表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奈落に落とされたが、そこは俺の領域だった  作者: 忍絵 奉公


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
80/90

第80話「白蛇の影」


 ギルド。

 重い空気。

 レオンの件は、街全体を揺らしていた。

 ギルドマスターは机に並べられた証拠を睨む。

「……これだけか」

 衛兵が頷く。

「はい」

 机の上。

 一枚の紙。

 レオンの部屋のゴミ箱から発見されたものだった。

 依頼書。

 内容は――

 クーパー男爵の殺害。

 そして下に押されている印章。

 白蛇が絡み合う紋章。

「ホワイトスネークヘッド……」

 ギルマスが低く呟く。

 衛兵が顔をしかめる。

「マフィア組織ですね」

「あぁ」

 だが。

 問題があった。

「これだけじゃ弱い」

 ギルマスが紙を叩く。

「依頼書があっても、誰が命令したか分からん」

「本物か偽物かも判断できません」

 空気が重くなる。

 レオンは死んだ。

 ミレイも。

 ルナも。

 ガルドも。

 直接の証言者がいない。

「事件は……暗礁に乗り上げたか」

 ギルマスが深く座る。

 そこへ。

 ギルドの扉が勢いよく開いた。

「た、大変です!!」

 息を切らした男。

 さっき馬車とすれ違った男だった。

「あ、あの街道に……!」

 衛兵たちが立ち上がる。

「どうした!」

 男が叫ぶ。

「盗賊が大量に縛られてます!!」

 沈黙。

「は?」

 数十分後。

 街道。

 木。

 そこに――

 ずらり。

 縛られた盗賊たち。

 蔓ぐるぐる。

 転がっている。

 衛兵が目を見開く。

「なんだこれ……」

 別の衛兵が近づく。

 顔を見る。

「……入れ墨」

 腕。

 首。

 頬。

 特徴的な刺青。

 衛兵隊長の顔色が変わる。

「間違いない」

 低く。

「疾風一家だ」

 周囲がざわつく。

「え!?」

「あの!?」

 この辺りでは有名な盗賊団。

 討伐依頼も何度も出ていた。

 だが。

 人数が多く。

 逃げ足も速い。

 ずっと捕まえられなかった。

 それが。

 今。

 全員。

 縛られて転がっている。

 しかも――

 木には文字。

『盗賊です。見ないでください』

 衛兵たちが半笑い。

「……なんだこれ」

 若い衛兵が笑いを堪え、震えながら言う。

「怖いんですけど」

 隊長が盗賊を蹴る。

「おい起きろ」

 盗賊がうっすら目を開ける。

「は、腹減った……」

「誰にやられた」

 盗賊が青ざめる。

 思い出した。

 白い馬車。

 少女。

 笑顔。

 化け物。

「バケモンだ……」

 ガタガタ震える。

「少女のバケモンが……」

 隊長が顔をしかめる。

「あと五人呼んでこい」

 若い衛兵が敬礼。

「はっ!」

 全力で街へ走る。

 盗賊たちは次々と武器を回収され。

 縄を追加され。

 完全拘束。

 そのまま連行されていく。

 衛兵たちもまだ信じられなかった。

「あの疾風一家を……二人で?」

「いや、一人って話だぞ」

「は?」

 空気が凍る。

 そして隊長が木の文字を見る。

『見ないでください』

「……律儀なのか狂ってるのかわからんな」

 誰かが呟いた。

 その頃。

 本人たちは。

 のんきに馬車で爆走していた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ