第45話「真実の夢」
ベッドに沈み込む。
心地いいはずの眠り。
だが。
「……っ」
夢を見た。
暗い。
落ちていく感覚。
「アクア」
声。
誰かが呼んでいる。
「悪く思うなよ」
聞いたことのある声。
レオン。
「……なんだ?」
体が動かない。
「デバフはかけた」
別の声。
「状態異常、記憶も飛ばしてる」
「これで終わりだな」
「下は51階だ」
「……死ぬだろうな」
笑い声。
その場にいた。
Sランクパーティ。
全員。
「……なんでだよ」
声が出ない。
動けない。
「お前さ」
レオンが覗き込む。
「黒い依頼に、気づいただろ」
「……っ」
否定できない。
確かに。
気付いていた。
「全部知ってる」
冷たい目。
「だからだよ」
押される。
体が浮く。
「……やめろ」
声にならない。
落ちる。
50階から。
51階へ。
落下。
「……っ!」
着地。
いや。
違う。
地面が脆い。
崩れる。
さらに落ちる。
瓦礫。
衝撃。
暗転。
そこで。
目が覚めた。
「……っは!」
息を荒くする。
汗が流れる。
手が震えている。
「……思い出した」
かすれた声。
「全部じゃない……でも」
確信。
「あれは……夢じゃない」
その時。
ぎゅっと。
抱きつかれる。
「アクア」
ユウの声。
「大丈夫?」
震えている。
心配している。
「……あぁ」
言葉が出ない。
次の瞬間。
感情があふれる。
「くそっ……!」
歯を食いしばる。
だが止まらない。
涙。
「……なんでだよ……」
こぼれる。
「なんで……あいつらが……!」
号泣だった。
抑えきれない。
怒り。
悔しさ。
裏切り。
全部が混ざる。
ユウは何も言わない。
ただ。
ぎゅっと抱きしめる。
優しく。
背中を撫でる。
「……大丈夫」
小さな声。
「ここにいるよ」
その温もり。
少しずつ。
呼吸が落ち着く。
「……ユウ」
「うん」
「俺……」
言葉が詰まる。
「殺されかけたんだな」
静かな声。
「うん」
ユウは否定しない。
「でも」
少しだけ笑う。
「生きてる」
アクアが目を閉じる。
「……あぁ」
ゆっくりと頷く。
そして。
目を開く。
「なら」
視線が変わる。
「やることは一つだ」
怒りは消えていない。
だが。
それ以上に。
芯ができた。
「取り返す」
低い声。
「全部だ」
ユウが少しだけ笑う。
「やっとだね」
「……あぁ」
アクアも笑う。
「思い出した」
その時。
石板が光る。
画面に映る。
Sランクパーティ。
五十階。
ボス戦。
「……来てるな」
アクアが呟く。
目が細くなる。
「いいタイミングだ」
ユウが隣で笑う。
「うん」
アクアが立ち上がる。
「歓迎してやるよ」
声が低くなる。
「今度はこっちの番だ」
迷宮は待つ。
裏切り者たちを。




