第57話「甘い光、同じ影」
再び。
ダンジョン入口。
Sクラスが現れる。
「……行くぞ」
レオンが短く言う。
無駄な会話はない。
目標は一つ。
“最深部”。
駆ける。
一階。
二階。
十階。
小ボスも宝箱も。
すべて無視。
「最短で行く」
レオンの指示。
全員が従う。
十一階。
泉も素通り。
二十階。
チョリキ。
「邪魔だ」
一瞬で斬る。
三十階。
リッチ。
「光だ」
魔法使いが放つ。
閃光。
一撃。
崩壊。
止まらない。
四十階。
巨大ムカデ。
速度。
硬さ。
酸。
「関係ねぇ」
連携で押し潰す。
五十階。
ファイアーベア。
炎の拳。
「遅い」
レオンが懐に入り。
首を刎ねる。
六十階。
宝箱型魔物。
「最初からバレてる」
魔法で削る。
開く前に破壊。
七十階。
ダークエルフ。
矢の雨。
「防げ」
盾が受ける。
レオンが跳ぶ。
空中。
連続斬撃。
瞬殺。
止まらない。
八十階。
強化ゴーレム。
核七つ。
「水で削る!」
魔法。
連打。
連携。
破壊。
突破。
八十二階以降。
サラマンダー。
レプティ。
「氷だ!」
冷気。
炎が鈍る。
だが。
数。
速度。
「押し切る!」
被弾しながらも。
前へ。
前へ。
八十九階。
「……はぁ……」
全員が息を切らす。
限界に近い。
だが。
「あと一つだ」
レオンが言う。
目の前。
九十階の扉。
「行くぞ」
開く。
その先。
広い空間。
そして――
奥に。
宝箱。
輝いている。
異様なほど。
「……なんだあれ」
盾役が呟く。
「明らかにおかしい」
魔法使いが警戒する。
「でも」
回復役が言う。
「本物だ」
感じる。
圧倒的な力。
「伝説級……」
誰かが呟く。
レオンが前に出る。
「……罠だな」
断言する。
「だが」
一歩。
踏み出す。
「関係ねぇ」
その目に迷いはない。
「取る」
近づく。
空間が静まる。
その瞬間。
――ぐにゃり
空気が歪む。
「来るぞ!」
レオンが叫ぶ。
次の瞬間。
目の前に。
“現れる”。
四つの影。
同じ装備。
同じ構え。
同じ目。
「……は?」
盾役が息を呑む。
「俺……?」
魔法使いが呟く。
目の前にいるのは。
“自分”。
完全に同じ。
レオンの前にも。
レオン。
まったく同じ存在。
ドッペルゲンガー。
「……そう来たか」
レオンが笑う。
「いいね」
剣を構える。
対する“レオン”も。
同じように構える。
一分の狂いもなく。
「全員」
レオンが言う。
「自分を殺せ」
静かな命令。
次の瞬間。
激突。
ガキィン!!
同じ剣。
同じ速度。
完全に互角。
「くそっ……!」
盾役が押される。
「重さまで同じかよ!」
魔法使い。
詠唱。
だが。
目の前の“自分”も。
同じ魔法。
ぶつかる。
相殺。
「意味ねぇ!」
回復役。
回復。
だが。
相手も回復。
「終わらねぇ!」
混乱。
だが。
レオンだけは違う。
笑っている。
「最高だ」
ぶつかり合う。
自分と。
自分。
「これが本当の限界か」
剣が交差する。
火花。
「なら――」
踏み込む。
「超えるだけだ」
戦いは。
泥沼へ。
一方。
コントロール室。
「始まったね」
ユウがワクワクしている。
「うん」
アクアは静かに見る。
「完璧な絶望だ」
石板に映る。
同士討ち。
終わらない戦い。
「自分を越えない限り」
アクアが呟く。
「進めない」
ユウが笑う。
「悪魔だね」
「違う」
アクアは答える。
「管理者だ」
その目は冷たい。
「そして――」
小さく。
「復讐者だ」
九十階。
決戦開始。




