第68話「代償と逃走」
九十九階。
静寂。
血の匂いだけが残る。
レオンとガルド。
二人。
構える。
「……来るぞ」
レオンが低く言う。
アクアが動く。
消える。
「右だ!」
レオンの声。
ガルドが反応する。
盾を構え――踏み込む。
だが。
それは誘い。
アクアは逆側。
「っ!?」
ガルドの死角。
剣が走る。
「ぐぁぁぁ!!」
脚。
膝下。
斬断。
血が噴き出す。
ガルドが崩れる。
その瞬間。
アクアが低く言う。
「覚えてるか?」
ガルドの耳元。
「最後」
刃を引き抜きながら。
「俺を蹴り落としたのは、この足だったな」
ガルドの目が見開く。
「……あ……」
思い出す。
崩れかけた地盤。
蹴り。
落下。
暗闇。
アクアが笑う。
「思い出したか」
ガルドが倒れる。
片足を失い。
床に転がる。
レオンの顔から血の気が引く。
「……は?」
現実が追いつかない。
アクアがゆっくり近づく。
上から見下ろす。
ガルドは。
腰を抜かしている。
「……来るな……」
後ずさる。
だが。
進めない。
血で滑る。
その時。
レオンが。
一瞬。
ガルドを見る。
そして走った。
「……は?」
ガルドの声が漏れる。
レオンは振り返らない。
全力。
脱兎。
階段へ。
「おい……!」
ガルドの声は届かない。
消える。
「……逃げたな」
アクアが呟く。
周囲を見渡す。
「どこ行った」
気配を探る。
いない。
ユウが笑う。
「逃げたよ」
楽しそうに。
「脱兎のごとく」
アクアが舌打ちする。
「……ちっ」
視線を戻す。
ガルド。
震えている。
「た、助け……」
言葉にならない。
アクアが近づく。
剣を振る。
「ぎゃああああ!!」
残った脚。
斬断。
完全に動けない。
血だまり。
ユウが首をかしげる。
「ねぇ」
にこっと笑う。
「回復の泉に入れてみたら?」
アクアが一瞬考える。
「あぁ」
口角が上がる。
「それ面白いな」
しゃがむ。
ガルドを担ぐ。
「足、戻るか見たいしな」
ズルズルと引きずる。
泉へ。
ガルドはもがく。
だが。
力が入らない。
「やめろ……」
声が弱い。
「頼む……」
アクアは無視する。
ポイッ。
泉に放り込む。
水しぶき。
沈む。
もがく。
浮けない。
脚がない。
必死に手を動かす。
だが。
沈む。
泡。
もがき。
そして――
静かになる。
沈黙。
アクアが覗き込む。
「……あ」
数秒。
「そういや」
頭をかく。
「一回限りにしてたわ」
ユウが「あー」と声を出す。
「それだ」
二人で笑う。
アクアが腕を突っ込む。
死体を引き上げる。
ぐったり。
「……まぁいいか」
肩に担ぐ。
階段へ。
九十八階。
ポイッ。
放り投げる。
サボテン君。
反応。
バシュッ!!
針。
無数。
死体に突き刺さる。
そのまま。
石化。
奇妙な像になる。
「……オブジェ完成だな」
アクアが呟く。
九十九階へ戻る。
「レオンは……」
周囲を探る。
いない。
コントロール室へ。
戻る。
ユウがついてくる。
画面を見る。
「……あ」
レオン。
映る。
九十階。
宝箱。
開ける。
光。
帰還。
消える。
沈黙。
アクアの拳が。
ゆっくり握られる。
「……逃げたか」
低い声。
ユウが横で言う。
「でもさ」
首をかしげる。
「外に出たってことは」
ニヤリと笑う。
「追えるんじゃない?」
アクアが顔を上げる。
「……だな」
九十九階。
静まり返る。
復讐は。
まだ終わっていない。
次は外。
※荷物持ちのおっさん。バズって草。意味不明。1万ポイント越えた!突然。
※ようやく億万長者になれますか?アルファポリスにあります。




