第95話「世界樹」
雪道。
白い息。
アクアとユウが歩く。
すると。
遠く。
とんでもない影。
アクア。
「あれか」
ユウ。
「わかりやすっ」
地平線の向こう。
一本の巨大な木。
いや。
木という規模じゃない。
山。
塔。
世界そのもの。
近づくほど。
その異常さがわかる。
ユウ。
目を輝かせる。
「大きい木!!」
「すご……」
アクアも見上げる。
「何年生きてるんだろうな」
ユウ。
少し真面目な顔。
「私より長いかも」
アクア。
「多分何万年だろ」
ユウ。
「えぇ……」
ドラゴンより長寿。
それだけで異常だった。
依頼書確認。
世界樹の新芽。
比較的低い枝。
だが。
その周辺に。
メタルスライム。
硬い。
速い。
危険。
そう書かれていた。
そして。
到着。
根元。
二人。
絶句。
「…………」
デカすぎる。
幹。
街一つ分くらい太い。
上。
見えない。
雲を突き抜け。
天まで続いているようだった。
ユウ。
「空刺さってる」
アクア。
「わかる」
根元だけで。
森。
川。
洞窟みたいな空洞。
普通の木の感覚じゃない。
アクア。
腕を組む。
「さて」
「どうやって登るかな」
ユウ。
ニヤリ。
「簡単」
その場で。
ジャンプ。
ドォン!
20メートル近く跳ぶ。
木の洞へ。
ガシッ。
「おぉ」
そのまま。
さらにジャンプ。
洞から洞へ。
まるでアスレチック。
アクア。
「なるほど」
真似する。
ドン!
軽々。
二人とも人間じゃなかった。
だが。
最初の枝まで。
三百メートル。
遠い。
地道。
ひたすら。
ジャンプ。
掴む。
跳ぶ。
滑る。
また跳ぶ。
途中。
ユウ。
「楽しいー!」
アクア。
「落ちたら死ぬぞー!」
ユウ。
「多分死ななーい!」
怖い。
そして。
四十分後。
ようやく。
最初の枝へ到達。
ドサッ。
枝。
いや。
広い道。
幅だけで数十メートルある。
木の枝なのに。
森みたい。
アクア。
息を吐く。
「やっとか……」
ユウ。
下を見る。
「うわ」
遥か下。
雲。
高すぎる。
アクア。
「落ちるなよ」
ユウ。
「アクアが助けてね」
「嫌なフラグ立てるな」
その時。
カチン。
妙な音。
二人。
同時に振り向く。
枝の上。
銀色。
ぷるぷる。
光を反射している。
メタルスライム。
いた。




