第22話「可視化」
※私の多くの作品はアルファポリスに掲載しています。
※お時間ある方は是非、一読ください。
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石板の前。
ユウが、妙な場所をいじっていた。
「ねぇこれ何?」
「……どれ」
アクアが覗き込む。
見慣れない刻印。
今まで触っていなかった部分だ。
「押してみるね」
「おい、やめ――」
カチッ。
音が鳴る。
一瞬、画面が暗転する。
そして――
「……なんだこれ」
表示が、変わった。
人影の横に。
数字と、文字。
「HP……?」
減っている。
戦闘中のパーティの一人。
残り体力が、はっきり見える。
「……おい、これ」
「見えるね」
ユウも、少し驚いた顔をしている。
「ランクも出てる」
「……Cランク」
そのパーティの表示。
“C”。
「……強さが分かるってことか」
「便利じゃん」
ユウが目を輝かせる。
「便利すぎるだろ」
アクアは、逆に少し警戒する。
だが。
これは使える。
「……来てるな」
十一階。
初めての突破者。
あの分岐を越えた。
宝箱を捨てて、先に進んだ。
「いいね」
ユウがニヤリと笑う。
「欲より好奇心」
「そういう奴が、奥まで来る」
画面を見る。
四人。
連携も悪くない。
「Cランクパーティか」
「ちょうどいい相手だね」
十一階。
回復の泉。
パーティが近づく。
「お、水だ!」
「回復できるかも!」
警戒しながら、足を入れる。
「……浅いな」
「でも回復してる!」
HPが、ゆっくり戻る。
画面で、はっきり分かる。
「……いいなこれ」
アクアが呟く。
「調整しやすい」
「でしょ?」
ユウが得意げ。
だがその直後。
「……満タンか」
HPが、全回復する。
「……この後だな」
十二階。
オーク三体。
「行くぞ」
パーティが進む。
十二階。
オークが動く。
「来た!」
こん棒を振り上げる。
重い一撃。
前衛が受ける。
HPが、一気に削れる。
「うおっ、重っ!」
「回復追いつけるか!?」
後衛が詠唱。
HPが、じわじわ戻る。
だが――
「……削り勝ちだな」
アクアが分析する。
「うん、いいバランス」
ユウも頷く。
可視化されているからこそ分かる。
ギリギリ。
危ない。
だが、勝てる。
「これだな」
アクアが呟く。
「“ギリギリ勝てる”」
「一番楽しいやつ」
ユウが笑う。
そして――
オーク、撃破。
「……やった……」
「ギリギリだったな……」
パーティが息を整える。
HPは、ほぼ限界。
「……戻るか?」
「いや……もうちょい行ける」
迷っている。
その様子を見て――
「いいねぇ」
ユウがニヤニヤする。
「悩んでる悩んでる」
「……性格悪いな」
「褒めてる?」
「褒めてねぇ」
だが。
アクアも、少しだけ笑う。
確かに――
面白い。
「これでさ」
ユウが言う。
「もっと細かく調整できるね」
「……ああ」
アクアも頷く。
「相手の強さ見て、配置変えられる」
「強いの来たら、強いの置く?」
「いや」
少し考える。
「強いのには、搦め手だな」
「おおー」
「逆に弱いのには、分かりやすく強さ見せる」
「なるほどね」
ユウが感心する。
「……使えるな、この機能」
「最初から欲しかったね」
「ほんとにな」
石板を見つめる。
数字。
ランク。
動き。
すべてが見える。
「……これで」
アクアが静かに言う。
「もっと面白くできる」
ユウが、にやりと笑った。
「やっとスタートって感じだね」
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