第144話 氷の街と氷姫
馬車。
氷原を進む。
遠く。
白く輝く建物群。
近づくほど。
その異様さが分かった。
全部。
氷。
家も。
塔も。
橋も。
噴水も。
完全に透明な氷で出来ている。
陽光を反射して、
街全体がキラキラと輝いていた。
ユキ。
「うわぁぁぁ……」
目を輝かせる。
アクア。
「すげぇな……」
ユウ。
「滑ったら楽しそう!」
感想が危険だった。
門前。
氷の鎧を着た兵士達が立っている。
兵士。
「止まれ」
視線。
馬車へ。
高級馬車。
ユニコーン二頭。
S級冒険者カード。
兵士達。
ざわっ。
「S級……?」
「三人も?」
特に。
ユキのカードを見て固まる。
「九百八十八……!?」
兵士長らしき男が慌てて敬礼した。
「失礼しました!」
「氷都グレイシアへようこそ!」
門。
開放。
馬車。
街へ入る。
すると。
街の住民達。
全員。
見てくる。
「ユニコーン!?」
「すご……」
「黒猫かわいい……」
ミーちゃん。
窓際。
どや顔。
ニャー。
人気だった。
街中。
氷の道に魅力を感じたユウが馬車を降りて歩く。
滑る。
ユウ。
「おぉ!」
ツルーッ!
滑走。
楽しそうに移動していく。
アクア。
「子供か」
しかし。
周囲の子供達。
「すげぇぇ!!」
「真似しよう!」
全員。
滑り始めた。
結果。
街中。
スケート大会。
ドガッ。
ズシャァ。
ごんっ。
転倒祭り。
衛兵。
「危ないからやめろぉぉ!!」
大混乱。
その時。
遠くから。
鈴のような声。
「何事ですか?」
人混みが割れる。
現れた。
白銀の髪。
透き通る肌。
青い瞳。
氷細工のような美女。
長いマントを羽織り、
腰には細身の剣。
周囲がざわめく。
「氷姫様だ」
「リリア様……!」
ユキ。
「お姫様!?」
リリア。
視線。
アクア達へ。
特に。
ユウを見る。
ユウ。
まだ滑ってる。
「たのしー!」
リリア。
ぽかん。
アクア。
「すまん」
「こいつ自由なんだ」
その時。
ユウ。
勢い余る。
ズシャァァァ!!
リリアへ一直線。
アクア。
「あっ」
ユキ。
「危なっ!?」
しかし。
リリア。
すっと片足を引く。
回転。
流れるように避ける。
さらに。
ユウの服の襟を掴み。
くるん。
綺麗に5回転。
そのまま停止。
完璧。
ユウ。
「おぉぉ!!」
目がキラキラ。
リリア。
「氷上機動術です」
ユウ。
「かっこいい!」
リリア。
少し照れる。
その時。
ミーちゃん。
ぴょん。
リリアの肩へ飛び乗る。
「きゃっ」
ミーちゃん。
ふみふみ。
リリア。
固まる。
周囲。
騒然。
「氷姫様に猫が!?」
「懐いてる!?」
リリア。
恐る恐る撫でる。
ミーちゃん。
ゴロゴロゴロ。
完全に気に入っていた。
リリア。
少し笑う。
その笑顔。
街の男達。
ばたばた倒れる。
「尊い……」
「氷姫様が笑った……」
アクア。
「なんだこの街」
すると。
リリア。
アクア達へ向き直る。
「旅の方々」
「もしよければ、城でお話ししませんか?」
アクア。
「ん?」
リリア。
少し真面目な顔になる。
「最近、この街の北側で異変が起きています」
「氷竜が現れたのです」
ユキ。
「氷竜!?」
アクア。
少し笑う。
「へぇ」
「面白そうだな」
ユウ。
「強い?」
リリア。
頷く。
「街の騎士団では歯が立ちませんでした」
その瞬間。
ユウ。
笑顔。
「行こう!」
アクア。
「まだ行くって決まってねぇ」
ユウ。
「でも強いんでしょ?」
アクア。
「まぁそうだけど」
ユキ。
「また危ない流れになってきましたねぇ……」
しかし。
三人とも。
少しワクワクしていた。




