うけど、その後はもちろん一緒に帰ってこよう?それでまた、お酒に付き合ってくれると嬉しいなぁ」


一緒に帰ってくる。

その言葉だけで、まるで本当の家族のように接してくれているように思える。

悠理にとって、心を預けてしまうのに充分すぎる一言だった。


「はい、レオナード様」


この世界にきて初めて見せた悠理の心からの笑顔。


「!!……それじゃ、今日はここまでにしようか」


ニコニコと笑いながら手を離すレオナード。

彼が悠理の笑顔に驚いて目を見開き、頬を染めた一瞬を、悠理は知らない。





食事の後、翌日が早いらしいレオナードはすぐ自室へ戻ったので、悠理も入浴を済ませ、今日の復習をすることにした。


ベッドに座り目を閉じ、魔力の流れを意識すると、やはりレオナードに教わった時と同じように、心臓、目の奥、喉にやたらと熱を感じた。

レオナードの言葉からして、心臓の熱は恐らく皆が感じるものなのだろう。


では目の奥と喉は?


与えられた祝福を思い出す。


「うんと目をよくしてあげる!魔力を使えば色んなものが見えるようにしといたげるわぁ!」

「せっかくだから他の生き物ともお話できるようにしましょうか!」


そういうことなのだろう、多分。


試しに本棚の背表紙を見てみる。

この距離では何も読めないが、魔力を込めてもう一度見ると、タイトルが全部読める。

壁の向こうはどうだろうかと同じようにしてみたが、どうやら透視はできないようだ。


(距離だけなのかな…いやそれでもめちゃくちゃ便利だけど)


実際、もっと色々なものが見えるのだが、そんなこと今の悠理にわかるわけがなかった。


(喉…は、空を操るってやつにも繋がるか…)


試すのはやめておくことにした。


(夜だしね!)


自分が魔力を持つことはわかったが、まだ魔法の使い方自体は教わっていない。

明日はまた書斎へ行って興味のあるものがあれば読んで、その後はピアノを弾かせてもらおうと考えながら、悠理は眠りについたのだった。

マジでこれ大丈夫?

レオナード様メインヒーローになっちゃってない?

ババア(にも程がある)×ショタどこいった?

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