表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奈落に落とされたが、そこは俺の領域だった  作者: 忍絵 奉公


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/50

第40話「覚醒と分身」


 四十階

「……まだやれるか」

 カインが低く言う。

 全員、満身創痍だった。

「正直、きつい」

 グレンが息を切らす。

「でも……」

 セリアが前を見る。

 巨大ムカデは、まだ動いている。

「ここで引いたら、次はない」

 リナが静かに言う。

 一瞬の沈黙。

「……やるぞ」

 カインの声が変わる。

 覚悟の声。

「今までと同じじゃ勝てない」

「なら変える」

「どうする?」

 グレンが聞く。

「役割を崩す」

 全員が一瞬驚く。

「俺も攻撃に回る」

「セリアは火に集中」

「グレンは囮で動きを誘導」

「リナは回復しながら弱点探せ」

「……無茶だろ」

「でも今までじゃ勝てない」

 沈黙。

 そして。

「……やるか」

 グレンが笑う。

「やるしかないね」

 セリアが頷く。

「支えるよ」

 リナが覚悟を決める。

「行くぞ!」

 カインが突っ込む。

 真正面から。

 ムカデの攻撃を引きつける。

 尾が振られる。

 避けない。

 受ける。

「ぐっ……!」

 だが踏みとどまる。

「今だ!」

 セリアが火を集中。

 一点。

 同じ場所に撃ち続ける。

「まだ!」

 グレンが横から飛び込み、注意を引く。

 ムカデの動きがぶれる。

「そこ!」

 リナが叫ぶ。

「殻が薄い!」

「一点集中!」

 火。

 連打。

 外殻が赤くなる。

 さらに。

 カインがその場所へ全力の一撃。

 ヒビが入る。

「通った!」

 セリアが氷を重ねる。

 急冷。

 パキンと割れる。

「中が見えた!」

「全員で叩き込め!」

 総攻撃。

 全員が役割を越えて攻撃する。

 ムカデが暴れる。

 だがもう遅い。

 内部へダメージが通る。

 崩れる。

 ついに。

 巨大ムカデが倒れる。

 静寂。

「……勝った……」

 その場に崩れ落ちるカイン。

「ギリギリだね……」

 セリアが笑う。

「でも」

 グレンが息を吐く。

「これが俺たちのやり方だ」

 リナが小さく頷く。

 宝箱が現れる。

「……どうする?」

「開ける」

 カインが言う。

「勝ったんだ」

 転移。

 地上へ戻る。

「……やったな」

 誰もがボロボロだった。

 だが。

 確実に一段、強くなっていた。

 一方

 コントロール室

「……お」

 アクアが目を細める。

「勝った」

「ほんとだ」

 ユウも驚く。

「やるじゃん」

「覚醒したな」

 アクアが腕を組む。

「いいねこういうの」

 ユウが嬉しそうに笑う。

「で」

 アクアが切り替える。

「次いくか」

「九十階?」

「ラス前だな」

 石板を操作する。

「何置く?」

「強いやつ!」

「雑だな」

 苦笑する。

「ベヒモスとかどうだ?」

「うーん」

 ユウが首をかしげる。

「ラッキーピエロは?」

「……なんだそれ」

「とにかく運がいい奇術師」

「却下」

 即答。

「運はダメだ」

「えー」

「理不尽すぎる」

「そう?」

「そうだ」

 アクアがため息をつく。

「じゃあさ」

 ユウがぽつりと言う。

「自分と同じやつは?」

「……は?」

「分身」

「同じスペックの敵」

「……」

 アクアの手が止まる。

「それ……」

 石板を見る。

 設定項目を開く。

「……できるのか?」

 操作する。

 検索。

 表示される。

「……あるな」

「ほんと!?」

 ユウが身を乗り出す。

「ドッペルゲンガー……」

「設定可能……」

 アクアの口元が上がる。

「これだ」

 即決。

 配置。

 九十階ボス確定。

「いいじゃん!」

 ユウが嬉しそうに跳ねる。

「初めて役に立った?」

「いや今までもだいぶ役に立ってる」

 アクアが笑う。

 そして。

 ぽん、と頭をなでる。

「ナイスだ」

「えへぇ~」

 ユウが満面の笑みになる。

「初めて褒められた~」

「大げさだな」

「うれしい~」

 その姿を見て。

 アクアは一瞬、手を止める。

 妙に愛おしい。

 抱きしめたくなる衝動。

「……」

 だが。

 軽く息を吐く。

 手を離す。

「……次も頼むぞ」

「うん!」

 ユウが元気よく答える。

 迷宮はさらに進化する。

 そして。

 九十階に待つのは。

 “自分自身”



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ