第63話「強化層、知識の差」
九十七階。
Aクラス。
「……やっぱり強くなってる」
エルミナが低く言う。
火魔法。
直撃。
だが。
サボテン君はわずかに焦げるだけ。
「魔力耐性……上がってる」
ディーンが舌打ちする。
「前の階とは別物だ」
次の瞬間。
バシュバシュッ!!
針の嵐。
「散開!!」
ガルスが叫ぶ。
回避。
だが。
密度が高い。
「ぐっ!」
肩に刺さる。
石化。
広がる。
「早い!」
フィオラが叫ぶ。
だが。
ディーンは迷わない。
「斬れ!!」
一気に踏み込む。
サボテン君を斬る。
バッサリ。
体液が飛ぶ。
「あえて浴びろ!!」
全員が理解している。
石化した部位に。
体液がかかる。
シュウウ……
「よし、戻った!」
ガルスが笑う。
「こいつ、毒と解毒がセットかよ!」
エルミナが頷く。
「扱いミスると即詰みね」
ディーンが短く言う。
「だからこそ――」
前を見る。
「管理して倒す」
戦いは。
完全に“処理”へ。
一方。
九十二階。
Sクラス。
「チッ……なんだこの敵」
レオンが舌打ちする。
針。
高速。
回避。
だが。
「ぐっ……!」
足に刺さる。
一瞬で。
灰色に変わる。
「石化!?」
ミレイが叫ぶ。
広がる。
止まらない。
「動けねぇ!」
レオンの足が固まる。
完全石化。
「レオン!」
ガルドが駆け寄る。
「くそっ……どうする!?」
ミレイが叫ぶ。
「戻るしかない!」
ガルドが即断。
レオンを担ぐ。
重い。
だが関係ない。
「道開けろ!!」
強引に突破。
九十一階。
回復の泉。
そのまま。
ドボン!!
沈める。
数秒。
石が崩れる。
「……はぁっ!」
レオンが息を吐く。
「助かった……」
ミレイが安堵する。
だが。
レオンの顔は険しい。
「……面倒だな」
ガルドが言う。
「石化、どうしようもねぇぞ」
ミレイが頷く。
「解除手段がないと詰む」
レオンが考える。
「食らわないしかねぇ」
短く。
「全部避ける」
ガルドが苦笑する。
「無茶言うなよ」
だが。
誰も否定しない。
再突入。
九十三、九十四、九十五。
慎重に進む。
だが。
九十六階。
針の密度が上がる。
「多すぎる!」
ミレイが叫ぶ。
「避けきれない!」
その瞬間。
「ぐっ!」
ガルドの足が固まる。
完全石化。
「またかよ!」
ミレイが叫ぶ。
「戻るぞ!」
再び担ぐ。
九十一階へ。
時間がかかる。
効率が悪い。
「くそっ……」
レオンが歯を食いしばる。
「進まねぇ……」
一方。
九十七階。
Aクラス。
順調に処理している。
「このペースなら抜けられる」
ディーンが言う。
だが。
その時。
足音。
振り向く。
そこに。
Sクラス。
レオン達。
消耗している。
明らかに。
進行が遅い。
「……お前ら」
レオンが睨む。
「どうやって進んでる?」
ディーンは答えない。
「さぁな」
ガルドが苛立つ。
「教えろよ」
フィオラが静かに言う。
「嫌です」
空気が張り詰める。
その瞬間。
針の嵐。
「来るぞ!!」
両者。
同時に回避。
だが。
Sクラス。
対応が遅れる。
「ぐっ!」
再び石化。
「チッ!」
レオンが舌打ち。
Aクラスは。
冷静に処理。
斬る。
浴びる。
解除。
その動きを。
Sクラスが見る。
「……?」
ミレイが気づく。
「今の……」
ガルドが目を細める。
「体液……?」
レオンが睨む。
「……なるほどな」
だが。
確信はない。
ディーンが言う。
「行くぞ」
Aクラス。
先へ進む。
レオンが小さく呟く。
「……ヒントは見えた」
ガルドが笑う。
「やっとかよ」
ミレイが言う。
「次で試す?」
レオンが頷く。
「やる」
目が鋭くなる。
「追いつくぞ」
一方。
コントロール室。
ユウが身を乗り出す。
「おぉ~気づきそう!」
アクアは静かに頷く。
「いい」
「自力で掴め」
画面には。
二つのパーティ。
同じ階層。
違う理解。
だが。
差は縮まる。
「ここからだ」
アクアが呟く。
「本当の勝負は」
九十九階へ。




