表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奈落に落とされたが、そこは俺の領域だった  作者: 忍絵 奉公


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/26

第23話「20階の答え」


 石板の前。

 アクアは腕を組んでいた。

「……二十階」

 節目だ。

 ここで印象が決まる。

「弱すぎてもダメ」

「強すぎてもダメ」

「うんうん」

 ユウが隣で頷く。

「で?」

「……迷ってる」

「任せて!」

 ユウが、勢いよく手を挙げる。

「嫌な予感しかしねぇ」

「まずね!」

 指を一本立てる。

「ボス部屋を真っ暗にする!」

「……まあ演出としてはアリ」

「で、床全部ツルツル!」

「却下」

「えー!?」

「戦いにならねぇだろ!」

「じゃあさ!」

 めげない。

「ボスを100体にする!」

「却下」

「なんで!?」

「ボスじゃねぇだろそれは!!」

「じゃあじゃあ!」

 さらに身を乗り出す。

「ボス倒したら天井落ちる!」

「クリアさせる気ねぇだろ!!」

「盛り上がるじゃん!」

「理不尽だわ!」

 完全にポンコツだった。

「……お前ほんと極端だな」

「てへ」

「誤魔化すな」

 ため息をつく。

 だが――

 ヒントは出ている。

「……単体で強い奴」

「で、動きが分かりやすい」

「対処できれば勝てる」

「いいね」

 ユウも珍しく真面目に頷く。

「それでいて、油断したら一撃が重い」

「うんうん」

「……これだな」

 アクアが石板を操作する。

 出現したのは――

「猪?」

「猪だな」

 だが、ただの猪じゃない。

 筋肉が膨れ上がり、目が赤い。

「名前は?」

 ユウが聞く。

「……チョリキ」

「ダサくない?」

「うるせぇ」

 即配置。

「能力は?」

「猪突猛進」

「そのまんま!」

「分かりやすいだろ」

 突進。

 威力大。

 だが直線的。

「避ければ隙ができる」

「いいね、それ」

 ユウが笑う。

「初心者殺しにならない」

「でも油断すると死ぬ」

「ちょうどいい」

 バランスは、悪くない。


「で、宝箱だな」

 ボスの後。

 恒例。

「中身どうする?」

「うーん」

 ユウが考える。

「めっちゃ美味しいパン」

「却下」

「なんで!?」

「ここまで来てパンはない!」

「じゃあ……」

 少し悩んで。

「強いけど地味なやつ」

「……お」

「魔力増幅の杖とか?」

「……いいな」

 アクアが頷く。

「派手じゃないけど、確実に強い」

「でしょ?」

「それでいこう」

 決定。

「で、帰還トラップは?」

「もちろん入れる」

「だよね」

 ユウがニヤリと笑う。

「開けたら帰還」

「でも中身は当たり」

「悩むねぇ」

「それがいい」

 設置完了。


「……これで二十階は完成だな」

「やっとだね」

 二人で石板を見る。

 1階から20階まで。

 流れができている。

「現在最高到達は……」

「十五階」

「まだ来ないな」

「そのうち来るよ」

 ユウが軽く言う。

「……だな」

 焦る必要はない。

 ダンジョンは、育っている。


「……腹減った」

 アクアが呟く。

「また?」

「動いたら腹減るだろ」

「じゃあ作って」

「お前も手伝え」

「味見担当!」

「ただの食う係じゃねぇか!」

 言いながらも、キッチンへ向かう。

 箱を開ける。

「……お」

 また、いい食材。

 肉。

 野菜。

 謎の調味料。

「これ、ほんと何なんだろうね」

「うまけりゃいいだろ」

「それはそう」

 鍋に入れる。

 火にかける。

 コトコト。

 いい匂い。

「……平和だな」

 アクアが呟く。

「うん」

 ユウも、少しだけ穏やかに笑う。

 ダンジョンの最深部。

 普通じゃない場所。

 だが――

 悪くない。

「……来るかな」

「来るよ」

「二十階まで」

「絶対来る」

 ユウが断言する。

「その時が楽しみだね」

「……ああ」

 アクアも頷く。

 次の挑戦者。

 二十階の答えを試す者。

 その時を――

 二人は、待っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ