第99話「メタスラの涙」
ギルド。
アクア。
依頼書をバンッと叩きつける。
「これ!」
「新芽のない時期に貼るなよ!!」
受付嬢。
びくっ。
「あ、申し訳ありません……」
アクア。
「初夏限定って書いてあるじゃねぇか!」
受付嬢。
小さく手を上げる。
「あの……」
「この依頼書」
「十年前に貼られたものなんです」
アクア。
「……は?」
「誰もクリアできず」
「そのまま放置されてまして」
ユウ。
「十年間貼りっぱなし!?」
受付嬢。
「はい……」
アクア。
頭抱える。
「適当すぎるだろこのギルド」
だが。
アクア。
ポケットから銀色の核を出す。
コロン。
受付嬢。
「え?」
さらに。
コロン。
コロン。
コロン。
どんどん出る。
受付嬢。
顔色変化。
「しょ、少々お待ちください!!」
奥へ走る。
数分後。
鑑定師。
白髪。
眼鏡。
ルーペ装備。
「どれですかな」
核を見る。
固まる。
「……これは」
白い手袋をして、一つずつ確認。
沈黙。
ギルド中。
静まり返る。
そして。
鑑定師。
震える声。
「まさしく……」
「メタルスライムの涙」
アクア。
「え?」
「核じゃないのか?」
鑑定師。
「現在もっとも希少な宝石の一つです」
ユウ。
「宝石!?」
鑑定師。
「現在ほぼ供給ゼロ」
「極めて高額で取引されています」
アクア。
「依頼書には金貨三十枚って」
鑑定師。
「十年前の相場です」
「現在はまったく別物」
全部並べる。
二十個。
鑑定師。
興奮。
「しかも……」
「傷なし」
「欠けなし」
「完璧」
「素晴らしい」
アクア。
「で、いくら?」
鑑定師。
「街の宝石店なら一つ金貨五百枚は確実でしょう」
沈黙。
アクア。
「……え?」
ユウ。
「えぇぇぇぇ!?」
受付嬢。
「申し訳ありません」
「ギルドでは買い取れません」
そう言って。
宝石店の地図を渡す。
アクアとユウ。
即移動。
宝石店。
豪華。
キラキラ。
貴族カップル。
高そうな服。
アクア。
「場違い感すげぇ」
ユウ。
「大丈夫だよ」
女性店員。
笑顔。
「彼女さんへのプレゼントでしょうか?」
アクア。
「え?」
顔真っ赤。
ユウ。
ニヤニヤ。
「赤いよ」
アクア。
慌てて。
「いや違う!」
「これを買い取ってほしい」
核を一つ出す。
店員。
凝視。
固まる。
「……少々お待ちください」
店長登場。
白手袋。
慎重に持つ。
ルーペ。
確認。
数秒。
店長。
震える。
「こ、これは……」
「メタスラの涙……!」
アクア。
「あぁ」
店長。
料金表確認。
「現在時価」
「金貨六百枚です」
アクア。
「へぇ」
店長。
「まさか複数……?」
アクア。
「あと十七個ある」
店長。
「え?」
ユウ。
「え?」
ふざけて、ユウも驚いていた。
並べる。
十三個。
四個。
合計十七。
店長。
倒れそう。
「お、おい!!」
「金貨一万一千枚持ってこい!!」
店員たち。
大慌て。
アクア。
冷静。
「少し多くないか?」
「計算だと一万八百だろ」
店長。
深く頭を下げる。
「これほどの品を十七個」
「しかも極上品質」
「これは当店からの誠意です」
アクア。
少し考える。
そして。
ポケットから最後の三個を出す。
ユウ。
「あれ?」
「あと三個は?」
アクア。
「これは売らない」
ユウ。
「ふーん」
店長。
また震える。
「まだあるんですか!?」
アクア。
「これで」
「おそろいのネックレス作ってくれるか?」
静止。
ユウ。
「……え?」
顔。
真っ赤。
店長。
満面の笑み。
「最高級品をお作りいたします」
「明日デザイン案を打ち合わせできますか?」




