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奈落に落とされたが、そこは俺の領域だった  作者: 忍絵 奉公


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95/144

第95話「世界樹」


 雪道。

 白い息。

 アクアとユウが歩く。

 すると。

 遠く。

 とんでもない影。

 アクア。

「あれか」

 ユウ。

「わかりやすっ」

 地平線の向こう。

 一本の巨大な木。

 いや。

 木という規模じゃない。

 山。

 塔。

 世界そのもの。

 近づくほど。

 その異常さがわかる。

 ユウ。

 目を輝かせる。

「大きい木!!」

「すご……」

 アクアも見上げる。

「何年生きてるんだろうな」

 ユウ。

 少し真面目な顔。

「私より長いかも」

 アクア。

「多分何万年だろ」

 ユウ。

「えぇ……」

 ドラゴンより長寿。

 それだけで異常だった。

 依頼書確認。

 世界樹の新芽。

 比較的低い枝。

 だが。

 その周辺に。

 メタルスライム。

 硬い。

 速い。

 危険。

 そう書かれていた。

 そして。

 到着。

 根元。

 二人。

 絶句。

「…………」

 デカすぎる。

 幹。

 街一つ分くらい太い。

 上。

 見えない。

 雲を突き抜け。

 天まで続いているようだった。

 ユウ。

「空刺さってる」

 アクア。

「わかる」

 根元だけで。

 森。

 川。

 洞窟みたいな空洞。

 普通の木の感覚じゃない。

 アクア。

 腕を組む。

「さて」

「どうやって登るかな」

 ユウ。

 ニヤリ。

「簡単」

 その場で。

 ジャンプ。

 ドォン!

 20メートル近く跳ぶ。

 木の洞へ。

 ガシッ。

「おぉ」

 そのまま。

 さらにジャンプ。

 洞から洞へ。

 まるでアスレチック。

 アクア。

「なるほど」

 真似する。

 ドン!

 軽々。

 二人とも人間じゃなかった。

 だが。

 最初の枝まで。

 三百メートル。

 遠い。

 地道。

 ひたすら。

 ジャンプ。

 掴む。

 跳ぶ。

 滑る。

 また跳ぶ。

 途中。

 ユウ。

「楽しいー!」

 アクア。

「落ちたら死ぬぞー!」

 ユウ。

「多分死ななーい!」

 怖い。

 そして。

 四十分後。

 ようやく。

 最初の枝へ到達。

 ドサッ。

 枝。

 いや。

 広い道。

 幅だけで数十メートルある。

 木の枝なのに。

 森みたい。

 アクア。

 息を吐く。

「やっとか……」

 ユウ。

 下を見る。

「うわ」

 遥か下。

 雲。

 高すぎる。

 アクア。

「落ちるなよ」

 ユウ。

「アクアが助けてね」

「嫌なフラグ立てるな」

 その時。

 カチン。

 妙な音。

 二人。

 同時に振り向く。

 枝の上。

 銀色。

 ぷるぷる。

 光を反射している。

 メタルスライム。

 いた。



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