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奈落に落とされたが、そこは俺の領域だった  作者: 忍絵 奉公


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33/47

第33話「交差」


 三十階。

 広間に、焦げた匂いが漂っていた。

「……効いてる!押せ!」

 叫ぶのは、Aクラスパーティ《紅蓮の牙》のリーダー、カイン。

 前衛の戦士。

 その後ろで――

「火球、いくよ!」

 魔法使いセリアが、次々と火魔法を放つ。

 さらにもう一人。

「援護する!」

 魔剣士グレンも、火属性の魔法を重ねる。

 そして――

「バフ更新、耐えて!」

 支援役リナが、魔力を流し続ける。


 リッチは揺らぐ。

 だが――倒れない。

「……くそっ、硬ぇ!」

 カインが歯を食いしばる。

「雷も試す!」

 セリアが雷を放つ。

 ――わずかに効く。

「……入るけど、効率悪い!」

「火で削り続けろ!」

 カインが即断する。


 その間にも。

 ゾンビが、湧く。

「来たぞ!」

 カインが振るう。

 一撃。

 ゾンビを粉砕。

「雑魚は任せろ!」

 完全分担。

 火力は魔法。

 処理は戦士。

 単純だが――

「これで押し切る!」

 消耗戦。

 魔力を惜しまず、撃ち続ける。


「……あと少し!」

 セリアの声。

 最後の火球。

 直撃。

 ――崩れる。

「……倒した……」

 リッチが、崩壊する。


「……勝ったな」

 カインが息を吐く。

「きつかった……」

 グレンが座り込む。

「光魔法……必要だったのかな……」

 リナが呟く。

「分からんが」

 カインが笑う。

「勝てばいい」


 宝箱。

「開けるぞ」

 中身を確認。

 そして転移。


 地上。

 外の空気。

「……はぁ」

 全員が深呼吸する。

「……次はもっと楽に倒したいね」

 セリアが苦笑する。

「だな」

「……ん?」

 その時。

 前から、四人組が歩いてくる。

 重圧。

 明らかに違う気配。

「……Sクラス」

 カインが小さく呟く。

「へぇ」

 レオンが立ち止まる。

「三十階帰りか?」

「……ああ」

 カインが答える。

「なんとか、な」

「なんとか、か」

 ガルドが笑う。

「苦戦した顔してるな」

「……」

 空気が、少し張る。

「リッチだろ?」

 ミレイが口を開く。

「火で削った?」

「……そうだ」

「非効率だね」

 即答。

「光使えば終わるよ」

 ミレイが淡々と言う。

「……」

 一瞬、沈黙。

「……そうかよ」

 カインの声が低くなる。

「まあ」

 レオンが肩をすくめる。

「その程度でも、勝てるってことだ」

「……」

 完全に、見下し。

「……行こう」

 リナが小さく言う。

 カインは、少しだけ睨む。

 だが。

「……ああ」

 それ以上は言わず、通り過ぎる。

「……感じ悪いな」

 グレンが吐き捨てる。

「でも……」

 セリアが言う。

「光魔法、試す価値あるかも」

「……次は、もっと楽に勝つ」

 カインが静かに言う。

 一方。

 Sクラス。

「素直に認めればいいのにね」

 ミレイが言う。

「まあいいだろ」

 レオンは興味なさそうに言う。

「俺たちは、先に行くだけだ」


 その頃

「……んー」

 アクアが伸びをする。

 パラダイス。

 目覚め。

「よく寝た」

「ねー」

 ユウもあくび。

「最後に軽く食うか」

「賛成」

 ドリンクを飲む。

 肉を焼く。

 のんびりした時間。


「……さて」

 食べ終わる。

「戻るか」

「うん」

 コントロール室。

 石板を見る。

「……あれ?」

 アクアが首をかしげる。

「Aクラスいないな」

「ほんとだ」

 ユウも覗く。

「……エナジー」

 バーを見る。

「お、7割近い」

「すごいね」

「……いい感じだ」

「七十一階」

 アクアが言う。

「回復置いとくか」

「安定だね」

 泉、設置。

「で」

 アクアが腕を組む。

「七十階、どうするかな」

「ダークエルフだよね」

「もうちょい嫌らしくするか……?」

「やめなよ」

「褒めてる?」

「違う」


 その時。

「……あ」

 ユウが指差す。

「Sクラス」

 画面に映る。

 ちょうど二十階。

 チョリキ撃破。

 宝箱。

 開ける。

 転移。


「……来るな」

 アクアが小さく笑う。

「うん」

 ユウも笑う。

「本気のやつ」


 Aクラス。

 Sクラス。

 そして迷宮。

 それぞれの思惑が交差する。

「……面白くなってきたな」

 アクアが呟く。

 迷宮は、さらに牙を剥く。



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