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奈落に落とされたが、そこは俺の領域だった  作者: 忍絵 奉公


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68/89

第68話「代償と逃走」


 九十九階。

 静寂。

 血の匂いだけが残る。

 レオンとガルド。

 二人。

 構える。

「……来るぞ」

 レオンが低く言う。

 アクアが動く。

 消える。

「右だ!」

 レオンの声。

 ガルドが反応する。

 盾を構え――踏み込む。

 だが。

 それは誘い。

 アクアは逆側。

「っ!?」

 ガルドの死角。

 剣が走る。

「ぐぁぁぁ!!」

 脚。

 膝下。

 斬断。

 血が噴き出す。

 ガルドが崩れる。

 その瞬間。

 アクアが低く言う。

「覚えてるか?」

 ガルドの耳元。

「最後」

 刃を引き抜きながら。

「俺を蹴り落としたのは、この足だったな」

 ガルドの目が見開く。

「……あ……」

 思い出す。

 崩れかけた地盤。

 蹴り。

 落下。

 暗闇。

 アクアが笑う。

「思い出したか」

 ガルドが倒れる。

 片足を失い。

 床に転がる。

 レオンの顔から血の気が引く。

「……は?」

 現実が追いつかない。

 アクアがゆっくり近づく。

 上から見下ろす。

 ガルドは。

 腰を抜かしている。

「……来るな……」

 後ずさる。

 だが。

 進めない。

 血で滑る。

 その時。

 レオンが。

 一瞬。

 ガルドを見る。

 そして走った。

「……は?」

 ガルドの声が漏れる。

 レオンは振り返らない。

 全力。

 脱兎。

 階段へ。

「おい……!」

 ガルドの声は届かない。

 消える。

「……逃げたな」

 アクアが呟く。

 周囲を見渡す。

「どこ行った」

 気配を探る。

 いない。

 ユウが笑う。

「逃げたよ」

 楽しそうに。

「脱兎のごとく」

 アクアが舌打ちする。

「……ちっ」

 視線を戻す。

 ガルド。

 震えている。

「た、助け……」

 言葉にならない。

 アクアが近づく。

 剣を振る。

「ぎゃああああ!!」

 残った脚。

 斬断。

 完全に動けない。

 血だまり。

 ユウが首をかしげる。

「ねぇ」

 にこっと笑う。

「回復の泉に入れてみたら?」

 アクアが一瞬考える。

「あぁ」

 口角が上がる。

「それ面白いな」

 しゃがむ。

 ガルドを担ぐ。

「足、戻るか見たいしな」

 ズルズルと引きずる。

 泉へ。

 ガルドはもがく。

 だが。

 力が入らない。

「やめろ……」

 声が弱い。

「頼む……」

 アクアは無視する。

 ポイッ。

 泉に放り込む。

 水しぶき。

 沈む。

 もがく。

 浮けない。

 脚がない。

 必死に手を動かす。

 だが。

 沈む。

 泡。

 もがき。

 そして――

 静かになる。

 沈黙。

 アクアが覗き込む。

「……あ」

 数秒。

「そういや」

 頭をかく。

「一回限りにしてたわ」

 ユウが「あー」と声を出す。

「それだ」

 二人で笑う。

 アクアが腕を突っ込む。

 死体を引き上げる。

 ぐったり。

「……まぁいいか」

 肩に担ぐ。

 階段へ。

 九十八階。

 ポイッ。

 放り投げる。

 サボテン君。

 反応。

 バシュッ!!

 針。

 無数。

 死体に突き刺さる。

 そのまま。

 石化。

 奇妙な像になる。

「……オブジェ完成だな」

 アクアが呟く。

 九十九階へ戻る。

「レオンは……」

 周囲を探る。

 いない。

 コントロール室へ。

 戻る。

 ユウがついてくる。

 画面を見る。

「……あ」

 レオン。

 映る。

 九十階。

 宝箱。

 開ける。

 光。

 帰還。

 消える。

 沈黙。

 アクアの拳が。

 ゆっくり握られる。

「……逃げたか」

 低い声。

 ユウが横で言う。

「でもさ」

 首をかしげる。

「外に出たってことは」

 ニヤリと笑う。

「追えるんじゃない?」

 アクアが顔を上げる。

「……だな」

 九十九階。

 静まり返る。

 復讐は。

 まだ終わっていない。

 次は外。


※荷物持ちのおっさん。バズって草。意味不明。1万ポイント越えた!突然。

※ようやく億万長者になれますか?アルファポリスにあります。


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