第65話「再会、そして宣告」
九十九階。
回復の泉。
Sクラス。
「……間に合ったか」
レオンが低く言う。
全員。
泉に入る。
傷が消える。
魔力が満ちる。
その時。
ドンッ!!
奥の扉の向こうから。
衝撃音。
「……戦ってるな」
ガルドが笑う。
「先客か」
ミレイが目を細める。
「Aクラスだろうね」
レオンが立ち上がる。
「行くぞ」
泉から出る。
だが。
扉の前で止まる。
「……様子を見る」
わずかに開ける。
隙間から覗く。
広間。
戦闘。
「……すげぇな」
ガルドが呟く。
Aクラス。
連携。
完璧。
無駄がない。
だが――
「当たってない……?」
ミレイが驚く。
少女。
ユウ。
軽い。
まるで。
遊んでいる。
「アスレチックみたい!」
笑いながら。
避ける。
回る。
跳ねる。
攻撃は。
一切当たらない。
「……化け物かよ」
ガルドが息を飲む。
時間が経つ。
Aクラスの動きが鈍る。
疲労。
「はぁ……はぁ……」
ディーンが膝をつきかける。
フィオラが叫ぶ。
「まだいける!」
だが。
ディーンが首を振る。
一度。
息を整える。
そして。
はっきりと言う。
「……撤退だ」
一瞬の沈黙。
「撤退!」
全員が反応する。
即座に動く。
後方へ。
扉へ。
開く。
Sクラス。
目が合う。
そのまま。
ドンッ!!
肩を弾き飛ばす。
「どけ!」
ディーンが吐き捨てる。
「しるか!」
レオンが叫ぶ。
「少しは削ったのか!?」
ディーンは振り返らない。
「知らねぇ!」
そのまま。
撤退。
去っていく。
静寂。
Sクラス。
広間を見る。
そこには。
少女。
ユウ。
こちらを見る。
一瞬。
目が合う。
だが。
くるりと背を向ける。
奥の扉へ。
コントロール室。
入っていく。
「……逃げた?」
ガルドが呟く。
その奥。
声。
「来たよ、アクア」
「……あぁ、知ってる」
アクアは99回の回復の泉をただの普通の泉にセットしなおす。
(一回限りだな。これは)
Sクラス。
凍る。
レオンの目が揺れる。
「……今の声……」
ゆっくりと。
扉に近づく。
「開けるぞ」
手をかける。
その瞬間。
ガコン。
扉が。
勝手に開く。
中から。
人影。
出てくる。
一歩。
二歩。
光に照らされる。
「……」
沈黙。
「……は?」
ガルドが呟く。
ミレイが息を止める。
レオンの瞳が見開く。
そこに立っていたのは――
「……アクア?」
震える声。
男は笑う。
「よう」
軽く手を上げる。
「久しぶりだな」
空気が凍る。
「……なんで……」
ミレイが後ずさる。
「お前……」
レオンの声が低くなる。
「死んだはずだ」
アクアが笑う。
「あぁ」
あっさりと。
「死んだよ」※ユウに2回殺された。
一歩踏み出す。
「お前らに落とされてな」※その後、ユウに2回殺された。
空気が歪む。
「……は?」
ガルドが戸惑う。
アクアは続ける。
「で」
肩をすくめる。
「生まれ変わった」
周囲を見る。
「ここでな」
九十九階。
大ボス。
「意味わかんねぇこと言ってんな」
ガルドが吐き捨てる。
だが。
レオンだけは。
笑っていない。
見ている。
じっと。
「……お前」
低く。
「覚えてるのか」
アクアの目が細くなる。
「全部な」
静かに。
だが。
確実に。
「特に」
視線が突き刺さる。
「レオン」
空気が震える。
「お前は」
一歩。
踏み込む。
「必ず殺す」
言葉が落ちる。
重く。
冷たく。
「償わせてやる」
沈黙。
Sクラス。
全員が後ずさる。
「……嘘だろ」
ミレイが震える。
「なんで生きてる……」
ガルドが歯を食いしばる。
「化け物かよ……」
レオン。
動かない。
ただ。
アクアを見ている。
「……」
数秒。
そして。
口を開く。
「面白ぇ」
ニヤリと笑う。
「やっと理由ができた」
剣を構える。
「本気で殺せる理由がな」
アクアも笑う。
「奇遇だな」
同じく構える。
その背後。
ユウがひょこっと顔を出す。
「やるの?」
楽しそうに。
アクアが言う。
「手出すな」
「こいつは俺がやる」
ユウが頬を膨らませる。
「え~」
だが。
ニヤリと笑う。
「じゃあ観戦!」
二人の間。
空気が張り詰める。
九十九階。
最終決戦。
因縁。
再会。
そして。
殺意。
「来いよ、レオン」
アクアが言う。
「逃げんなよ」
レオンが笑う。
「てめぇこそな」
次の瞬間。
地面が砕ける。
激突。
口封じ。
復讐。
開幕。




