第67話「二人目、そして恐怖」
九十九階。
血の匂い。
ルナの亡骸。
その前で。
「……ふざけんな」
ガルドが低く唸る。
踏み込む。
「ぶっ殺す!!」
突進。
盾で押し潰す。
こん棒を振り抜く。
ミレイも後方から即座に詠唱。
さっきより速い。
短縮詠唱。
「焼き払え!」
炎が走る。
連携。
怒りで荒い。
だが。
速い。
鋭い。
アクアは。
正面から受ける。
剣で弾く。
体を滑らせる。
紙一重。
だが。
完全ではない。
炎が肩をかすめる。
ジュッ。
焦げる匂い。
「……当たったな」
レオンが呟く。
希望が生まれる。
「押せ!!」
三方向。
挟む。
ガルドが前。
レオンが横。
ミレイが後方。
逃げ場を潰す。
だが。
アクアが笑う。
「いいね」
一歩。
踏み込む。
「ちょっとはマシになった」
その瞬間。
視界から消える。
「来るぞ!!」
レオンが叫ぶ。
だが。
速すぎる。
「ミレイ!!」
振り向いた時には。
もう遅い。
背後。
「お前が、ご丁寧に地面を崩してくれたよな」
ミレイの首筋。
「あ??」
振り向く。
目が合う。
一瞬。
理解する前に。
閃光。
一閃。
首が飛ぶ。
空中。
血が噴き上がる。
体が崩れる。
頭が回転しながら落ちる。
ゴトッ。
床。
転がる。
止まる。
目が。
見開いたまま。
「……あ……」
ガルドの声が漏れる。
レオンの剣が。
わずかに下がる。
一瞬。
完全な静止。
そして。
「ミレイィィィ!!」
ガルドの絶叫。
だが。
怒りだけじゃない。
その目に。
はっきりと浮かぶ。
恐怖。
「……なんだよ」
後ずさる。
一歩。
「なんだよコイツ……!」
レオンも。
無言。
だが。
額に汗。
呼吸が乱れる。
アクアは。
血を払う。
「二人目」
指を二本立てる。
コツン。
剣の先で床を叩く。
「あと二人」
ユウが端で手を叩く。
「早い早い!」
楽しそうに。
だが。
ガルドが吠える。
「黙れ!!」
だが。
声が震えている。
「……落ち着け」
レオンが低く言う。
「崩れるな」
自分にも言い聞かせるように。
ガルドの肩を掴む。
「ビビってんじゃねぇ」
ガルドが歯を食いしばる。
「……わかってる」
だが。
視線は。
ミレイの首にいく。
すぐ逸らす。
「……くそっ」
レオンが深く息を吸う。
吐く。
そして。
目が変わる。
「いいか」
短く言う。
「もう一撃もらったら終わりだと思え」
ガルドが頷く。
「……あぁ」
「攻めるな」
レオンが続ける。
「待て」
間。
「カウンターで殺す」
戦術が変わる。
攻撃から。
迎撃へ。
アクアがそれを見て。
ニヤリと笑う。
「やっと頭使い始めたか」
剣を構える。
「でもな」
一歩。
踏み出す。
「もう遅い」
空気が凍る。
残り二人。
極限。
恐怖の中で。
どこまで戦えるか。
ここからが。
本当の勝負。




