第47話「蹂躙」
五十階。
巨大な炎をまとった熊。
ファイヤーベア。
「行くぞ」
レオンが一歩踏み出す。
咆哮。
炎が揺れる。
だが。
一閃。
それだけだった。
「……終わりか」
炎が消える。
巨体が崩れる。
「弱いな」
レオンが剣を払う。
「まぁこんなもんだろ」
盾役が肩をすくめる。
「次行こうぜ」
あまりにもあっけない。
五十二階。
扉を開ける。
広い部屋。
静か。
次の瞬間。
四方から魔物が湧き出す。
モンスターハウス。
「来たな」
だが。
レオンが前に出る。
剣を軽く振る。
剣圧。
空気が裂ける。
目に見えない刃が広がる。
次の瞬間。
魔物が一斉に崩れる。
全滅。
「……つまらん」
ぽつりと呟く。
他の三人も苦笑する。
五十九階。
宝箱がぽつんと置かれている。
「どう見る?」
「明らかに罠だな」
「ボスだろ」
全員が理解している。
近づかない。
魔法使いが杖を構える。
「いくよ」
遠距離から魔法を放つ。
直撃。
宝箱が揺れる。
ギギッと口が開く。
その瞬間。
レオンが動く。
一瞬で距離を詰める。
突き。
内部へ。
「終わり」
宝箱が崩れる。
「……雑魚だな」
六十二階。
アスレチックゾーン。
「これ、遊びか?」
足場。
罠。
揺れる床。
だが。
「遅い」
軽々と突破。
跳ぶ。
避ける。
止まらない。
六十九階まで。
一度も止まらずに駆け抜ける。
七十階。
マグマの川。
向こう岸にダークエルフ。
弓を構える。
一斉射撃。
「来るぞ」
盾役が前に出る。
ガンッガンッと矢を弾く。
「遅いな」
レオンが呟く。
次の瞬間。
跳ぶ。
信じられない距離を。
一気に対岸へ。
着地と同時に斬る。
一人。
二人。
三人。
残りも瞬殺。
「……終わりか」
あっという間だった。
静寂。
宝箱が現れる。
「開けるぞ」
中には。
宝石。
大量の。
「これは……当たりだな」
「いいね」
全員が頷く。
そして。
帰還。
光に包まれる。
次の瞬間。
一階。
「……で?」
盾役が言う。
「また行くか」
レオンが答える。
「当然だろ」
迷いはない。
「もっと奥だ」
「上限を見たい」
静かに笑う。
その目は。
完全に“攻略者”。
一方。
コントロール室。
「……はは」
アクアが乾いた笑いを漏らす。
「やりたい放題だな」
「強いね~」
ユウも感心している。
「でも」
アクアの目が細くなる。
「ここまでだ」
石板に映る。
次の階層。
七十階以降。
さらにその先。
「もう遊びは終わりだ」
低い声。
「本番だな」
ユウがにやりと笑う。
「うん」
アクアが頷く。
「狩りの時間だ」
迷宮は牙を研ぐ。
頂点にいる者を。
叩き落とすために。




