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奈落に落とされたが、そこは俺の領域だった  作者: 忍絵 奉公


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第39話「突破と代償」


 四十階

 巨大ムカデは、まだ暴れていた。

「外殻、もう一枚残ってる!」

 ミレイが叫ぶ。

「削り切るぞ」

 レオンの声は冷静だが、息は荒い。

 これまでとは違う。明らかに消耗している。

「もう一回いけるか?」

 ガルドが盾を構えながら言う。

「やるしかない」

 ミレイが杖を握り直す。

 火魔法を一点に集中させる。

 外殻が赤く焼ける。

「今だ!」

 氷魔法を重ねる。

 急激な温度差。

 パキンと音を立てて、外殻が割れる。

「通った!」

 レオンが一気に踏み込む。

 割れた箇所へ剣を突き刺す。

 深く、確実に届く。

 ムカデが絶叫のような振動を発する。

 尾が振られる。

 ガルドが正面で受ける。

「ぐっ!」

 吹き飛ばされるが、踏みとどまる。

「押し切れ!」

 レオンが叫ぶ。

 ルナが最後の回復を飛ばす。

 ミレイが残りの魔力を叩き込む。

 連撃。

 一点集中。

 ついに内部が崩れる。

 巨体が揺れ、崩れ落ちる。

「終わりだ」

 レオンが剣を引き抜く。

 巨大ムカデは完全に停止した。

 全員がその場に立ち尽くす。

「……きついな」

 ガルドが息を吐く。

「今までで一番消耗した」

 ミレイも珍しく素直に言う。

「でも勝った」

 レオンが短く言う。

 宝箱が現れる。

 少しの沈黙。

「開ける」

 レオンが決める。

 中身を確認し、転移が発動する。

 地上

「四十階でこれか」

 レオンが空を見上げる。

「先は長いな」

 だが、その声にはわずかな重みがあった。

 一方

 コントロール室

「勝ったな」

 アクアが石板を見ながら言う。

「うん、でも削れたね」

 ユウが楽しそうに笑う。

「ちゃんとボスしてる」

「いい調整だ」

 アクアが満足そうに頷く。

「もっといける?」

「やりすぎるなよ」

「えー」

 ユウが不満そうに口を尖らせる。

「次はAクラスだよ」

 石板に映る。

 四十階へ到達したカインたち。

 四十階

「これが……」

 カインが構える。

 巨大ムカデが現れる。

「でかすぎるだろ……」

 グレンが後ずさる。

「氷で止める!」

 セリアが魔法を放つ。

 だが、表面で弾かれる。

「効かない!?」

「火だ!」

 火魔法を当てる。

 しかし外殻はほとんど変化しない。

「焼けきらない!」

 尾が振られる。

 グレンが直撃を受ける。

「ぐあっ!」

 吹き飛ぶ。

「回復!」

 リナが必死に魔法をかける。

「毒が強い……!」

「一旦下がる!」

 カインが叫ぶ。

 だがムカデは止まらない。

 地面に潜る。

「来るぞ!」

 次の瞬間、足元から突き上げ。

 陣形が崩れる。

「連携が……!」

「合わない!」

 焦りが広がる。

「落ち着け!」

 カインが叫ぶが、流れは止まらない。

「くそっ……!」

 同じ敵。

 だが結果はまるで違う。

 一方

 コントロール室

「あー……これはきつい」

 ユウが苦笑する。

「だな」

 アクアも頷く。

「ヒントはあるのに」

「使えてない」

「でも」

 ユウが楽しそうに言う。

「こういうギリギリ、嫌いじゃない」

「性格悪いな」

「褒めてる?」

「違う」

 アクアが少し笑う。

 迷宮は試す。

 理解できるか。

 乗り越えられるか。

 その差を、容赦なく突きつける。



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