第51話「優越の代償」
七十四階。
ゴーレム地帯。
「……来たな」
Aクラスが構える。
だが。
背後から足音。
「遅ぇな」
低い声。
Sクラス。
レオンが前に出る。
「どけ」
一言。
「……は?」
Aクラスのリーダーが睨む。
「邪魔だ」
そのまま。
押しのける。
強引に。
「おい!」
抗議する間もなく。
レオンが前へ。
ゴーレムが現れる。
だが。
「見えてる」
動きを読む。
重心。
核。
一撃。
破壊。
次。
また次。
「速ぇ……」
Aクラスが息を呑む。
処理速度が違う。
圧倒的。
あっという間に道が開く。
「行くぞ」
Sクラスは振り返らない。
そのまま進む。
残されたAクラス。
「……あいかわらず感じわりぃな」
小さく呟く。
誰にも聞こえないように。
だが。
全員が同じ気持ちだった。
八十階。
再び。
強化ゴーレム。
「来たな」
レオンが笑う。
「今度は分かってる」
戦闘開始。
水魔法。
連続で叩き込む。
ゴーレムの動きが鈍る。
「核を潰せ!」
連携。
速い。
的確。
一つ。
二つ。
三つ。
「押せ!」
四つ。
五つ。
六つ。
「最後だ!」
背中。
光る。
レオンが跳ぶ。
突き。
貫く。
静止。
崩壊。
「……よし」
今度は。
余裕がある。
「攻略完了だな」
だが。
消耗はしている。
「次行くぞ」
八十二階。
空気が変わる。
熱い。
「……なんだこの熱」
その瞬間。
火炎。
横から。
「っ!」
回避。
現れたのは。
サラマンダー。
「こいつ……!」
魔法使いが目を見開く。
「サラマンダーだ!」
火を吐く。
連続。
「散開!」
レオンが叫ぶ。
だが。
次の瞬間。
別の影。
「速っ!?」
レプティ。
壁を蹴る。
天井を走る。
縦横無尽。
「くそっ!」
剣を振るう。
当たらない。
「速すぎる!」
「前だけじゃない!」
背後。
横。
死角から来る。
サラマンダーの炎。
レプティの連撃。
「ぐっ!」
一撃入る。
さらに。
「っ……!」
盾役が吹き飛ばされる。
「回復!」
だが。
追いつかない。
攻撃の密度が違う。
「ちっ……!」
レオンが舌打ちする。
今までと違う。
対応しきれない。
「一旦引く!」
判断は早い。
「撤退だ!」
全員が後退。
なんとか距離を取る。
サラマンダーが火を吐く。
レプティが追う。
「走れ!」
全力で駆ける。
階段へ。
なんとか。
突破。
八十一階。
泉。
「……はぁ……!」
全員が水に飛び込む。
回復。
息を整える。
「……やばかったな」
盾役が呟く。
「初めてだな」
魔法使いが苦笑する。
「逃げたの」
レオンは無言。
水面を見つめている。
「……」
静かに拳を握る。
「……面白い」
低く呟く。
だが。
その目。
完全な余裕はない。
一方。
コントロール室。
「きたね」
ユウが笑う。
「撤退」
アクアが頷く。
「想定通りだ」
「サラマンダーとレプティ」
「いいコンビだね」
「単体なら対処できる」
「でも組ませると崩れる」
ユウがにやにやする。
「性格わる~い」
「褒め言葉だ」
アクアの目が冷たい。
「でも」
「まだ足りない」
「え?」
「もっと削る」
石板に映るSクラス。
八十一階。
「次で」
静かに言う。
「心を折る」
ユウがぞくっとする。
「……本気だね」
「あぁ」
アクアが答える。
「ここからが復讐だ」
迷宮は。
遊びを終えた。




