第78話「疾風一家」
草原。
青空。
豪華な馬車が道を進む。
白いユニコーン。
輝く車体。
どう見ても――目立つ。
アクアがぼそっと言う。
「これだけ豪華な馬車だったらさ」
ユウが振り向く。
「うん?」
「悪い奴らが襲うよね」
ユウが笑う。
「フラグ立てるな!」
その瞬間。
草むら。
ガサッ。
男が顔を出す。
ボロい革鎧。
汚いヒゲ。
目だけギラついている。
豪華な馬車を見た瞬間。
目が見開く。
「……っ!!」
全力ダッシュ。
「お頭ぁぁぁ!!」
アクアがため息。
「成立した」
数十分後。
道の先。
木が倒されている。
完全封鎖。
その周囲に――
三十人。
強面。
斧。
剣。
弓。
刺青。
そして中央。
毛皮マントを羽織った大男。
「待ってたぜぇ」
ニヤリ。
「俺たちゃ疾風一家」
後ろの盗賊たちが武器を鳴らす。
ガチャガチャ。
「その馬車」
「そのユニコーン」
「全部置いてけ」
ユウがアクアを見る。
「来たね」
アクアは座ったまま。
「だから言ったろ」
盗賊たちは笑う。
「へへっ」
「ガキ二人かよ」
「しかも女までいる」
「運がいいぜ」
ユウが立ち上がる。
ぐーっと伸びをする。
「なんか運動したかったんだよね」
そして。
馬車から飛び降りる。
ふわっと軽い着地。
アクアが言う。
「殺すなよ」
その一言。
盗賊たちの顔が変わる。
「……は?」
「今なんつった?」
「俺たちを殺せる前提か?」
笑い声。
怒り。
混ざる。
お頭が前に出る。
「嬢ちゃん」
斧を肩に乗せる。
「世の中ってのを教えてやる」
ユウが首をかしげる。
「もう知ってるよ?」
盗賊が突っ込む。
「なめやがってぇ!!」
剣を振る。
その瞬間。
ユウが横にずれる。
最小限。
盗賊が空振る。
「遅い」
足払い。
ズシャッ!!
盗賊が一回転して地面に突き刺さる。
「がふっ!?」
次。
後ろから二人。
同時に斬りかかる。
ユウ。
しゃがむ。
盗賊同士の剣がぶつかる。
ガキィン!!
「うおっ!?」
そのままユウが二人の頭を掴む。
ゴンッ!!
ぶつける。
白目。
気絶。
「よいしょ」
ポイッ。
盗賊たちがざわつく。
「な、なんだこいつ……」
お頭が怒鳴る。
「囲め!!」
一斉。
十人以上。
ユウを囲む。
アクアは馬車の上。
黙って見ている。
酒を飲み始める。
盗賊の一人が怒鳴る。
「てめぇ助けねぇのか!?」
アクアが答える。
「必要ない」
ユウが笑う。
「だって私」
一歩踏み込む。
消える。
「強いもん」
ドゴォッ!!
盗賊が吹っ飛ぶ。
さらに。
回転蹴り。
二人。
宙を舞う。
背負い投げ。
地面が揺れる。
拳。
腹にめり込む。
「ごぇっ!!」
盗賊たちが恐怖し始める。
「お、お頭……」
「これやべぇ……」
お頭が歯を食いしばる。
「ビビるな!!」
巨大な斧を持って突撃。
ユウを見る。
笑う。
「おっきいね」
振り下ろし。
ドォン!!
地面が割れる。
だが当たらない。
ユウは。
もう後ろにいた。
「はい」
軽く背中を押す。
お頭。
前につんのめる。
そこへ。
ユウのデコピン。
パチン。
「え?」
次の瞬間。
ドゴォォォン!!
お頭が回転しながら木に激突。
木が折れる。
沈黙。
盗賊たち。
青ざめる。
ユウがニコッと笑う。
「まだやる?」
全員。
武器を捨てた。
アクアが馬車から降りる。
「終わったか」
ユウが頬を膨らませる。
「弱すぎ」
盗賊たちは地面に土下座。
完全敗北。
その横を。
豪華な馬車がゆっくり進み始める。
アクアがぼそっと言う。
「先が思いやられるな」
ユウは楽しそうに笑った。
「冒険って感じする!」




