表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奈落に落とされたが、そこは俺の領域だった  作者: 忍絵 奉公


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
82/85

第82話「焚火と狼」


 焚火。

 肉の香り。

 静かな夜。

 その時だった。

 ガサガサッ!!

 草むらから何かが飛び出す。

「ん?」

 小さい影。

 一直線。

 こちらへ走ってくる。

 子猫だった。

 漆黒の黒猫。

 小さい。

 痩せている。

「にゃぁ!!」

 必死。

 逃げている。

 だが。

 その後ろ。

 ドドドドド!!

 巨大な影。

 狼。

 一頭。

 二頭。

 三頭。

 全部で八頭。

 目が赤い。

 牙からよだれ。

 完全に獲物を狙う目だった。

 ユウが立ち上がる。

「わぁ……」

 アクアも立ち上がる。

 子猫がこちらを見る。

 助けを求める目。

 必死。

 アクアがしゃがむ。

「よしよし」

 抱き上げる。

 軽い。

 ガリガリ。

 相当腹を空かせていた。

 そのまま頭へ乗せる。

 子猫が震えながらしがみつく。

「見てろ」

 アクアが笑う。

「蹴散らしてやる」

 狼たちが広がる。

 囲む。

 低い唸り声。

 グルルル……

 ユウが周囲を見る。

「あれ?」

「ん?」

「刀、馬車じゃん」

 アクアも気づく。

「あ」

 完全素手。

 沈黙。

 狼たちが一歩近づく。

 ユウがニヤッと笑う。

「まぁいっか」

 一頭。

 飛びかかる。

 速い。

 だが。

 ユウ。

 軽く半歩。

 避ける。

 狼が空振る。

 その首を。

 掴む。

「えい」

 ブンッ!!

 狼が回転。

 仲間に激突。

 二頭まとめて吹っ飛ぶ。

「キャイン!?」

 アクアの方にも来る。

 左右から二頭。

 アクアが息を吐く。

「はぁ」

 片方の牙。

 紙一重。

 避ける。

 そのまま顔面に拳。

 ゴッ!!

 狼が地面を転がる。

 もう一頭。

 背後から飛ぶ。

 アクア。

 振り向かない。

 後ろ回し蹴り。

 ドガァッ!!

 狼が木に刺さる。

 子猫。

 頭の上で。

「にゃっ!?」

 完全に目が点。

 ユウが楽しそうに笑う。

「犬だー!」

「狼な」

 さらに三頭。

 同時。

 連携。

 左右。

 正面。

 アクアが目を細める。

「ちょっとは頭いいな」

 ユウが飛び込む。

「じゃあ私こっち!」

 空中回転。

 狼の頭を踏む。

 グシャッ!!

 その反動で次へ。

 速い。

 軽い。

 完全に遊んでいた。

 アクアの方。

 狼が飛びつく。

 アクア。

 受け止める。

「重っ」

 そのまま地面へ叩きつける。

 ドォン!!

 土煙。

 最後の狼。

 完全にビビる。

 後退。

 耳が寝ている。

 ユウが近づく。

「まだやる?」

 狼。

 ブルッ。

 そして。

 全力逃走。

 他の狼たちも慌てて逃げていく。

 静寂。

 焚火の音だけが残る。

 アクアが頭を見る。

 子猫。

 完全に固まっていた。

「終わったぞ」

 子猫。

 ぷるぷる。

 そして。

 アクアの頭から肩へ。

 さらに首元へ。

 ぴたっ。

 完全に懐いた。

 ユウが笑う。

「気に入られてる」

 アクアが困る。

「いや困る」

 子猫。

 ゴロゴロ。

 喉を鳴らす。

 ユウが覗き込む。

「飼う?」

 アクア。

 即答。

「旅だぞ?」

 子猫。

 にゃあ。

 見上げる。

 アクア。

 目をそらす。

「……」

 ユウがニヤニヤ。

「もう負けてる」

 アクアが焚火へ戻る。

「とりあえず飯だけやる」

 肉を少しちぎる。

 子猫。

 ガツガツ食べ始めた。

 よほど腹が減っていたらしい。

 アクアが呟く。

「どこから来たんだお前」

 その時。

 ユニコーンたちが突然。

 森の奥を見て唸った。

 ヒヒィィン……

 空気が変わる。

 アクアとユウ。

 同時に視線を向ける。

 暗闇。

 その奥。

 今度は。

 狼より遥かに大きな“何か”が動いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ