第90話「食堂大惨事」
中継の街。
夜。
雪。
街灯の明かり。
アクアたちは食堂を見つけた。
木造。
暖かそう。
中から香ばしい匂い。
「ここ旨そうだな」
ユウも頷く。
「お腹すいた!」
入店。
ガヤガヤ。
冒険者。
商人。
かなり混んでいる。
だが。
豪華な毛皮コート。
ユウの美貌。
黒猫。
ユニコーン連れ。
めちゃくちゃ目立つ。
ウェイターの男が近づく。
「いらっしゃ……」
その瞬間。
ユウ。
男の股間を見る。
そして。
超ナチュラルに言った。
「それって大きくなるの?」
静寂。
店内停止。
ウェイター。
「…………は?」
顔。
真っ赤。
アクア。
「ぶふっ!!」
危うく吹いた。
ユウ。
真顔。
純粋。
アクアが慌てる。
「やめろぉぉぉ!!」
ウェイター混乱。
「いや、なにを!?何が!?」
周囲の冒険者たち。
ニヤニヤ。
酒を吹く。
「ぶははは!!」
「なんだそのガキ!」
「ストレートすぎるだろ!」
ユウ。
「だって気になって」
アクア。
頭抱える。
「聞くな!外で!」
ウェイター。
完全に仕事不能。
耳まで真っ赤。
「ご、ご注文は……」
アクアが高速注文。
「肉料理二つ!あとスープ!」
「か、かしこまりました!!」
逃げるように去る。
店内。
クスクス笑い。
アクア。
机に突っ伏す。
「もう嫌だ……」
ユウ。
不思議そう。
「なんで?」
「なんでじゃない!!」
ミーちゃん。
膝の上。
「にゃー」
完全に面白がっていた。
しばらくして。
料理が運ばれてくる。
湯気。
肉。
シチュー。
焼きたてパン。
かなり旨そう。
アクア。
食う。
「おっ」
ユウも食べる。
「おいしい!」
寒い地方らしく。
味が濃い。
身体が温まる。
ミーちゃんにも肉。
「にゃ!」
幸せそう。
さっきの空気はどこへやら。
二人とも笑いながら食べ始める。
アクアがふと思い出す。
「……あ」
ユウ。
「ん?」
「俺、財産あるわ」
ユウが笑う。
「今さら?」
アクア。
指を立てる。
「熊の毛皮」
「あー!」
「絶対高く売れる」
ユウも納得。
「あれすごかったもんね」
アクアが頷く。
「明日売りに行くか」
そして。
少し真面目な顔。
「あと刀だな」
腰を見る。
空。
ずっとあった重みがない。
少し寂しい。
ユウがアクアを見る。
「新しいの探そ」
アクア。
「まぁな」
その時。
隣の席の冒険者たちが会話していた。
「聞いたか?」
「あぁ。北の氷山ダンジョンだろ?」
「最近やばいらしいな」
アクアとユウ。
同時に反応する。
ダンジョン。
新しい冒険の匂いだった。




