第62話「交差する階層、見えない手」
九十五階。
Aクラス。
ディーン達は息を整えながら進んでいた。
通路。
サボテン君の群れ。
焼け焦げた跡。
「……だいぶ慣れてきたな」
ガルスが言う。
ディーンが頷く。
「針のタイミングと射程は把握した」
エルミナが続ける。
「魔法で先に削って、近づくのは最低限」
フィオラが補足する。
「石化しても、体液で解除できる」
安定していた。
だが。
「次で九十六階だ」
ディーンが言う。
「……そろそろキツいね」
エルミナが苦笑する。
「魔力が持たない」
フィオラも頷く。
「回復しても、魔力は完全じゃない」
それでも。
「行けるとこまで行く」
ディーンが前を見る。
だが。
九十六階。
戦闘。
数分後。
「……無理だ」
エルミナが膝をつく。
「魔力切れ」
ディーンが即断する。
「撤退」
全員が頷く。
九十一階へ引く。
一方。
九十二階。
Sクラス。
「チッ……!」
ガルドが舌打ちする。
「こいつら厄介すぎる!」
バシュッ!!
針の雨。
「避けろ!」
レオンが叫ぶ。
だが。
一瞬の油断。
足元。
針が突き刺さる。
「……っ!?」
ガルドの足が。
一気に灰色に変わる。
完全石化。
「ガルド!」
ミレイが叫ぶ。
動かない。
完全に固まる。
「くそっ……!」
レオンが周囲を見る。
サボテンの群れ。
「一旦引く!」
ガルドを担ぐ。
重い。
だが。
関係ない。
「泉まで戻る!」
九十一階。
回復の泉。
ガルドを。
そのまま。
ドボン!!
水に放り込む。
数秒。
シュウウ……
石が崩れる。
「……はぁ!」
ガルドが息を吹き返す。
「助かった……!」
「次は気をつけろ」
レオンが低く言う。
だが。
その瞬間。
足音。
振り向く。
そこに。
Aクラス。
「……」
沈黙。
数秒。
「……お前ら」
レオンが言う。
「今、何階だ?」
ディーンが答える。
「九十六階」
空気が変わる。
ガルドが目を見開く。
「マジかよ……」
レオンの目が細くなる。
「……先行ってるってわけか」
ディーンが肩をすくめる。
「そうなるな」
レオンが一歩近づく。
「攻略法、知ってるんだろ?」
ディーンは笑う。
「さぁな」
「教える義理はない」
ガルドが舌打ちする。
「ケチくせぇな」
フィオラが静かに言う。
「そっちも同じでしょ」
沈黙。
その時。
Aクラスが泉に入る。
全員。
傷はほぼない。
石化してるわけでもない。
なのに。
長く浸かる。
「……?」
レオンが眉をひそめる。
「なんで入ってる?」
ミレイが呟く。
「傷はないのに……」
エルミナがちらりと見る。
だが答えない。
数分後。
Aクラスが立ち上がる。
「行くぞ」
ディーンが言う。
再び上へ。
去っていく。
レオンはその背中を見ながら。
「……魔力か」
小さく呟く。
ミレイが反応する。
「え?」
「回復してるのはHPだけじゃねぇ」
泉を見る。
「魔力もだ」
ガルドがニヤリとする。
「なるほどな……」
「だから無傷でも入るのか」
レオンが笑う。
「いい情報だ」
一方。
コントロール室。
「やば」
ユウが顔をしかめる。
「サボテン君、弱くない?」
アクアが腕を組む。
「魔法で焼かれすぎだな」
ユウが言う。
「火力でゴリ押しされてる」
アクアが頷く。
「調整する」
手をかざす。
九十七階。
九十八階。
サボテン君。
再構築。
ハイサボテン君
「魔力耐性、付与」
光が走る。
「これでどうだ」
ユウがニヤニヤする。
「意地悪~」
アクアが薄く笑う。
「バランス調整だ」
画面には。
再び進むAクラス。
その先。
強化された地獄。
「さぁ」
アクアが呟く。
「ここからが本番だ」




