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奈落に落とされたが、そこは俺の領域だった  作者: 忍絵 奉公


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第88話「それは何?」


 ざばぁぁぁん!!

 温泉に沈んだ二人。

 数秒後。

 先に浮かんできたのはアクアだった。

「ぶはぁっ!!」

 咳き込む。

 熱い。

 苦しい。

 のぼせていた。

 ユウも浮かぶ。

「ふへぇ〜……」

 完全にふにゃふにゃ。

 目が据わっている。

 ミーちゃんが岩から飛び降りた。

「にゃぁぁ!!」

 アクアの頭へ着地。

 ぺしぺし。

「わかった!起きてる!」

 アクアが慌ててユウを引っ張る。

「おい大丈夫か!」

 ユウ。

 ぼーっと笑う。

「温泉きもち〜……」

「駄目だこいつ」

 なんとか岸へ。

 雪の上。

 冷たい。

 アクアが自分の頬を叩く。

「しゃきっとしろ俺」

 ユウは寝転がる。

「ふわふわする〜」

 ミーちゃん。

 ユウの顔をぺろぺろ。

「にゃ」

 そのおかげか。

 少しずつ回復した。

 アクアがため息をつく。

「危なかったな……」

 ユウ。

 まだぼーっとしている。

 だが。

 急に思い出した。

「ねぇ」

 アクア。

 嫌な予感。

「なんだ」

 ユウ。

 真顔。

「さっきの何?」

 アクア。

 硬直。

「……忘れろ」

「なんで?」

「なんでもだ」

「生えてたよね?」

「やめろ!」

 雪山に響く。

 ユウ。

 興味津々。

「ねぇなんで大きくなったの?」

「説明しづらい!」

「魔力?」

「違う!」

「呪い?」

「違う!」

「戦闘形態?」

「絶対違う!!」

 ユウが近づく。

「ねぇねぇ」

「やめろ!」

「なんで?」

「裸で聞くな!」

「なんで?」

「しつこい!」

 ミーちゃん。

「にゃー」

 完全に面白がっていた。

 結局。

 アクアは逃げるように服を着る。

「出発するぞ!」

 ユウが笑いながら追いかける。

「まだ聞いてない!」

「聞かなくていい!」

 馬車へ避難。

 アクア。

 御者席。

 必死に落ち着こうとしていた。

 ユウ。

 隣。

 距離近い。

「ねぇ」

「まだあるのか!?」

「それって誰でもなるの?」

 アクア。

 顔を覆う。

「男はなる」

「へぇ〜」

「納得したなら終われ」

「なんでなるの?」

「知らん!」

「気合い?」

「違う!」

「じゃあなんで?」

「本能!!」

 ユウ。

 感心。

「本能ってすごい」

 アクア。

 死んだ目。

 ユニコーンが走り始める。

 雪道。

 静かな森。

 だが馬車の中だけ騒がしい。

「触ったらどうなるの?」

「だから駄目だって!」

「なんで?」

「なんでなんでうるさい!」

 ユウ。

 ケラケラ笑う。

 完全に遊んでいた。

 アクア。

 限界。

「ミーちゃん!」

「にゃ?」

「こいつ止めてくれ!」

 ミーちゃん。

 アクアの膝で丸くなる。

 助ける気ゼロ。

 ユウ。

 さらに近づく。

「ねぇアクア〜」

「うわぁぁぁぁぁ!!」

 雪原に悲鳴が響いた。



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